あすか「つまり、お母さんの頭の中では『川添さん』は高校時代の親友というよりいつまでも『あの美容整形した川添さん』なわけね。話題に出す度『美容整形』がくっついてくるんだ。そうやって物笑いの種にして何か楽しい?川添さんって人、私はよく知らないけどお母さんにだけは秘密を知られたくないよね」
ノンコ「私そんなつもりで話題にしたわけじゃないわ、ただ私と同じ一重瞼だったのに、今は目がこぼれそうなほど大きくなっちゃって可笑しいわねって共感してもらいたかっただけよ」
あすか「それ陰口じゃない!」
ノンコ「陰口じゃないわ、私も同じブスだったから分かるだけよ」
あすか「お母さんブスじゃないじゃない!それに一重瞼がそんなにイヤだったらアイプチでも整形でもすればよかったでしょ、当時から毎日大きさ変えられるのいくらでも売ってるし」
ノンコ「私が育った街は世間が狭くて、ちょっと変わったことをすればすぐパーッと広まって笑いものになっちゃったのよ、だからできなかったの」
あすか「で、出来なかったお母さんは大きな目になった川添さんを『あのひとはもともと細い目だったのよ』と笑うわけだ。自分でひどいと思わないの?お母さんは充分美人なのに、二重にした川添さんに裏切られたとでもと思ったわけ?ぱっちり二重もいいけど清楚で切れ長の一重が好きだって男の人も一杯いるんだよ」
ノンコ「私、親にそんな口を利いたりしたことないわ!あすかちゃんひどい子だわ」
あすか「ひどくて結構。親にも本心を打ち明けないでニコニコしたいい子だったんでしょうよ。そして自分を裏切った人は絶対許さないでいた」
ノンコ「私そんな人間じゃないわ。お祖母ちゃんが働いていて疲れた顔をして帰って来てるから親を批判しようなんて思ったことないもの。かわいそうで。いつもテレビ付けて二人きりで笑っていたわ、あんたのお祖母ちゃんとの毎日はとても楽しかった。あんたは反抗ばっかりじゃない」
あすか「私とお母さんは違う人間なんだよ?別人格なんだから違うことを言うに決まってるでしょ。とにかく『整形した川添さん』と永久に言い続けられる川添さんが気の毒だよ」
ノンコ「あすかちゃんは真面目すぎるのね。テレビのバラエティ番組で、整形をイジられるタレントなんていっぱいいるでしょう。みんな了解の元で楽しくお仕事してるのよ」
あすか「教師の言葉とは思えない。テレビタレントと一般人じゃ立場が全然違うんだよ」
ノンコ「そんなの知ってるわよ。彼らはお金をもらっていて、一般人はもらっていない」
あすか「それはね、イコール芸能人は整形してもいいけど一般人はダメってメッセージになるんだよ」
ノンコ「あすかちゃんは悪く受け取りすぎよ」
テルコ(右)「あんた達、似たところ一つもないと思っていたけど、自分が正しいと思ったら譲らないところはそっくりよね」
ノンコ(左)「あんなひどいこと言われたの生まれて初めてよ」
テルコ「そんなにメンタル弱くてよく教師出来たわね。ってガッコではおっかない先生だったわね。メンタルの弱さ隠すため強く出てたんだ」
ノンコ「私は気が小さいのよ。あすかちゃんをいじめたことは一つもないわ。なのにどうして反抗するのか分からないわ」
テルコ(右)「子供は親の嘘に敏感なものよ。困ったわ、泣き虫ノンコで。あんたがいい子って大人に可愛がられる度、どれだけ私が怒られたと思うの?責められることに慣れなくて、結局その口の悪い人達への怒りを口の悪い旦那に押しつけちゃったのよね。自分だけは傷つかず、いい子でいたいって願望はワガママよ」
ノンコ(左)「テルコ姉さんまでそんなこと言い出すのね。みんなして意地悪だわ」
テルコ「あんたねえ、40才にもなって!大人になりなさいよ。優等生の殻を脱ぎなさい」
テルコ「何があっても、私はあんたの姉よ。常に褒め称えていられたあんたと違って落ちこぼれだったけど。元気出しなさい」
ノンコ(左)「もう寝るわ、明日になったらあすかちゃんいい子に戻ってくれるわよね、きっと」
テルコ(右)「あすかちゃん、ノンコはああいう子だから、お母さんいつも美人で優しいね、ってだけ言ってればいいのよ。本音なんて親子同士ぶつけ合うもんじゃないのよ。たぶんノンコ、あすかちゃんにいつかすっごいしっぺ返しするわよ」
あすか(左)「覚悟の上だよ。もう親不孝な悪人でいいよ私。お母さんが善人でいるためには、あまたの悪人が必要なんでしょ?でも私はああいう形で自分にウソついてかつての親友を『あの整形した川添さんがね』なんて言えないよ」
テルコ「それがね、大人になるといろいろ鈍くなっちゃうのよね。ノンコが嫌い?」
あすか「嫌いなわけないよ。母親だもの」
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いつまでも吉永小百合の呪縛から解き放たれないノンコさん。
いちばんお母さんから可愛がられたためか、褒められるよい子のポジションを崩しません。
だから母親としても完璧なはず、と考えていて、反抗するあすかっちはどこかおかしな本にかぶれたのか、と、今頃は思っていることでしょう。
人にものを説く側が、意外と分かっていないことはあるものです。











