祖母コノエさん(スマイルおばあちゃん)のアトリエ。
コノエ「個展やった画廊の近くのお店で売ってたチーズケーキよ。ノンコに持っていってあげて」
あすか「うわー、なんだかいい箱に入ってる!ありがと~」
コノエ「今回の個展は疲れたわ-。ヤスノ(※コノエさんの長女。あすかっちの伯母)がとにかく大作描けってうるさくて。もっとのびのび描きたいわ」
あすか「裸の大将放浪記みたく自由にってわけにはいかないの?」
コノエ「いかないのよ。おばあちゃんの絵のお教室もヤスノがマネージメントしてるの。忙しくてね」
あすか「画家ってゴッホみたいなのとおばあちゃんと全然違うねー」
コノエ「ほんとね。でもね、おばあちゃんの絵がゴッホのように永遠に歴史に残るかどうかは分からないわね」
あすか「え?そうかな?でも売れてるし…」
コノエ「画家は存命時売れてて名声が高くても、死後も価値が上がるかっていうとそうでもないのよね。埋もれた天才をありがたがる世界は多いわ。だから頑張ろうとは思うけど…」
あすか「思うけど?」
コノエ「おばあちゃん、芸術って毎日の喜びから生まれるモノとは限らない気がするのよ」
コノエ「多くの芸術家達は、自分の悲しみや苦しみを糧に名作を作り出すことが多いから。それが絵を見てくれる人の癒しになったりするの」
あすか「…じゃあ、おばあちゃんの絵は苦しみから生まれたものじゃないから、偉大な芸術家にはなれないっていうこと?」
コノエ「そういう評価は後世の人がするものだから、分からないのよ」
コノエ「ゴッホやムンクは狂気を糧にしたでしょう?ムンクは病気が治ったら絵が描けなくなってしまったのよ。その後幸せに暮らしたけれど、『叫び』のような絵を生み出すことはできなくなったの」
あすか「よく分かる気がする。ネバー・エンディング・ストーリーの原作に己のみすぼらしさを嘆く常泣き虫の流す涙が芸術を生んだけど、勇者がかれらを常笑い虫に変えた途端、なにもできなくなったってのあった」
あすか「でも、今のモダンな生活をするのが好きなおばあちゃんはムンクみたいな絵は描く必要ないんじゃない?生徒さんがたくさんいて、子供や孫がいて、ってでいいんじゃない?」
コノエ「ええ、だから贅沢かもしれないけど、時々すごい画家さんの存在を知って圧倒されると羨ましくなることがあるわ。その時の気分はまさにサリエリよ」
あすか「ふーん。じゃ、あれだな、美輪明宏が言ってたけど『誰かを羨んだときは、その人の苦労でさえも羨ましいって思いなさい』って言葉がこの場合適切かな」
コノエ「まさにそうね。おばあちゃんまだまだ甘かったわ。乾杯!」
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コノエさん、なんとあすかっちに一本取られちゃいました。
