注意
ここから先は私の勝手な創作になります。
アプリとは関係ありません。
苦手な方はここでお戻りいただけますようお願いいたします。
今回はかざるさんの秋のコラボ企画【恋戦の旦那様と秋のアウトドア♪】
に参加させていただくことになりました
←リンクでインデックスに飛びます。
私が担当させていただくのは、清盛さんです。
尚、主人公は「初音」にしています。
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「うわあ……かわいい…」
銀色のクロッシュの下から出てきたそれに私はそう呟いていた。
きれいに並べられた、とても小さな白鳥型のかわいらしいパイ。
一つ一つに違った色のジャムがのせられていて、まるで宝石のよう。
(待ってようと思ったけど1個だけ………って、あれ……?)
端っこにあった一つをそっと手に取った時、突然違和感を感じた。
見覚えがある。
確かにどこかで見たような気がするのに、どこで見たのか全く思い出せない。
一体どこで見たんだろう?
そしてこの感覚は先ほど、この部屋に入った時に感じたものと同じだった。
デジャブ?
でもただのデジャブだとしてこんなに短時間に、何度も起きるものなのかな…?
あれから。
雨が降り出したからと切り上げることにした清盛さんの判断は全く以て正しかった。
初めはぱらぱらと降っていただけの雨。
しかし、それはほんの数分のうちに土砂降りへと変わり、強い風を伴って今も激しく降り続いていて。
時折空には稲妻が光り、遠くで小さく雷鳴が聞こえている。
そして私が今いるのはとあるホテルの一室。
ルームサービスのパイを目の前にしながら、かわりばんこでシャワーを浴びている清盛さんを待ちつつ、物思いにふけっているのだった。
ホテルの部屋に、ルームサービスのパイ。
既視感の正体も気にはなる。
けれどそれ以上に、言葉にならないなにかが心に引っかかっている。
突然のお誘い(呼び出し?)だったこともあって、宿のセレクトも清盛さんにおまかせしてしまったのだけれど…旅館の多いこの地で、清盛さんはどうしてホテルを選んだんだろう?
どこかいつもと違う気がするのはどうしてなんだろう?
静かな部屋の中、一人でいると頭の中をいろんな考えが駆け巡る。
(…うん、考えるのはやめよう)
せっかく旅行に来てるのに、考え込んでたらもったいないよね…?
ふるふると頭を振って気分を切り替えてから、改めて手に取ったパイに集中する。
(やっぱりおいしいっ)
一口かじった途端にあまりのおいしさに頬が落ちそうだった。
表面がカリッとした、何層もの生地が丁寧に重ねられたサクサクのパイ。
上にのった生クリームは舌触りなめらかで、見た目にもきれいなジャムはすっきりと甘酸っぱい。
それらが口の中で一瞬にして混ざり合い溶けていくこのハーモニーと言ったら絶妙で……。
「ぷっ…おまえ、なんて顔して食べてんだよ」
「きゃあっ!!」
斜め前から聞こえたからかい交じりの声にはっとして目を向けると、清盛さんが私を見下ろしていた。
その手にはお酒のボトルとグラスが握られている。
「…そこまで驚くことねーだろ」
「清盛さんが驚かすからですっ」
思わず立ち上がりかけた私を座らせながら、清盛さんも隣に腰掛ける。
「気づかないお前が悪い」
「それは…だって、このパイすごくおいしくて…」
(確かに清盛さんの言うとおりなのかもしれないけど…!)
おずおずと言い訳をしてみると、清盛さんは私の顔を覗き込むように見てますますおかしそうに笑った。
「…人の顔見て笑わないでください」
「…ったく、子供みてーだな」
言いながら清盛さんは私の方へ手を伸ばしてくる。
この状況でどうして手が伸びてくるのかわからないんですけど?
思わず身構えてその場で固まる。
けれどそんな私に構うことなく、清盛さんは指で私の唇をそっとなぞり、そのまま赤い舌でぺろっと指についたクリームを舐めとった。
「――――!!」
声にならない叫びをあげながら思わず距離をとって座り直し、顔を俯ける。
「確かに美味いかもな」
街中で1人百面相をしていたのを見られていたよりも恥ずかしくて、清盛さんを見ていられなかった。
「……ひどいです…」
からかい混じりの視線を感じたもののたった一言、そう呟くのが精いっぱい。
それから、ひとしきり笑った後で清盛さんはぽんっと私の頭に手を置き、なだめるように撫でてくれた。
それだけで気持ちよくて、全て許せてしまうんだから我ながら不思議。
他の人だったらからかわれるなんて嫌なのに、清盛さんだったらいいやと思っている自分が不思議だった。
きっと私の顔は真っ赤になっているのだと思うけれど。
「おい」
不意に呼びかけられて清盛さんを見る。
「はい?」
「…もっとこっち来いよ」
「……もうからかったりしませんか?」
「ああ」
おずおずと頷いて寄り添って腰をおろし、軽くもたれかかるように頭を寄せる。
お風呂上りのせいか、いつもとちがう香りを仄かに感じた。
やや高い体温が心地良くて、気を抜けば目を閉じてしまいそう。
身体から力が抜けたのを感じ取ったのか、頭上で清盛さんが小さく笑ったのがわかった。
同時に髪を撫でていた手が腰へと回される。
けれど、それはまるで壊れ物に触れるかのようなそんな風に思えて。
(ああ…そういうことだったんだ…)
唐突に疑問が解けたような気がした。
「清盛さん」
「あ?」
少しだけ身体を離し、目線をあげると清盛さんと視線がぶつかった。
「何か、ありましたか?」
「は?」
「気のせいかもしれないんですけど、今日の清盛さん優しすぎる気がして…あ、いつもの清盛さんが優しくないって言いたいわけじゃないんですよ?…でもなんだかいつもと違うというか……」
おそるおそる、けれど視線は決してそらさずにしっかりと伝えてみる。
「だから、何かあったのかなって思って」
清盛さんは一瞬、きょとんと目を丸くした後でにやりと笑った。
(あれ?私なにかダメなこと言った?)
「それは、もっとからかってほしいって振りか?」
「…そんなこと言ってないですっ…私は、まじめに心配して…」
想定外の返しに目をそらし反論しようとするけれど。
「初音」
うって変わって聞こえた低い声色にはっと息をのむ。
顔をあげると真剣な熱を孕んだ瞳が至近距離から私を見つめていた。
いやおうなしに心臓が大きく鼓動を刻む。
ほんのわずか目線を外すことさえできない、そんな感覚。
「お前、」
清盛さんが何かを言いかけたちょうどその時。
――大気をつんざく轟音と共に部屋の明かりが一気に消えた。
「―――!!」
喉まで出かけた悲鳴をすんでのところで呑みこんだものの、血の気が引いた身体は私の意思とは無関係に震えていた。
とっさに思い切りしがみつくと、清盛さんはそのままぎゅっと抱きしめてくれる。
けれど清盛さんが小さくため息をついたのがわかった。
「ごめんなさい…話の途中だったのに」
清盛さんが何かを話そうとしてくれていたのに。
たかが雷くらいで怯えてるなんて。
自分から聞きたいといったのに、私は一体何をしてるんだろう?
後悔と呆れられたのかという思いとで身体を離そうと試みる。
けれど身じろげば身じろぐほど強く抱きしめられて動けない。
「怖いものは怖いんだろ?…大人しくしとけ」
ぶっきらぼうな言葉だけどその優しさがありがたかった。
私が動こうとするのを止めると、清盛さんの腕の力も少し弱まって心地よい程度の力で抱きしめてくれる。
「……ありがとうございます」
清盛さんは何も言わない。
ただ、抱きしめられたまま髪を梳くように撫でてもらって。
身体の震えが少しずつ収まってきて、部屋の電気がついてもなお、ずっとそうしていてくれた。
「もう、大丈夫です」
ほんの少しだけ雷が静かになった合間に、そっと胸を押して離れてから、清盛さんの顔を見上げる。
「あの、お話の続きって…」
「…別に今じゃなくてもいいだろ」
頭をかきながら清盛さんはそういった。
「それより」
言うが早いか唐突に清盛さんの手が私の膝裏へと回り…。
清盛さんはそのまま立ち上がる。
「え、あの、ちょっと、清盛さん??」
えっと、なんだか抱き上げられているような気がするのは私の気のせいでしょうか?
…いや、間違いなく気のせいじゃない。
「もう遅せーし、これ以上ひどくなる前に寝るぞ」
「ちょっと清盛さん!私、自分で歩けますから下ろして下さいっ」
抵抗しながらも、聞こえる雷鳴に無意識に身を竦め清盛さんの服を握りしめてしまう。
そればかりが理由だとは思わないけれど。
「却下だな」
手足をバタつかせる間もなく清盛さんに運ばれた私は、寝室のベッドの上にそっと落とされたのだった。
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えっと、まずお詫びを…。
待っていてくださった方がいらしたら本当にごめんなさいっ
我ながら呆れちゃうくらいに難産で今回も5回くらい書き直してこのクオリティwww
コラボの方々の大半が完結してるし、そうでなくても3話や4話をアップなさってるなかでやっと2話まで来ました。
次の3話で終える予定なので、ペースアップで頑張ろうと思います![]()
もう少しお付き合いいただけると嬉しいです![]()