そういえばそうだ
わたしは今まで
幾つものギャラリー
幾つもの美術館を訪れてきていた
それは街角の小さな画廊から
パリやNYの国際的美術館まで
何枚もの絵を見て
数えきれない程の芸術を見てきていた
半ば無意識的に
そうだ
だからなんだ
わたしは
「在廊」という言葉に
やたらと憧れていた
作家さんや画家がこの日なら
ギャラリーにいますよという「在廊」が
フライヤーやポストカードに
さりげなく書かれているのを見る度
心をさわりと撫でられていた
あれはいつだったか
木梨憲武氏が金沢の21世紀美術館で
個展を開催していた時
わたしはその展示の入り口に佇み
絵や作品がこんな風に
美しい美術館に飾られて
多くの人の視線を奪っていることに
殊の外こころを動かされた
分不相応なことなど百も承知だ
それでも
もし自分が同じ立場になれたら
一体どんな気持ちになるだろうかと
あの時確かに感じたこと
そんな記憶を今
ふと思い出したんだ