わたしは自らの選択で
彼との別れを選んだ
話を切り出すにおいては
顔を見てするべきと思っていたが
電話がかかってきた
わたしの態度がおかしいので問い詰められ
結果そのまま別れの意思を伝えたわけだ
彼はひどく動揺していた
まさかこんなことが起こるとは
微塵も思っていなかったのだろう
なんせつい前日まで
普通に会話してたのだから
現実が呑み込めないのか
整理がつかないのか
1時間近くも電話を切ろうとはしなかった
その間のわたしの
残酷さと言ったらなかった
自分でも恐怖だと思えるくらいに
何の感情も湧かなかった
申し訳ないとは思った
されど寂しさや悲しさが
わたしの中から湧いてくることは
一切なかった
淡々と彼を待った
いつ電話を切ってくれるのだろうかと
この話はいつ終わるのだろうかと
非情にも程がある
恐ろしい女だと自分でも思った
以前この人に
悪魔だ魔性だと言われたことがあるが
それどころじゃないなと思った
彼は何度も
繰り返し繰り返しこう言った
「それでいいんだな?」
何の躊躇いもなかった
そうでしかなかった
その態度に憤りを感じたのだろう
彼の呼吸は荒くなった
声も震えていた
続きはまた書きます
(どこまで引っ張る気だ!
この話の始まりはこちらから
この記事の作者
吉原 紅(よしわら べに)
1975年生まれ 夫とは別居婚中
2019年の5月末、夫と暮らしていた自宅を出ました
海外ひとり旅、世界にあるすべての美しいもの・麗しきものが好きです
グラフィックデザイナーを経て、今は文筆家と生涯旅人を目指しています
自己紹介記事はこちらから