例えば「を」と「も」・・・
似ている様で、実は大きな違い違いがあり、こと、拘りの関しては大きな意味を齎す事がある。
「趣味でサーフィン『を』しています」と「趣味でサーフィン「も」しています」では、相手に伝える意味合いが大きく違って来る。
ビーチから海を眺めていると大きなハーフムーンを着けたボード、PIGを見掛ける事は非常に少ない。
実際に、俺が海に繰り出す時にも全く見掛けない事はざらである。
また、先の例に例えると、「PIG『も』乗っている人では無く、PIG『を』乗っている人」は一体どの位いるのだろうか?
技量や方向性もあるが、クラシックロングボードを1本しか所有できないのであれば間違いなくダブルエンダー系のボードが良いと思う。
操作性に長けており、クラシックログの中ではオールラウンド系の代名詞と言っても過言は無いであろう。
2本所有出来るのであれば、更にクラシックログを堪能出来るノーズライダーが良い。
オールラウンドのダブルエンダーで培ったクラシックログの世界観がさらに広がる事は間違いだろう。
そして、3本目は・・・
サーフショップに尋ねてみると、正直な所、ここにPIGが入って来ないのが実情らしい。
PIGは、その造形から憧れ的なジャンルのボードである事は間違いない様だが、中々手に出来ないと言った所なのだろうか?
しかし、そんなPIGにも一瞬であるがスマッシュブームみたいな事があった。
2011年に2号に渡って企画された「Blue」のPIG特集である。


失礼な言い回しになってしまうが、ミッドレングス寄りのサーフマガジンが本気でPIGと向き合った画期的な特集であった。
誌面ではPIGの誕生に纏わる数々のエピソードやヴィンテージの紹介、また、現行のモダンPIGを削るシェイパー達の紹介、俺がPIG系の師とさせて頂いている行岡豪さんも大々的に採り上げられていた。
その中には、PIGブームを世界中に巻き起こした「Surf a Pig」のマイク・ブラックも大きく採り上げられていた。
1990年代初頭に日本でも本格的な復活がなされたロングボードの歴史においても、恐らく、この誌面を切っ掛けに巻き起こったPIGブームこそがMAXであったと思う。
ビーチには大きなハーフムーンが装着されたボードを小脇に抱えるサーファーが数多く見受けられた。
実際に俺も、それまでは宝の持ち腐れ的な所有物だったPIGをビーチに持ち出す事が格段に増えた様に記憶している。
しかし、そんなブームも瞬く間に終わり、冒頭で綴った様に海でPIGを見掛ける事は著しく少なくなってしまった。
やはり、サーフィンは楽しい方が良いに決まっている。
その感じ方は千差万別で、俺の様に技量も無いのに物(PIG)に執着する事に楽しさを覚えるサーファーもいれば、トリムを描く事に楽しさを見出すサーファーもいる。
後者の場合は、やはり、PIGは値しないのかも知れない。
しかし、先日、PIG好きの猛者達が集まったPIGミーティングに参加させてもらった。
SNSやショップのカスタマー達で集ったミーティングであったが、そこには確実にかつてのPIGのブーム時の勢いがあった気がする。
芝の上に並べられたボードには、存在感抜群のハーフムーンが聳え立っており、その光景はこれまで海では見掛ける事の出来ない程のインパクトがあった。

また、ミーティングにはPIG以外のボードを所有するオーナーも参加していた為、これらのボード以外にも素晴らしいボードが揃ったミーティングでもあった。

サーフボードのジャンルにあって、PIGは間違いなくニッチなジャンルのボードである事は明らかであるが、ボードが個性的なせいか?オーナー達も一際個性的な面々だった様な気がしてならない。
このミーティングの模様は既にSNSを通して、PIGの第一人者であるマイク・ブラックに伝えられているのだが、いつの日か、日本でも本国のPIGミーティングに負けじと劣らないイベントにしたいと、参加者達が想いを馳せていた様に思えた。
延び延びになってしまったが、次回は、そんなマイク・ブラックがPIG道へ進んだ経緯を綴って行ければと思っています。
Keep Surfing!