初めての口頭試験 | 水の都で古楽修行♪ヴェルヴェッティーノのVenezia見聞録

水の都で古楽修行♪ヴェルヴェッティーノのVenezia見聞録

2016年よりイタリア留学中。国立音楽院の古楽科でバロック声楽を専攻しています。
日々勉強中なので、過去記事と最近の記事では発声について見解が異なる時がありますが、最新の記事が現在の発声です。
世界遺産の島ヴェネツィア在住。

「前多声音楽(プレ・ポリフォニア)」はイタリア語による口頭試験だった。

 

質問された内容は

・グレゴリオ聖歌の成り立ちについて歴史的な背景を答える問題

・実際に四線譜を見ながらネウマの名前を答える問題

 (1音ネウマには、ヴィルガとかプンクトゥムとかあって、

  複数音ネウマにはペスとかポレクトゥスとか、これまた色々と名前がついているのだ←前日夜に丸暗記した!)

 

↑初期の記譜法はこんな感じ。

テキストを書く人が先にテキストを書き、そのあとテキストの上にネウマを書く担当者が耳で聞いてネウマに起こす。

指揮者の手ぶり(キロノミア)をそのまま形にしたもの。

 

余談だが能の謡本とよく似ていると思う・・・

 

一方こちらは現代(1979年)に発行された「Graduale triplex」下差し

 

何が「トリプル」なのかというと、3つの楽譜をいっぺんに見比べられるから。

真ん中の楽譜が四線譜。ヴァチカン公式版。

その上にあるのが、スイスのザンクト・ガレン版(イタリア語ではSan Galloと言っている)。

現存する最初期の楽譜で9世紀のもの。

下に印刷されているのがフランスのラン図書館に所蔵されている楽譜からのネウマ。

 

結果は30点満点中25点。

落ちるかもしれない、落ちたら9月にまた受けよう、とにかく雰囲気だけでも知るために今回1回は受けてみよう、と思って試験に臨んだから、受かっていてほっとするはずのところだが、なぜか、「悔しい、もっとたくさん質問してくれよ!」と思った負けず嫌いな自分(笑)

 

授業で渡されたレジュメは全訳しても、意味が分からないくらい難しく、担当教授が個人指導してくれたのと、ウィキペディアと、「まうかめ堂」という素晴らしく詳しい個人サイトをみつけたおかげで、なんとか食らいつくことができた。

日本語でいったんまとめたあと、それをイタリア語に訳して、辞書が必要だった単語だけ単語帳をつくって暗記していくという戦法。

 

この授業は古楽科1,2年次必修の授業。

つまりバロック声楽だけじゃなく、フラウト・トラヴェルソとかバロック・バイオリンなど器楽の人も受ける授業。

イタリア人学生の中には、最初から「難しすぎるから9月に回す!」という人もいたくらい。

「昨日6時間しか寝てないよ」

と同じ試験を受ける友達に言ったら、

「私は4時間だよ」

と返ってきた。

言葉の壁がなくても大変なこの試験、来年度も必修だから続きがあるんだよな~~

でも興味アリアリな分野だから頑張れる!!