2017年度個人的ヨーヨーランキング | ALTERNATIVE SPIN

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元東日本ヨーヨーチャンピオンのブログ。スキルトイのレビューや楽器ネタを書いています。レビューのご依頼はスキルトイ情報サイトZESTのフォームからお願いします。

今年もやってまいりました「個人的ヨーヨーランキング」です。製造年ではなく僕が今年購入したヨーヨーをランキングしています。

第5位

バンダイ「モンスターボールヨーヨーコレクション」

THE球形ヨーヨー。初級トリックが十分行える性能、以外すぎるルーピング適性、そしてファンアイテムとして満点のルックス!まさかこんなヨーヨーがカプセルトイで発売されるとは思いもしませんでした。過度な期待は禁物ですがポケモンが好きなヨーヨープレイヤーはひとつ持っておきたい名作。


第4位
ダンカン「MKT」


クリス氏のシグネチャーモデル。ミドルサイズながら高い回転力を誇り、動作もスムーズ。氏のファン、ダンカンファンのみならず万人に勧められる性能に仕上がっています。キャップ用段差の大きさが絶妙で、なんと金属製パフォーマンスリングの着脱が可能です。取り付けたら外れないほどキツすぎず、プレイ中にスッ飛んでしまうほどゆるくもない。カスタマイズ遊びが好きな人にもおすすめのフルメタル。


第3位
44RPM「ブルース」


ドリュー&ハンクのブランドからリリースされたフルメタルヨーヨーの第二弾です。ウエイトを外すとオーバーサイズの軽量ヨーヨーに早変わりします。軽いのにスピードが出すぎないまったり系。さらに音が響きやすい構造のためストリングヒットのたびにベルトーンが鳴ります。手と耳の両方で楽しめる、ヨーヨー体験を豊かにしてくれる一品。生みの親であるドリューもウエイト無しのフィーリングが気に入っているそうです。


第2位
ダンカン「メタルドリフター2017」


アメリカのおもちゃ屋さんで大人気のメタルフドリフターがアップデートされました。前作・全前作よりもフルメタルヨーヨーらしい仕様とフィーリングになったものの、エントリーモデル的な雰囲気は据え置き。それでこそメタルドリフターです。開けポンにオイルを注して引き戻しで使うもよし、パッドとベアリングを換えてバインドにするもよし。お値段的にもフィーリング的にも「お気軽メタル」ここに極まれり。モッズミーティングで触れて以来、発売を待ち望んでいたヨーヨーがとてもすばらしい形で製品化されました。よりコンペティブな仕様のウインドランナーとの住み分けもバッチリできています。ラウンド好き、軽量好きにおすすめ。


第1位
ワンドロップ「ディープステート」


第1位はこれ以外ありえないでしょう!!バインドができない人でも高品質なヨーヨーで遊べるように作られたディープステートはまさに新世代の引き戻しヨーヨーです。すべりとリターンのバランス、シムとサイドエフェクトによるカスタマイズの余地、軽快なフィーリング、高級ヨーヨーとしての気品。どれをとっても素晴らしい。これが流行ればバインド時代のプレイヤーの引き戻しに対する意識が変わるはず。流行ってくれ!!と思っていたら熾烈な争奪戦が勃発するほどの人気商品になっていました。リワインドさんの別注カラーが出た後もオータムカラーなどが発売しているので今後もある程度は作られていくはず。気になる人はためらわずに買って下さい。そう言えるほどにオススメ。名作中の名作です。



今年はなんといってもディープステート。本当に素晴らしいヨーヨーです。このブログのアクセス数もディープステートがぶっちぎりで1位です。狭い業界にも関わらず公開からしばらくは毎日3桁のアクセスがあったことからも注目度の大きさが伺えます。

純粋に「投げて・技やって・戻す」フィリーングが良いし、基本技は余裕でこなせるけど上級はチョイムズ(激ムズ不可能じゃない)というスペックもヨーヨーの楽しさを強めています。

ディープステートの評価を期に引き戻しヨーヨーの研究がより一層活発化していってくれることを望んでいます。今のところ固定軸か、スタバ小径ベアか、サイズCマイナスに厚いパッド、くらいのアプローチしか無いので…



話は変わって先日長谷川さんがInstagramでこんなことを言っていました。

『ヨーヨーの楽しみ方が煮詰まって来てるのか新しい方向性が開ける前夜なのか。何にしても競技用から背を向けた機種が注目されてるのはヨーヨー業界全体としては理由を考えていかないといけない。』

https://www.instagram.com/p/BbThl65BIqR/?taken-by=taka_spingear

僕は夜明け前だと思ってます。

競技スペックのヨーヨーが飽和している現在、皆がそれに飽きてしまったからストレンジな方向を見始めた、と考えるのも一理あります。実際にそういう人もいるでしょう。最新最高を追い続けることに疲れてしまった人もいるでしょう。

その一方で、まだヨーヨー経験が浅い人が競技ヨーヨーと並行してディープステートやカメレオンに興味を持ったり、固定軸しか興味がなかった風の人が急にメタルを買いだしている場面も目にしています。

大会には出ないけどがむしゃらにトリックを覚えていく人。

SNSでトリックを披露するために頑張る人。

ヨーヨーの見た目やブランドに惹かれて収集する人。

 

ヨーヨーという「素材」からコンテンツや芸術作品を生み出す人。

「必要だから」ではなく「お気に入りだから」という理由で同じヨーヨーを買う人。

そういう層が徐々に、徐々に厚くなってきている気がするんです。今まで度々語ってきた「固定軸の再発見」「ハイウォール・ラウンド復権の兆し」もこれに由来します。

 

今やヨーヨーメディアは大会のビデオだけではありません。一般ユーザーが撮影した写真とビデオ。Twitterで綴られる遊び方の提案。これらの影響を受けた人がフォロワーとなり、次第に自分なりの遊び方を見つけ、拡散していく。

 

ヨーヨー以外のホビーと同じです。発信者の数とコミュニケーション手段が増加したことで多様化が進んでいる。これまでほぼ一本道だった状況がやっと拓けてきているんです。

メーカーとしては攻めにくい状況です。そこそこのヨーヨーをポンと売り出して売れる時代は終わりました。コンセプトを明確にしたプロダクトを生み、付加価値を考慮し、精力的なプロモーションによって魅力を伝えていかなければなりません。そこを、なんとか、乗り越えて欲しい。

シグネチャーの意味も大きく変わってきています。タイトルだけでなく、その人のキャラクターも重要です。

知ってる人なので例に挙げてしまいますが、ダンカンに再加入したてり~が好例のひとりです。彼が関わるプロダクトが人気を博しているのは彼のタイトルやプロダクト自体の質だけでなく彼のキャラクターも大きなファクターです。

てり~が大活躍している時代を共に生きた我々ではない、つい最近までてり~を知らなかったであろう世代にも「楽しそうにヨーヨーをしてるから好き」と言われる彼の影響力は計り知れません。

 

今のユーザーはそういうところも見ている。ショップ、メーカー、そしてスポンサードプレイヤー、それぞれが意識を高めていかないといけない。

 

本当に、色々なことが変わってきている。いちユーザーとしてわくわくしています。みんなも一緒に行く末を見守っていきましょう。


そんなわけで、ちょっと早いですが今年の記事はこれでおしまいです。良いお年を!