サクラアニュアルショーと日本とアメリカのランキング。 | from Velvet kennel

from Velvet kennel

富士山麓の静岡・朝霧高原にある
イタリアングレーハウンドと
ミニチュアピンシャーのブリーダー
ベルベットケネルからの便り

久しぶりの更新になります。




今年は年始からパームスプリングに始まって、オーストラリア、フィリピンサーキット、そしてまたアメリカ遠征、3月末のシドニーロイヤルドッグショーのあとタイに寄ってから…




本部展サクラアニュアルショーの金曜ロイヤルカナンカップの朝に帰国しました。
本部展はエントリーせずに見学だけでしたが、先週末は今年初めての日本のショーに参加しました。

今日は本部展を見て思うこと、日本とアメリカでのランキングなどについて簡単に書いておこうと思います。

まず、本部展。
今年はなぜエントリーしなかったのか?ですが
一番大きな理由としては、ショーのベースをほぼアメリカを中心に考えていること。
これは日程的なものを含めて、無理をしてエントリーするまでもないなぁ。と考えたからです。



昨年の本部展でもジャベリンがBOBからG3でした。
今年のジャッジはヨーロッパから審査員で本部展はFCIの会長でした。まぁ単純に考えれば良い審査になると思いたいところですが、そんなに単純ではないのもドッグショーです。
2ヶ月のアメリカ長期遠征の前に昨年末の大阪でデビューさせたエボルヴとエリザベスをエントリーする事も検討したのですが、本部展はエントリー時の状況でクラスが決まるため2人ともチャンピオンクラスからの出陳はできないし、現状国内のショーを重視していないベルベットには、ジャベリンを除けばアメリカチャンピオンしかいないのです。
そこからオーバースペシャルを狙う。
というのも審査員がイタリアングレーハウンドにかなり精通していれば可能な事だとは思うのですが通常容易な事でもないので今回はエントリーを見送る事にしました。


今後については、アメリカ重視の中ですが日本のショーにはエントリーはいたします。
そんな訳で見学のみですが、ベルベットの子であるピアちゃんの娘のハグちゃんがオーナー様とエントリーしていたのでその応援をして参りました。
ハグちゃんとオーナーさんめちゃくちゃ頑張りましたが金曜も日曜もオープンクラスの1席でそれ以上の成績は叶わず。
やはり中々チャンピオンを超えてオーバースペシャルというのは簡単な事ではなかったなぁと感じました。
ここまでのFCIショーで何度もオーバースペシャルしているハグちゃんであっても審査員次第ではとても難しくなりますし、やはりチャンピオンを全員打ち負かして勝利することは簡単ではありません。
それでも、ショーの中身では大幅な進歩もできていたし、ハグちゃんオーナーさんの今後もとても楽しみに思える内容だったのでとても良かったと思います。
ドッグショーに於いてはとかく勝ち負けに拘りがちですが…1番大切なのは犬と人の進歩です。
特にオーナーハンドラーの皆さんはその点を重視すべきであるし、ブリーダーである私達も結局のところそれが一番大切です。良いプレゼンデーションをする事がブリーダーとして犬のクオリティの証になりますしそれが評価となって返ってきます。
勝てたから良い。負けたからダメ。
と言った単純なものではないのがドッグショーであって様々な面から自分と犬を見つめて行く事が大切だと思っています。
そーいう意味ではベルベットからもエントリーすれば良かったと考えられるのですが、アメリカで膨大な数のエントリーの中で色々な審査員と向き合って過ごしていますので、今回は敢えて無理をしないで応援のみで良かったと思っています。




そしてブリード審査全般の感想ですが
今回はほぼソリッドカラーのイタリアングレーハウンドばかりだったと思います。現行のスタンダードではほぼFCIに沿う内容ですので今後アイリッシュのイタリアングレーハウンドがエントリーされる事は無くなって行くでしょう。
日本の飼育実情を考えると全てをFCIに寄せるのは理想的ではないと思います。本来は各国の事情を鑑みてスタンダードは策定されて然るべきですし、当然理想を追えばそうなるべきであると思います。現実的に日本の他犬種でも様々な歪みは多く見受けられます。そしてオーストラリアはFCI加盟国ですが独自のスタンダードです。


この問題はおそらく今後の日本では各国の事情を推し量る事はないFCIの原産国主義のスタンダードに沿って進んでいく事になると思うので、ベルベットも全面的にFCI対応とする気持ちはないですが、FCIのスタンダードも視野には入れたブリーディングにはするつもりです。
その辺りはまた今度お話しさせてもらうとして…

今回もベリーグッドのリボンがかなり多めに出ていました。
一頭一頭の評価を全て把握しているわけではないのですが、今年はカラーの問題ではなくクオリティを見ての審査員の判断だと思います。サイズにおいて例えばオーバーサイズなどであれば、それは失格となるのでベリーグッドとはまた違う評価ですので、今回の中ではサイズによる問題はなかったと言えます。一部サイズについてオーバーサイズが多いなどの意見を耳にしたりしますが、今回の本部展ではサイズ云々の問題はなかったと言えるとは思います。そしてベリーグッドの中の大半は健全性と性格面での評価からによるものだと思います。
健全性に於いての判断はもちろん重要なところで、しっかりと見定めなくてはならない所ではあるのですが、イタリアングレーハウンドはショーに於いてもとてもソーシャライズしにくい犬種と言えると思います。まぁその辺りの影響で上手く歩けていないだけであったり健全に見えない場合もあるとは思うのですがその見極めは難しいところで審査員それぞれの判断であろうとは思います。その上で多くベリーグッドが出ていたのは今後憂慮していかなくていけない部分だとは思います。基本的な健全性を備えた犬で、ある程度ショーに慣らしてから審査に挑む様にしなければならないとは思います。
4本の足でしっかりと真っ直ぐ歩く事や適正なシルエットとアウトラインを持っていることはショードックとしては必要なところ。という事でしょう。あくまでも見た目の派手さでショーの勝ち負けは決まるわけではないので、クオリティについてよく考えて行くべきであると思います。
そーいった中でオスのベテランクラスからBOBが選ばれました。
過去にも何度も同じリンクで競い合った子なのでよくわかっているのですが、四肢の健全性がしっかりしていてアウトラインやバランスに優れた男の子です。多くの犬達がしっかり歩けていない中でベテランらしく落ち着いて歩けていましたし、彼のBOBに異論を持つ方は少ないと思います。
色んな審査員の方がいますから時に結果は異なるのがドッグショーですが、良く理解されている方々はおそらくどの子が良くてあの子が良いな。というのはわかっておられると思います。
その様多くの人から思われて行く犬を今後も目指していこうとは思います。



あとこのところ問題になっているカラーの問題、特にホワイトマーキングに対する認識について。
現在、イタリアングレーハウンドは世界の中でこのホワイトマーキングに対して寛容なアメリカやイギリスのスタンダードと厳しく扱うFCIのスタンダードがあります。
簡単にAKC対FCIといった側面だけを見てどっちが良いのか。といった様な考えは私は持っていません。この世界に多くのイタリアングレーハウンドがいます。カラーに於いては何千年も前からホワイトマーキングもソリッドも存在しています。
その全てはイタリアングレーハウンドと呼ばれているわけで、私はその中で自分が思う素晴らしい犬を残したいと考えています。
ソリッドもアイリッシュもイタリアングレーハウンドですし、イギリスやアメリカなどではどちらも混ざっている中で審査されています。
このダブルスタンダードについて世界中の多くのブリーダーが頭を悩ませていて多くの意見がありますが、FCIに関しては原産国主義ですからイタリアのクラブの意見で全てが決まります。
まぁ現実的な世界の状況ではアメリカ・イギリスではナショナルクラブがスタンダードの策定しています。クラブ内で多くの意見が交わされて合議制を保って決められていますが、イタリアにおけるスタンダードの策定プロセスは明確ではありません。世界からの意見も届きやすい状況ではないのが現実です。しかしながら現在もこの問題は多くの方々によった議論は交わされていますので今後も変化することはあり得ます。現時点では二つのメジャーなスタンダードがある。これはしばらく変わらないと思います。
またカラーから健康上の問題を憂慮したのでホワイトを制限しているといった意見を耳にしますが、これも根拠はないはずです。褪色遺伝子やパイポールド遺伝子による健康問題は一部の他犬種で問題は存在していますが、それは全ての犬種ということではありません。イタリアングレーハウンドについてこれらの健康問題についての文献などは存在していませんし、あくまでも憶測でしかないはずです。そうでなければかなりの数犬種において問題が発生していて対応をしているはずです。排除の論理による憶測が元であると思うのですが,不確かな情報は流布されるべきではありませんので認識違いには気をつけてもらいたいと思います。
日本のイタリアングレーハウンドのコミュニティにおいて正しく様々な事が認識されて行くのが私の願いではあります。時代はボーダーレスでグローバル化しています。スタンダード以外の様々な情報なども色々なところから取得できる時代です。しかし偏向的な思考や対抗心からによる意見や情報もこの世には多く存在しています。
広い視野でイタリアングレーハウンドを見つめるのがとても大切だと僕自身は考えています。
今後のブリーディングについても世界の人々から見てもわかりやすい美しくクオリティの高いものを目指すつもりです。



そんな中で…
世界における現在のベルベットの立ち位置は…
といった観点も含めながら
日本とアメリカでのランキングのお話を。

ちょうど本部展で昨年のロイヤルカナンアワードの受賞者の展示モニターがありました。

ジャベリンが昨年の日本での牡のランキングナンバーワンを受賞しました。



この10年間日本に於いて牡牝数多くのナンバーワンの受賞犬を輩出してきましたが、今後はランキングを争う事に時間をかける事は無くなると思います。

ベルベットとしてはこの10年の実績は国内におけるナンバーワンブリーダーとしての揺るぎないものだと思っていますので、今後はスポット的なショーの参戦で充分そのクオリティを証明できると考えています。
それに加えて、現在の日本のショーの状況とランキングシステムの問題点から、その価値が大きく低下していると考えていて、真のナンバーワンを決めるシステムにはなっていない中で無駄に時間をかけることも出来ないという判断です。
ただし、何もやらないという選択肢はベルベットにはないので何らかの形で我々のクオリティを証明する。そう考えたときにベストな選択肢がアメリカへのチャレンジと考えました。
理由はアメリカで実績を残す事が1番困難で難しい。その中でプロハンドラーに依存せず基本的に実績のない私自身がオーナーハンドラーとしてチャレンジすること。その上で結果を出せたとしたら、更にクオリティを証明する事ができると考えたからです。
また現在、アメリカンタイプとヨーロピアンタイプが混在するイギリスのCruftsショーでもアメリカの犬がずっと勝ち続けている状況をみてもアメリカでのチャレンジが1番難しく難易度が高くてそかで得た結果の価値も高いと言えると思います。
実際には様々なシュチュエーションがあり単純に結果だけをみて評価とはならないので、ショーの背景や審査員,様々な観点から見て透明性がありその成果の価値がわかりやすい。それを私達ブリーダーは考えていくべきであり、状況を正しく認識しないと良いブリーディングに反映していく事も難しい事になります。
簡単に言えば…
自分を律して正々堂々と挑んで成果を得る。
という事になるとおもいます。

なぜ、そんな話が必要かというと
日本の現在のランキングシステムでは…
何頭参加していてもBOB、BOSに与えられるポイントは5ポイント。
つまり一頭で誰に勝たなくて5ポイントずつ加算される。そして、現在の日本のエントリー状況からすると、インターなど1箇所開催で頭数が集まる場合以外だとその様な感じでポイントを加算して行く事は可能な状況です。極端なことを言えば大して多くの犬に勝たなくてもランキング1位にはなれるという事になります。
真にナンバーワンの称号を得たいのならば、ショーのエントリーの仕方を正々堂々とやれば良いのですが、何をやってもナンバーワンが取れたら良いと考える人はどこにでもいるもので、ベルベットの10年もほぼ自分のためではなく、歪んだ形のナンバーワンを発生させたくない。という気持ちからでした。



しかし、長年ずっとそんなつまらない事に付き合ってもいられないので、今年は外野から見守りますが、参加できる大きなショーはなるべくエントリーします。
ですから、ナンバーワンではあるけど
たくさん集まったショーでどれくらい勝っている犬なのかなぁ。とかその辺りの付加事項なんかを見てみると真のランキングは見えてくると思います。
ですので、今年が終わったときにどの様な結果が待っているのか?私としては正々堂々とした戦いの積み重ねの中でその結果が正しく評価されたランキングになることを願っています。
そういった透明性や競技の公平性などは今後の犬種繁栄のためにもなるとおもいます。
今年の最終ランキングがわかった時点で考察はしてみたいなと思います。ランキングのみだけでなくインターウィークで何勝した犬なのか。など色んな指標を持って考えると面白いと思います。




そんな日本のランキングとは真逆にあるのがアメリカのランキングです。
毎週各地で10ヶ所程度はショーが開催されているアメリカ。年間にチャンピオンだけで100頭以上がショーには参加していて、ポイントはBOBにのみでショーで勝った頭数分のポイントが与えられます。戦略的なものや地域なども考慮が必要ですが、大きなショーを勝ちまくればナンバーワンにはなれますし、それくらいの犬じゃないとナンバーワンにはなれない。そんな仕組みになっています。
日本とは比べようもないレベルでとにかく層が厚い。良い犬はどこに行ってもいるしBOBになるだけでも大変です。正直なところ規模感が全く日本と違いすぎて諦めたくなるくらいとても厳しい中で挑戦する日々でした。
本当にあの中で勝負することだけでも大変なことなのです。
その中で昨年はマリブが
ブリードランキングで7位
オールブリードランキング8位
グランドチャンピオンランキング5位
オーナーハンドラーランキング4位
と全てシングルランキングに入りました。
日本でやって来たことがやっと形にできた昨年のアメリカ遠征。当初の目標はナショナルで開催されるTop20にノミネートされる事が目標だったのでランキング20位が目標でした。結果的にランキング7位。名だたる名犬の中にマリブがいる事を本当に誇り思えるし、年末のナショナルオーナーハンドラーファイナルではランキング10位以内の犬が争う中で見事にBOBを勝ち取りました。



今年は年始のパームスプリングは、その後にオーストラリアに渡る日程だったのでリオのチャンピオン完成だけを目指してマリブは不参加で実質2月のアリゾナからの参戦でした。
2月に6回のBOBでランキング2位
そした私の誕生日でもある3月1日にパックトゥバックで2連勝して暫定ですがランキング1位になりました。
日本産のイタリアングレーハウンド、日本人オーナーハンドラーとしても暫定といえど快挙だと思います。なかなか年間通じて参加する事ができないので12月までランキングを追うのは難しいと思いますが、3月の集計結果は間もなく発表ですがランキングの上位にはいるはずですので楽しみにしています。
最新の2月末では
ブリードランキング2位
オールブリードランキング12位
最新AKCランキングでは
グランドチャンピオンポイントランキング1位
オーナーハンドラーランキング3位
となっています。
間もなく3月末の集計も出るので楽しみに待ちたいと思います。

本部展、日本とアメリカのランキングについて書きましたが、日本のショーに長らく関わって来ていますが、スタンダード変更以降クオリティが落ちたとの声を耳にします。本来クオリティを高め研鑽しあって行くのがドッグショーであると私は考えますが、今の流れは逆行してしまっているのか…単なる変化による落ち込みなのか…これからの日本のショーの様子もよく見ながら自分達の思うクオリティの犬をエントリーしようと思います。
難しい話であったりしたところもあるとは思いますが、ベルベットとしては日本のショーでやれる事はやり尽くしてはいると思うので、メインはアメリカ。しかしFCI基準のカラーに対応した子達もこれから輸入しブリーディングプランに取り込むので、日本のショーのクオリティには貢献したいなと思っています。
ひとまず、今年はマリブや新しくアメリカに挑戦する子達とウエストミンスターとWoofstock への参加を検討しています。そのあとは日本のショーに帰ってくるつもりです。

それではまた。

ベルベットケネル
📧velvet.kennel@gmail.com
 
動物取扱業番号
富士保衛第225818017~9,225819007号

🇮🇹ブログランキングに参加しています😊
よろしければ下のボタンをポチっとワンクリック✨