ストーリーテラーはあなた -5ページ目

ストーリーテラーはあなた

適当な甲板員の日誌!
只今読者参加型小説執筆中

健斗は家に戻ると勢い良く玄関のドアを開けた。
「優梨!おい!優梨!中野藍が見つかった。早く来てくれ。」
ドタドタと喧しく音を立て優梨が階段から優梨が降りてきた。
「うそー?藍見つかったの?」
「ああ、だが、様子がおかしいまるで催眠術にかかったようになっている。意識も殆ど無い。今から緑進女子まで走るぞついて来い!」
「うん。」
優梨は力強く頷いた。健斗は優梨の手を取り走りだす。その後ろから杏が続いた。
河川敷を抜け商店街を抜け時定高校を過ぎ三人は緑進女子高校を目指した。周りの景色がどんどん流れていく。これまでこんなに速く長く走ったことがあっただろうか健斗は思った。優梨も杏も息を切らしながら健斗に付いてきている。中野藍には緑進女子高校を少し過ぎた山道で追いつくことが出来た。

健斗が中野藍の肩を揺さぶる。
「おい、大丈夫か?何があった?おい!」
しかし彼女は虚ろの目をしたままんなにかを呟き山道をまっすぐ奥へと入っていく。
「行かなくちゃ……行かなくちゃ……待ってるの……私の家……。」
「私の家?どういう意味だ?」
健斗は首を捻る。その疑問に雄馬が答える。
「さあ、さっきからずっとこの調子なんだしかもどんどん山道に入っていってる。マジやべーって。」
「それぐらい分かってる!この催眠をどうやって解くんだよ!」
健斗が雄馬を怒鳴りつけた。その時優梨がしびれを切らし藍の肩を揺さぶった。
「藍!藍!どうしたのよ?私よ!優梨だよ!お願い!元に戻って!何言ってんの?私分かんないよ!」
かなり強い力で優梨が藍の肩を揺らしている。健斗が制止しようとしたその時、藍が言葉を発しなくなった。
「……ゆ……う……り?」
「藍?分かる?私だよ優梨だよ。藍!」
「ゆうり?あれ?私商店街にいたんじゃ?あれこの人達誰?」
藍は周囲を見回し疑問を口にした。
「みんな藍が誘拐されたと思って来てくれたんだよ。」
優梨が藍に抱きつき涙を流す。
「優梨、中野を家に連れていってくれ。杏、雄馬、愛美山道の奥だ。」

怖い。背筋が寒くなる。動悸がおかしい。全身に鳥肌が立っている。膝が笑っている。
どの表現にも例えられない感覚を健斗は覚えた。





健斗は息も切れ切れに携帯に出る。
「もしもし?雄馬か!見つかったか?」
電話ごしの雄馬はかなり気が動転しているようだった。
「見つかったのは見つかったけど中野のやつすげー様子がおかしいんだ。まじやべーんだって早く来てくれ。」
「分かった。優梨も連れて行く。あと愛美に合流の電話をいれてくれ。」
「了解した。マジで早く来てくれって、なんか催眠にかかったって感じ?」
「催眠だと?どういうことだ?」
「なんかさ、俺が声かけても全然反応しないで何か呟いてるんだ。それに目は虚ろだしさー!」
「まさに催眠にかかったって状態だな。今から優梨と合流してそっちに向かう。今どのあたりだ?」
「今緑進女子高校前位だ。どんどん時定山の山道に入って行ってる。」
「了解した。待ってろ。」
健斗は携帯を切ると全速力で家に向かってかけ出した。
すべてのピースがはまった気がした。
玄関先で健斗は杏と合流した。
「どういうこと?なんでわかったの?」
杏が慌てた様子で健斗に聞いてきた。
「優梨と電話中に中野藍が消えたんだ。音も無くだ。とりあえず商店街以西を探すぞ。中野藍は商店街で行方をくらませている。」
「うん、分かった。でも、どこを探すのよ?全然手がかりがないじゃない。」
「こっちだって知らない。道という道を走って探すしかないだろ。不審な車や人がいないか注意深く探せ。」

健斗と杏はとにかく路地などを注意深く探したが手がかりはひとつもなく諦めようとしたその時電話が鳴った。
着信ディスプレイには雄馬と表示されていた。

けたたましいノックの音がした。
ベッドで寝ていた健斗は飛び起きた。ドアを開けるとなだれ込むように優梨が部屋に入ってきた。
「健ちゃん!健ちゃん!開けて!藍が、藍が……」
半泣きで喚き立てる優梨をなんとかなだめ、肩にそっと手を置き事情を聞こうとした。
「どうした?泣いてちゃ分からないだろ?ゆっくり話してみろ。」
「藍が……藍が……誘拐されちゃったの……携帯で話してたらいきなり声がしなくなって携帯が地面に落ちる音が聞こえて藍がいなくなっちゃった……。」
優梨は嗚咽しながら頭で情報を整理しながら事情を説明した。
「つまりこういうことだな。中野藍と電話で話してたらいきなり声がしなくなって電話が地面に落ちた。優梨はこれを誘拐もしくは神隠しにあったと判断したわけだ。何かエンジン音はしたか?」
「してない。いきなり無言になって、携帯の落ちる音がしただけ……。」
「分かった。俺に任せろ。」
健斗は携帯を取り出し3人に一斉にメールを打った。

TO:杏 雄馬 愛美
件名:至急!!

緑進女子高校1年中野藍が誘拐された
場所は商店街付近
愛美は東時定方向
俺と杏で西時定を探す
自転車で機動力のある雄馬は時定山方面を頼む。