道割草物語(上) (メテオCOMICS)
道割草物語(上) (メテオCOMICS)

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百合度:
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人物:
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内容:
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総合評価:
★★★★★★★★★☆

連載が始まってから終わるまで百合漫画の中では一番注目していたと言っても過言ではない作品。とある組織が人類と地球環境を救う目的で人口を六分の一に減らす為のウィルスをばら撒くのですが、それが予定より効きすぎて人類が滅亡してしまい、吸血鬼だけが生き残った世界の話です。

この作品に出てくる吸血鬼のオリジナル?の設定に「宿し直し」というものがあります。相手の全ての血と記憶と魂を吸い尽くし、自分と1つになった命を自分の子供として宿し産む事ができるのです。宿し直しされた人間は吸血鬼として生まれ変わり、人間だった頃の姿まで成長し、その後は不老不死になります。当然これは女性吸血鬼にしか出来ないことなので、吸血鬼は基本的に女性を求めるように出来ているとか。

またウィルスのせいで徐々に滅んでいった人類の世紀末は悲惨なもので、秩序が崩壊した世界における女性の立場がどのようなものかは想像するに容易いと思いますが、その結果終末期に宿し直しされて吸血鬼になった元人間の中には男性に対して強い拒絶反応を示す人も少なくないようです。

百合的には文句は全くありません。1巻表紙の2人は300年以上前から連れ添った関係ですし、2巻表紙の2人も年月こそ短いですが恋人の関係です。恋人関係であり母子でもあるなんて新しいですよね。物語の中心にある2つのグループの争いも、結局は妹は姉が好きなのに、姉が宿し直しをして、その人とずっと一緒にいるのが気に食わないというオチです。

不満があるとするならただ1点、終わるのが早すぎます。妹が姉に本音を真正面からぶつけるところは見たかったですし、日常的な部分でも自分達でいろいろ試行錯誤しながら生産しているところを細かく見てみたかったですね。上下巻同時発売なので1巻が振るわなかったせいで打ち切りとかではなく、初めからここで終わる予定だったのだと思います。最後に著者のコメントで「まだどこかで巡りあえますよう・・・」と書いてありますが、是非第2部で宜しくお願いします。

百合が好きな人はもちろんですが、終末後世界が好きな方でも十分楽しめる作品だと思います。今年月刊化する予定の百合姫はこういう看板になりそうな作品引っ張ればいいのに・・・。

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道割草物語(下) (メテオCOMICS)
道割草物語(下) (メテオCOMICS)