ビタミンDが豊富な「キクラゲ」。無農薬栽培を始めた高田陽子さんに取材しました。
70歳で社長に!無農薬の国産キクラゲ栽培
株式会社ティーワイ代表取締役社長 高田 陽子社長
キクラゲは、カルシウムの吸収に必要なビタミンDを豊富に含み、毎日もっと食べたい食材のひとつです。スーパーなどでは、国産のものを見かけることが少ないですが、高田陽子さんは、太陽光発電を目的としたソーラーパネルのデッドスペースを有効活用し無農薬での国産キクラゲ栽培を行っています。高田陽子さんは、70歳で会社を設立し、国産の安全なきくらげの栽培を始めました。
「毎日お世話をしていると、食べ物が生きていることが実感できる」と、70歳を過ぎてからの新たな挑戦を楽しんでいる姿がとても印象的でした。
今回は、高田陽子氏の行っているキクラゲの栽培方法や事業のビジョンを詳しく伺いました。
■ソーラーパネルのデッドスペースを有効活用
-この事業を始めようと思ったきっかけを教えてください。
もともとは空き地となった工場跡地にソーラーパネルを並べて、太陽光発電のみをしている施設でした。
しかし、大量に並べられたソーラーパネルの下はデッドスペースとなってしまい「何か有効活用できる方法はないかな」と考えていたときに、キクラゲの栽培を思いつきました。国産のキクラゲはまだまだ少なく希少価値が高いこととキクラゲの栄養価に注目してもらいたいという思いから、スタートしたのがきっかけです。
70歳を過ぎてから農業をするとは自分でも思っていなかったので、ちょっとびっくりしています。
●ソーラーパネルの下のデッドスペースを利用。
■気になる国産キクラゲの栽培方法とは
-キクラゲの栽培方法を教えてください。
おがくずや米ぬかを原材料とした菌床にキクラゲの菌を植えたものを仕入れています。この菌床を特注の栽培用テントに100個並べており、現在は約400個管理しています。
日中は2時間おきに約5~10分、夜間は日中よりも少なめに自動散水する仕組みになっているので、手動で水をあげる必要はありません。
育ってくると菌床に大きなキクラゲが実るため、落ちてしまう前に収穫するのがコツ。多いときには2kgほど収穫できることあり、意外と収穫作業は重労働です。
●菌床に大きなきくらげが実ります。
また、収穫して終わりではなく、収穫後には1つずつ石づきの部分をカットしながらきれいに洗います。
キクラゲは生の状態で冷蔵庫で1週間鮮度が保てます。生で販売するとともに専用の乾燥機で乾燥させて乾燥キクラゲも作っています。乾燥させることで10分の1まで小さくなるだけでなく、約1年間おいしく味わえるようになるんですよ。
-ソーラーパネルの下のデッドスペースを利用するメリットとしてどのようなことがありますか?
キクラゲの栽培では直射日光を当ててはいけないので、ソーラーパネルの下で栽培することで本格的なビニールハウスを作るよりも低コストでキクラゲが好む環境を実現できます。無農薬でおいしいキクラゲが作れるところもメリットではないでしょうか。
■道の駅やサービスエリアでほぼ完売の人気商品に
-現在はどのような場所で販売していますか?
2019年6月より栽培を始めたばかりなので、現在は地元の道の駅やサービスエリアでの販売を中心としています。
ありがたいことに店頭に並ぶと完売することがほとんどで、今後はさらに販路や商品数をを増やせるよう検討しているところです。
キクラゲのカット方法や家庭での使いやすさにもこだわり「どのような状態なら料理に活用しやすいか」日々研究しています。
■食事と睡眠にこだわることで健康的に
-高田社長自身が走り続けるため大切にしている生活習慣を教えてください。
佐藤和子先生の栄養学に出会ってから、食生活と睡眠にこだわり無理をしないようにしています。1日3食の食事の質を高めるのはもちろんのこと、毎日22時前には布団に入り、7時前には朝ごはんを食べられるよう基本的な生活習慣を大切にしています。
■もっとキクラゲのことを知ってもらえるように
-今後の目標を教えてください。
キクラゲは食物繊維やビタミンDが豊富な食材なのですが、栄養価やおいしさを含めまだまだキクラゲのよさが広まっていないと感じています。
どれだけ魅力的な食材なのか知ってもらえるようPRの方法や、ギフトなどの商品展開を行っていきたいと思っています。
また、キクラゲを使ったレシピも考案していき、子供から大人までおいしく味わっていけるような工夫もできるよう考えていきたいです。まだ始めたばかりの事業なので手探りな部分もありますが、自分のペースで楽しみながら前進していけたらと思っています。
群馬県にお出かけになったら、道の駅でぜひ、国産の安全で、心を込めて栽培されたキクラゲを購入してみてください。フレッシュなキクラゲの独特な歯触りはクセになる美味しさです。