日本で一番イケてるかもしれないヒップホップ・メディアこと、洋楽ラップを10倍楽しむマガジンさんに、バディ(Buddy)の「Trouble On Central」歌詞解読を寄稿いたしました!

 

コンプトンで立ち往生するバディの「トラブル」を読む (Buddy - "Trouble On Central")|洋楽ラップを10倍楽しむノート|note

 

昨年7月にRAqくんが立ち上げた同マガジンも、先月1周年を迎えました。

 

ここまでがっつり歌詞に着目して解説するメディアってなかなか無いし、自分が書かせてもらっているから言うわけじゃないわけじゃないけど、880円/月でこの内容って素晴らしいなと思います。

 

興味を持たれた方はぜひ購読するか、または記事単位で購入してみてください!

 

 

 

 

さて、上に書いた記事でも紹介したんですが、最近めっちゃ有能な地図を見つけました。こちらです!

 

Gangs of Los Angeles (2018) - Google マイマップ

 

LAのギャングの縄張りを一目で分かるようにした地図です。

 

もちろん、ギャングは地理の授業のために存在するわけではないので、テリトリーが重なり合ったり離れたりしていて、全てがこの地図どおりというわけではありませんし、実態としては勢力図が変わっていたりもするかもしれません。

 

あくまで参考ということで、ご了承ください。

 

 

 

さて、まずはコンプトンを見ていきましょう。

 

今回扱ったバディが育ったのは、ハーラン・アヴェニューとアロンドラ・ブルヴァードが交差する辺りのクリップスのテリトリーだから、Nutty Blocc Compton Cripsの縄張りですね。コンプトン市内の西側にあります。

 

コンプトンのウェストサイドからは多くのギャングスタ・ラッパーが生まれていて、Tree Top Pirus出身のDJクイック(DJ Quik)やYG、Tragniew Compton Crips出身のMCエイト(MC Eiht)、Campanella Park Pirus出身の故・モーズバーグ(Mausberg)など、枚挙にいとまがありません。

 

そのDJクイックやドクター・ドレー(Dr. Dre)、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)が通ったセンテニアル高校(Centennial High School)は、ケンドリックの生家と同じくWestside Pirusの縄張りにあり、外装が赤いことからも判るように、ブラッズ系の高校で、ブラッズ関係者が通うと聞いたことがあります。

 

ではクリップス関係者は?というと、コンプトン高校(Compton High School)に通うんだそうです。ギャングスタ・ラップのパイオニアであるN.W.Aのイージー・E(Eazy-E)もザ・ゲーム(The Game)も、同校出身です。ゲームといえばブラッズのイメージが強いかもしれませんが、高校を卒業するまでギャングとは無縁の生活を送っていたと、彼のステップファーザーから聞きました。

 

ちなみに、イージー・EはKelly Park Compton Crips出身で、その縄張りはコンプトン市内の東側に位置します。

 

 

 

次に、ワッツです。

 

TDEのジェイ・ロック(Jay Rock)や、現在オツトメ中の03グリード(03 Greedo)がワッツ出身ですが、前者はBounty Hunter Watts Bloods、後者はGrape Street Watts Crips出身です。そういえばシンガー兼俳優のタイリース・ギブソン(Tyrese Gibson)も同市出身ですよね。どの辺なんだろう?

 

Grape Street Watts Cripsの縄張りは、映画『ポケットいっぱいの涙』(原題:Menace II Society)の舞台にもなりました。

 

ワッツといえば、イタリア系アメリカ人のサイモン・ロディアが一人で作り上げたワッツ塔が有名ですが、これはBad Ass Gangster Cripsのテリトリー内にあるみたいですね。

 

 

 

イングルウッドからも「Where I Wanna Be」で有名なシェイド・シャイスト(Shade Sheist)や元オッド・フューチャー(Odd Future)のケイシー・ヴェジーズ(Casey Veggies)、TDEのSiR、そして一昨年の来日も記憶に新しいオマリオン(Omarion)と、いろんなアーティストが生まれていますが、いずれもギャングには属していなかったようです。

 

同市にはザ・フォーラムという有名なライブ会場があり、これはInglewood Gangster Family Bloodsのテリトリー内にありますね。外装が赤っぽいのもそのせいだったりして。今年の5月にTDEのツアーを観たのもここでした。てか、この地図を見てると、他の地域と違って、イングルウッドは全体的にブラッズのほうが優勢な感じがしますね。

 

 

 

北上してダウンタウンに近づくと、LAで、というかたぶん全米で、最も構成員が多いといわれるRollin' 60's Neighborhood Cripsの縄張りがあります(左下の水色のエリアがそれです)。ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)もこのセット出身で、クレンショー・ブルヴァード(紫の実線)とスローソン・アヴェニュー(紫の点線)の交差点付近に、彼が手がけるアパレル店The Marathon Storeがあります。ちなみに、ピンを立てているのは、僕が5月に泊まったCrenshaw Inn Motelです。どれだけローリン・60ズのテリトリーのど真ん中にあるか、お分かりいただけるでしょう。帰りのUberでは、近くで降ろそうとする運転手に「ダメ、目の前で停めて!」と言いました(笑)。

 

スクールボーイ・Q(ScHoolboy Q)が所属していた52 Hoover Gangster Cripsのテリトリーは、画像真ん中よりちょっと右下にあるオレンジの四角形です。そのQも出た昨年の『DAMN.』ツアーLA公演が行われたステイプルズ・センターは画像右上にありますが、この辺りになるとギャングの影響下にはなさそうですね。

 

あと、昨年泊まったAirbnbが、クレンショー沿いにある紫の四角形の辺りにあったんですが、閑静な住宅街にある素敵な家でした。この画像には文字が出ていませんが、ブラック・ビバリーヒルズとも呼ばれるボールドウィン・ヒルズが近くにあり、裕福な黒人が多く暮らすエリアなんだそうです。

 

 

 

 

こんな感じで、普段聴いてるアーティストの出身地を、彼らが所属していたギャングのテリトリーを手掛かりにして地図に落とし込んでいくのは、なかなか楽しい作業でした。

 

もう夏休みを取ってしまった方が多いかとは思いますが、この地図を頭に入れながらLAを旅行してみるのも楽しいんじゃないでしょうか?

 

ただ、これは自戒を込めてですが、怖いもの見たさでフッドを旅行することを、快く思わない人もいるのは確かです。

 

だったらどうしたらいいんだ、と言われても答えを持っているわけではありませんが、自分が家の近くでやられたら嫌なことはしないようにしましょう。