●個人的な胎動●
【僕が成りたいものは、最大の質問なんだ】
そう云い放ったシャイで偏屈な天才を崇め、恋焦がれていた彼女の彼もまた、何時かの夏の日を瞼に映写して想い馳せ、密やかに大胆にマスターベーションを繰り返していたなんて、とんだ御笑い草だ
悉く情けない程に純粋なんだ僕等は、だなんて自己擁護をする割に、戒めの苦しさが心地良くて堪らないだけなのだとも、簡単に認めるのだから
だから今も
アレはああだし
コレもこのまま
傷は傷を脱却して証に成ったらしい訳だが、何とも納得のいかない不恰好な貌なので、無理矢理にでも変化させようと試みる彼女の右手中指を刺した
『勿体無いからお辞めよ』
或る意味、真夜中にストレートな愛の言葉を耳元で囁かれるより不快