「驚かせてしまいましたね。

実は日本を元気にするアイドルユニット「Ve.ナース」のメンバーを探していたんです。

ふみかさんをヤングエンジョイガールのオーデションで知って以来、「この娘しかいない!」と確信して探していました 。」


ふみかはうれしさと驚きで言葉も出ない。


事務所には一緒にユニットを組むVe.ナースのメンバーが集まっていた。


みんなテレビや雑誌でよく見かけるタレントたちばかりだ。


「私なんかが同じグループとして仲間入りしちゃっていいのかなぁ。」


一瞬不安がよぎったが、人懐こい性格のふみかがメンバーに溶け込むのもそう時間はかからなかった。


ホワイトボードに目をやると「新曲候補」と書かれた項目の下にずらりとタイトルが並んでいた。


その中に

『P.S. 赤いごみ箱をベッドの横に置くのは、風水的によくないですよ』

というタイトルを発見したふみか。

ハハッ!手紙の裏に書かれた謎の言葉はこれだったんだ。


「デビュー曲は91年にモンスターヒットになった「それが大事」に決定しました。

日本を元気にするために集結したVe.ナースにとってこれ以上の選曲は無いと確信します。」


自信を持った表情でデビュー曲を発表する村田。


メンバーとスタッフから拍手が起きた。


「「それが大事」はお父さんがお風呂でよく歌っていた歌だ。

私もくじけそうになった時、何度も心の中でリフレインしてたなぁ。」





デビュー曲の発表までわずか1ヶ月


Ve.ナースのメンバーは寝る間も惜しんで歌とダンスの練習に没頭した。





新曲初披露の日を迎えたふみかは胸騒ぎを抑えられずにいた。


「やっと夢がかなうんだ。

不安もあるけど、最高の笑顔でみんなに元気をプレゼントしたいな。」 


ニュー新橋ビル前の特設ステージで「それが大事」を歌い始めたVe.ナース。

斬新なコスチュームとのりのいい楽曲に引き付けられ、多くの人々が集まってきた。


歌い始めて間もなく、ふみかは心臓が止まるかと思うくらい驚く光景を目にする。




人垣の真ん中に父の姿を発見したのだ。




動揺を隠しながら必死に歌い続けるふみか。




幼いころの記憶そのままのおとうさん・・・・





ふみかはその姿を見て、父がこの世にいないことを改めて確信した。







最後のフレーズを歌い終えたふみか。




心配そうに見つめていた父は、最後に優しい笑顔で手を振った。


ふみかも最高の笑顔で、ゆっくりと大きく手を振った。




そして




父はやさしい笑顔を湛えたまま、陽炎のように消えていった。



ふみかはあふれる涙をぬぐおうともせずに、なんどもなんども「ありがとう」と繰り返した。






ふみかはメンバーがステージを降りた後も、父がいた場所を見つめながら心に誓っていた。





「おとうさん、ありがとう。

きっと私のことが心配だったんだね。


これからいろいろな試練があると思うけど、私は大丈夫!


負けそうになったとき

投げ出しそうになったとき

逃げ出しそうになったとき


お父さんお笑顔を思い出してがんばるよ。


自分を信じて、みんなに元気を与えられるような存在になる。


あきらめずに、自信を持って前に進んでいくこと


それが大事だよね。」




樫山ふみかはVe.ナースのメンバーとして、日本を元気にするための“第一歩”を踏み出した。




END








最後まで見てくれて、ありがとうございました☆





これからもよろしくねぇ(o^-')b






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