籠った感じで安息感が得やすい谷合いに構えられる別荘日本人は、その風景観、別荘構築の目的の違いのために西洋人が好んで別荘を構えた海辺ではなく、山裾に別荘を構えたというのがここまで論じてきた解釈であるが、樋口氏流の見方をすれば、中国の都市計画思想による碁盤目状の都になじめなかった貴族たちと同様、西洋の都市計画思想によって急速に西洋化していった東京になじめなかった特権階級の安息を得る山荘であったということもできる。海に接しているとはいい難く、籠った感じで安息感が得やすい谷合いに構えられる別荘もあったこともこのことを裏付けているのではないだろうか。