金融トレーダーと兵士 | VCE - Abito A Ghetto -

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感性と知性が財産です。

取引中の金融トレーダーと、戦争前線の兵士は同じ精神状態にあると、私は考えています。生き死にの瀬戸際の瞬時の判断力と行動力は、両者ともに同じような思考展開によって実行されるものであります。また、前線から離れた時、敗北の時にも類似したPTSDの症状を味わうと思います。

金融トレーディングをマネーゲームと言われていますが、ゲーム(=試合)なんて言えるような生易しい世界じゃないです。金融トレーディングは、まさに生きるか死ぬかの戦争です。その最たる例が、1997年のアジア通貨危機です。東南アジアに至っては国家経済が停止し、その年の経済成長率が各国マイナス4.7%という尋常なほどの損害を被りました。1997年、欧米のヘッジファンドが過去最高の運用益を叩きだした一方で、東南アジア諸国は独立から30年間積み上げたものが一夜にしてゼロ、もしくはマイナスになったのです。

兵士が前線で生きるか死ぬかの緊張下にあるように、金融トレーダーも取引時間中ずっと持ち金がマイナスになるかプラスになるかの緊張を味わうのです。どんなに精神的、肉体的にタフな兵士であっても、前線で冷静な判断力と行動力を持続できるのは1年が限界です。同じように、金融トレーダーも毎日前線で取引を張れるのは1年が限界だと思います。

過去には70年代のベトナム帰還兵、現在は2000年代前半のイラク、アフガニスタン帰還兵のPTSD、自殺が、アメリカで問題となっています。兵役が終わったとしても、精神的にはずっと同じ緊張状態が続くのです。
金融トレーダーも同じだと思います。前線から離れたとしても、一文無しになる恐怖感はずっと続くのです。



Billy Joel "Goodnight Saigon"



第3巻「ハスの花」 で、幹登が病んでいく様子は、自分の経験と、兵士のPTSDを参考にしながら書いています。生き抜くことへの恐怖を忘れたいから、何かにすがる。いっそのこと死んだほうが、生き抜くことへの恐怖から逃れられると思うこともある。