
あらすじは、終戦間際にアメリカ軍捕虜に対して、生体実験を行った実在の話をモチーフにしています。その人体実験に関わった勝呂医師の心の中に閉じ込めた闇を、患者の「私」が追っていく話です。
医師たちも捕虜を生体実験に使うことを、医師の倫理、誇りにかけて当初拒んでいましたが、戦争という時代風潮、医学部内の学部長抗争のために、生体実験に手を染めていきます。
遠藤周作はこの作品で、神なき日本人における罪悪感の不在を描いています。とは言っても、神の存在するキリスト教徒、イスラム教徒でも、過去の歴史を振り返ると、このような非人道的、非倫理的な行為を行っています。人間も生物であるゆえに、極限の条件下に置かれた場合、自己防衛の本能として他傷という行動に出ます。
この他傷を罪と認識することによって、神への信仰を誓います。厄介なのは、その神への帰依を名目にして、他傷を正当化することです。しかし、自己防衛の手段として、他傷を行ったとしても、その後の人生でPTSDとして自分の心の中で苦行を負うことで、その罪を贖っていると思います。
ヴェネツィアを旅行するは約7年ぶりになります。体調が回復したので、ヴェネツィア行きを決めました。
プライベートで行った海外旅行は4回とも全てイタリアです。イタリアに行くと、不思議と元気になります。特に、ヴェネツィアは居心地がよく、ずっと前から暮らしているような安心感があります。
新婚旅行の行きの飛行機で隣り合ったイタリア人女性が、たまたまヴェネツィア出身の方でした。それがきっかけで、ヴェネツィアに惹かれるようになりました。
前回の放送で、盲目の落語である桂福点 師匠が監督をなさったショートムービー「鬼は外」に心を打たれています。9分という短い時間ですが、見入ってしまい、1時間のドラマのような、良い疲労感があります。
「鬼は外」のあらすじです。福点師匠演じる全盲になってしまった主人公が、八尋千秋さんが演じる両上肢機能障害の女に惹かれていきます。そのなかで、主人公が、自分の心の中にある、全盲になってしまったことの嘆き、後ろめたさを、自分の中で受け入れていくという話です。(ショートムービーでは、これらの感情を「鬼」と表現しています。)
本当に良い出来だったので、伝えたいことがたくさんあります。
盲目の主人公から見る視覚の世界が感情にリンクして、深緑がかった世界であったり、オレンジがかった赤い世界だったりと、心の中の温度を感じます。ヒロインの八尋さんも、ひとつひとつの表情やしぐさが色っぽい一方で、ふとしたきっかけで見せる悲しい顔が、どうしようもなく切なかったです。
他の演者の方もスタッフも、福点さんの意図を十分理解して、自分の特性を最大限に生かせた演技、カメラワークができていました。
福点師匠は、障害への悔しさ、嘆きを「鬼」という存在で描いていました。
僕にも「鬼」は存在します。10代の頃は、貧しく、スポーツ、勉強ができない、ルックスが良くないことへの妬みという「鬼」がいました。また、30代になって、うつ病になり、それまで自分が積み上げてきた努力、プライド、社会的評価が、ズタズタに傷つけられたことに対する怒りという「鬼」がいました。
この鬼という存在は、僕も含めて、小説「呪縛」の幹登を突き動かす存在です。この鬼を、僕は小説「呪縛」で「マグマ」と表現しています。この鬼の存在によって、10代の頃は、「誰よりも出世して、お金を稼ぐ」という強い意志になった。30代後半で体力、精神力が回復したとはいえ、「鬼」を活かしきれるくらいの裁量は今の自分にはない。
参考:バリバラ公式ページ 「前回の放送」より
http://www.nhk.or.jp/baribara/lineup/
小説「呪縛」で幹登を描いていくためには、生まれて持った苦しみ(例えば、貧困、差別など)に逆らって生きる人間の苦悩や心理を知るためには、障害者の心理や思考も知るというのは当然の成り行きでした。
実際の取材を通して、これまで学校教育やメディアが押し付けてきた「障害者は聖人である」、「障害者が頑張ってこんなことができました」、「健常者だから頑張ろう」というのは、障害者の方にとって、自分の障害を晒して、プライドを傷つける惨めなものであるというのがわかった。
僕にも似たような経験がある、小学校3年の時に、長縄跳びができなかった。僕が長縄跳びをできるようになったことを、担任が学級通信に掲載したことに、僕はプライドを傷つけられ、惨めな思いをした。自分が長縄跳びができないことを、学級通信で晒すということに、デリカシーのなさを感じ、小学校教師のレベルの低さを知った。
自分が生まれ持った苦しみを誇りに思い、笑いに変えるというのは、まだ僕には受け入れがたい。だけど、その苦しみがあったから、今の僕がある。苦しみをエネルギーに変えて、勉強や仕事をやってきたわけです。苦しみがあったから、少数派かもしれないけど、僕を評価してくれた方々の優しさを、誰よりも感じることができた。
制作年月:2006年9月
服地:Robert Clough
服地生産国:イギリス
この生地は1980年代前半に織られたものなので、30年以上も前のものになります。チョコレートブラウンベースにオレンジのマルチストライプが入っている緻密なつくりの生地です。
茶色と緑は木々の色なので、当然相性の良い組み合わせです。ネクタイのストライプにオレンジを入れることで、スーツのストライプ柄のオレンジと繋げることで、Vゾーンがまとまります。
ストライプ・オン・ストライプ・オン・ストライプという非常に複雑な構成です。また、チョコレートブラウン、オレンジ、赤、黄、紺と色数も5つです。しかし、茶色と緑は木々の色なので、当然相性の良い組み合わせです。まとめるポイントは、オレンジ、黄、赤で各アイテムの要所要所で色をつなげます。
僕のスーツスタイルの原点は、ラルフ・ローレンやブルックスブラザーズのアメリカン・トラッドにあります。
制作年月:2012年9月
服地:Martin & Sons
生産国:イギリス

尊敬する高校時代の英語の先生が、3つボタン段返りのアメリカン・トラッド・スタイルのスーツを着てらっしゃっていて、最初に学んだスーツスタイルはその先生の着こなしです。また、先生が着てらっしゃったネクタイも、トラッドなレジメンタルストライプでした。
レジメンタルストライプのネクタイを着る場合、ネクタイのストライプ間隔より細かい間隔の、ストライプシャツを着ます。ストライプ・オン・ストライプにします。また、シャツをクレリック仕様にすることで、映画「ウォール街」のゴードン・ゲッコーをイメージさせました。
スーツは月曜と同じ紺ですが、ネクタイの柄に赤が入っただけで、Vゾーンにアクセントが入り、鮮やかになります。料理の塩加減、スパイス使いと同じように、ちょっとした反対色を入れるだけで、変化が起きるんです。
制作年月:2005年9月
服地:Ermenegildo Zegna
生産国:イタリア

このスーツを作ってもう10年経ちます。スーツのデザインが、10年経っても全く古びていないのは、これが全てのスーツのデザインの基礎になっているからです。基本の3つの特徴である、「ラペル幅10cm(今は11cm)」、「チェンジポケット」、「三つボタン段返り」は、ずっと守り続けています。

ベストもこの時から仕様は変わっていません。ゼニアの好きな点は、紺の色の出し方が上手く(ちょっと紫が混じっている)、艶やかなところです。
月曜日は紺ストライプのスーツを着ます。紺は知性を表す色です。紺を着ていると、平静が保てて、冷静な判断が下せます。
制作年月:2007年10月
服地:Taylor & Lodge
服地生産国:イギリス

ストライプの色は水色か青と決めています。また、ストライプの柄の青色を、ネクタイの小紋の色と同じ色で繋げて、Vゾーンにまとまりを見せます。

秋冬物のスーツは全て3ピースにしています。背中はキュプラではなく、表地を使います。キュプラは生地の性質上空気を多く含んでいるので、縮みやすいです。キュプラを使う部分を少なくするために、背中は表地にしています。


















