彼女は、一瞬ほほえんで
資料とは別の、ポーチから、
自己資金の「かたまり」を
取り出し始めたのでした
「お借りしますね」と言って
わたしは、積立や証書を
彼女の目の前で数え始めました。
「<積立>
5千円×48か月・・
3千円×42か月・・
(以下)
10×50・・
2×50・・
5×48・・
3×36・・
10×45・・
5×50・・
7×42・・
<定期証書>
111千円
237千円
(以下)
100・・
200・・
155・・
5000・・
合計(元金ベースで)8,111千円! 」
「美容室の給料から少しずつ増やしていきました。
実家でしたし給料の半分近くまでは何とかできたんです」
「掛金が7本で月50千円ずつ・・・
よく今まで継続されましたね。
端数の証書は、積金が満期になったら
定期に切り替えたものですね。
あと、最後の5,000千円だけは
お父さんの名義ですね。」
「一見どんなに派手に見えるご商売でも
その裏側はびっくりするくらい地味なものですよ。
特に金銭面・出納面はそうです。
ここをないがしろにすると、
すぐにひっくりかえってしまいますね。
継続して積み立てる行為そのものが、
商売してから出会う様々な忍耐の
シュミレーションみたいなものかもしれません。
「以前に
『少額の積立ては高額の証書を上回る』」 って
教えてくださいましたよね。
わたし、自分でやってみて、その意味がよくわかりました。
継続するのって本当に大変ですね
忍耐力が養われます・・・ 」
「そうですね・・
10,000千円の残高証明書を持ってきて
これは『自己資金です』って言われても
ちょっと信用できませんからね(笑)
一瞬だけでいいなら
私でも何千万も作れますよ(笑)
そういうのを『見せ金』っていいます。 」
「ご商売をされてる方は
地元の信用金庫とかとのおつきあいもありますし
万が一のこともありますし
辛抱づよく積み立てされているのですね。」
「私もつらくなると反対に本数を増やしたりして・・
でも、このために辛抱したこともたくさんあります。」
(父)
「最後の500万円はわたしの支援分です。
『老後に返せよ』っていいましたが・・
本当は、今回の計画の全額でも
支援できるのですが、
自分でためたお金が反映してないと
商売は失敗するということで
娘に拒否されてしまいましたわ。 」
「全体の計画は1,600万円ですが
お父さんはそれ以上持っているのですね」
「そうです。2,000万円以上はあります」
「あとでご自宅兼店舗を訪問させてもらいますので
それも確認させてもらっていいですか」
「わかりました」
「でもそれは本来はお父さんご夫婦の
将来のお金のはずですね。
そこまで頼らない方が、娘さんのご商売は
うまくいくかもしれませんよ」
「わたしの老後よりも娘の店の方が心配ですわ」
「わかりました。
心配ついでにお伝えしてすみませんが、
提出されたこの見積もり、
問題点だらけですよ。 」
「・・?」
次に、
この親子が、
業者にだまされていないかを
確かめなければいけません
(つづく)
「過剰見積もり?水増し見積もり?」
