わたしは、その支店に転勤して
すでに5年目に入っていました。
今までのお店は、いずれも3~4年の
サイクルでしたので、
これまでで、一番長くいたお店になりました。
でももうそろそろ、このお店とはお別れかなと
思っていたころでした。
その日、わたしには3件の審査が入っていました。
うち2件は長いお取引先で、こちらから訪問する
比較的簡単な審査でした。
残りの1件は、美容室の新規開業案件
(新規かぁ、手間がかかるなあ)、
まずは支店にお呼びして(審査面接して)から、
あとで店舗予定地に確認に行ったり
なんだかんだと、ばりばりに手間がかかります。
呼び出し時刻の午前10時より少し前に、
若い女性と、同道してきた中年男性の2人が、
わたしの審査ブースにやってきました。
女性の方は審査スペースで座るなり
いきなり
「西山さん、わたしのこと覚えていますか」と
言いました。
「は? 申し訳ありませんが、以前にどこかの
ご相談会か何かでお会いしてましたか?」
「(笑)4年半前に、友達とここにきて、
西山さんのお話を伺いました。
もうお忘れかもしれないけど、
美容室を開くって突然入ってきたんですよ。
びっくりされて、未成年にお金は貸せないって
言われてました(笑)」
あ、あのコギャル?・・転勤してきて間もない時期の
印象的な出来事だったので、
走馬灯のようによみがえりました。
「あのあと私は、年に2~3回ぐらいは
こちらにおじゃましていたんですよ。
少しずつやることやって積み上げては、
計画をつくっては修正してみて、
こちらの窓口の方に聞いてもらっていたんです。
最初のうちは、ままごとか何か適当に思われて
あまり真剣に聞いてくれなかったみたいだけど、
昨年くらいからは、計画もかなり具体化してきて、
本格的にご相談できました。
でも西山さんにはお会いしないから、
もう転勤されたのかと思っていましたわ。
「わたしは、審査員か営業担当(良好先に借りてもらう)
なので、窓口に座るのは例外なのですよ。」
「そうでしたの・・。
先日ようやく融資の申込みをしました。
そして、今日こうして、
自分のお店の開業資金の審査を受けに、
正式にここに来ることができました。
こちらは父です。
お店の経理を見てもらうので帯同してもらいました。
連帯保証人の1人にもなっています。」
「○○と申します。娘のK子の開業計画を
家族も全面的に支援していますので、
今日はどうかよろしくお願いいたします。」
事前提出済みの資料も、相当きちんとしていましたが
目の前にしたその女性も、かなりしっかりした印象で、
すぐにというかまったく
あのときのコギャルには結びつきませんでした。
「私も来月で23になります。
16歳からずっと修業してきました。
はじめてこちらに来たときにも2年くらい勤めていましたが。
トータルの修業経験は6年半です。
最後の1年は、開業に備えて、
あえて別の店を見てみました。
それも、あなたのアドバイスでしたね 」
「・・・? そんなこと・・まで・・話した?」
某超一流上場企業取締役の名刺(父)と、
この繁華街の中でも相当目立つだろうなと
思われる美人を前に
いきなり、主導権を握られて審査がスタートしました。
(つづく)
↑ぜひペタがわりにクリックをよろしくお願いいたします
「今じゃ会ってもらえないかもね」
