みなさんは、「思考実験」という言葉を聞いたことはありますか?

思考実験とは…頭の中で行われる実験で、科学の基礎に反しない限り、極度に単純化・理想化された前提で行われるものです。

 

今回は、そんな面白い実験のうち、2つほどご紹介したいと思います。一番下に参考文献(Wikipedia)を張っておきますので、ブログだけじゃ物足りない方はぜひ詳しく見てみてください。

 

中国語の部屋

中国語の部屋は哲学者のジョン・サールが1980年に論文中で発表した思考実験のことです。

(概要)

実験の手順は以下の通り

中国語を理解できない人を小さな部屋に閉じ込め、マニュアルに従った作業をさせる。

部屋には外部と手紙をやりとりするための小さな穴が開いている。

手紙は中国語で書かれているが、部屋の中の人は中国語を理解できないため単なる記号にしか見えない。

中の人はこの記号に対してマニュアルに従って、記号(中国語)を書き加えて手紙を外に返す。

 

(解説)

中の人は上記の作業を繰り返すだけである。

紙切れが送られてくる外の人たちにとっては記号を理解しており、外の人たちの書いた記号は彼らにとっては「質問」と呼び、返ってくる記号を「返答(回答」と呼んでいる。つまり、外の人たちにとっては、意味のある記号である。

意味を理解している人たちにとって、正しい回答が返ってくると「部屋の中の人は中国語を理解している」と思う。しかし、実際はマニュアル通りに対応しているだけで理解はしていない。

それでも外から見えると中国語での対話が成り立っている。

 

(結論)

この実験はコンピュータを模している。

部屋=コンピュータ、中の人=CPUである。

この実験では「正しい回答を返すからと言って理解しているとは限らない」ということを提言している。

 

メアリーの部屋

メアリーの部屋は1982年、1986年にフランク・ジャクソンが論文で提示した思考実験である。

 

(概要)

この実験は、物理主義に対して行われたものである。

物理主義とは、あらゆるものは物理的であるとする立場のことで、心的なものすらも物理的であるとする考え方。現象や、主観・知識も含む。

フランク・ジャクソンが提示した実験の要約を以下に示す。

「メアリーは聡明な科学者である。彼女は白黒の世界を通して世界を調査させられている。彼女はすべての物理情報を手にしており、色の使い方も知っている。例えば、空からの特定の波長の光の集合が網膜を刺激するということを知っており、またそれによって神経中枢を通じて声帯が収縮し、肺から空気が押し出されることで「空は青い」という文が発声される、ということをすでに知っているのである。

彼女が白黒の世界から解放されたとき彼女は何かを学ぶだろうか?」

 

(解説)

知っている=知識があるものに対して経験をするとき、新しく何かを学ぶのだろうかというのがこの実験の問いかけである。

ここには、クオリアという言葉が関わってくる。

クオリアとは、簡単に言えば、経験の主観性のことである。知識という客観性のあるものに対して、経験から学びがあるのなら主観的なものがある=クオリアが存在するといえる。

 

参考文献

中国語の部屋

メアリーの部屋