大分と遅くなったが。。。
先々週と月曜日、株主総会ラッシュだったが、勉強も兼ねて、興味深かったIT系2社の総会に出席した。
一社は大幅な売上未達に併せて、不良資産を特別損失計上したので、赤字が売上のウン倍となり、株価も大暴落したもの。しかも社長は世界アントレプレナーなんとかで、優秀なベンチャー経営者として表彰されたばかりだから皮肉なものだ。
「私は社長のビジョンに感銘して株を買って、もう何分の一になっている」
「社長はスピーチは長いが、経営者としては不適格ではないか」
もう一社は売上基準を変更、というか今頃、進行基準の会社があったんだ!って感じでもあるが、それがキーとなって税効果会計を否認され、さらに現地子会社等の評価減もあって、債務超過に陥った。こちらも社長が3つの大学で、ベンチャー経営などを教えているからこれも皮肉だ。
「私は社長の言を聞いて、3億円株を買ったが、今では1千万にも満たない。」
「コンサルを業とする会社がこんな体たらくで、業務になるのか」
個人的にも、昨今の上場審査というか引受指導の段階で、
-売上は保守的に。検収基準は当然。
-計画は確実な根拠に基づいて。
-投資先評価は厳格かつ保守的に。
-役員は社業に専念。
等々、厳しく指摘されるが、昔、公開した会社は、"当たり前"のことすらしてなくても公開企業でいられるのだから、全く不公平だし、これらの会社がまたこういう事態だと東証/証券会社の指導が厳しくなる。不公平だ。。。
さて、前向きにこれらから学ぶこと。
前者は、「オンリーワンだから採択されない」と言う。オンリーワンで完璧な完成度の商品なら良いだろうが、この会社の商品でも、従来品よい「マッチ・ベター」なだけで、完璧でない。それを「オンリー・ワン」と称して競合を排除するから、ますますクロージングしなくなるのでは? 『ブルーオーシャンのジレンマ』かも知れないが、その手前の問題かも知れない。ともかく、①オンリーワン/ブルーオーシャンならではの販売方法の考案が必須だ。
そして、その会社はオンリーワン商品の有効性立証のために、それを使ったサービス会社を設立したが、餅は餅屋の逆で失敗して赤字を積みますだけになった。②ブルーオーシャンの悪あがき=専門外領域への進出はしてはいけない。
後者は、元来、③拡張性に限界があるコンサル会社が上場してはいけない、成長性をアピールしてはダメだと言うことか。会社の将来像をキチンとイメージして、IPOの時期も市場選択もすべきだ。
しかし、懲りないと思うのは、
前者は、社長が会長に退き、営業を新社長に委ねた。それは正しいと思うが、その後の懇談会でも会長の一人舞台で、社長が主導権を発揮することはなかった。甘く考えて体裁を取り繕っただけだと、来年の総会では怒号が飛び交う場になろう。
後者は、社長が自宅を現物出資して債務超過を脱して、圧倒的なシェアを握った。悪く解釈すれば、IPO時の高値の売り出し益で買った邸宅を、高い評価額(厳密に評価したと言うが、実売価格でない、要は短期には売れなかったので・・・)で会社に売りつけて、安く株を買った・・・とも言えるのでは?寄付するくらいの誠意があってしかるべきと思うが。ただ、社長としてはヤル気を出して業績回復を図るか、どこかに高値売却しようとのインセンティブにはなるから楽しみではあるが。
いずれにせよ来年が楽しみ!