三菱総研の元会長の牧野昇氏が昨日お亡くなりになった。

牧野さんには、前職時代いろいろとお世話になった。

まさに『三菱総研の顔』であり、僕が入社したころは『牧野さんの三菱総研』と呼ばれた。

初めて室長になったときも、講演などをして助けていただいたし、三菱マーケティング研究会のリーダーをしているときも何度か一緒に食事をさせていただいた。


牧野さんは、東大時代に「MKマグネット」を発明し、戦後の技術輸出第一号をやり、その後、三菱総研を含む3社の創業に関わってこられた。ベンチャーに関する著作も多く、僕が会長室にベンチャーのことでお願いに行くと、いつもその当時の苦労話をしてくださったのを良く覚えている。インターネットにはあまり乗り気ではいらっしゃらなかったが、ものづくりベンチャーには常に温かい支援を寄せていてくださった。

また、『テクノ漫談』とも評されるように話が面白かったが、元々はエンジニアであり、ご本人曰くは「口下手」だったそうで、三菱総研で人前で上手く講演をしなければならず、そのために寄席に通って学ばれたそうである。顧問に退いてからも、いつも両脇に英字新聞など新聞をいくつも抱えてエレベータに乗っていらっしゃったし、顧問室はご自身の著作を含め、大量の本に埋もれていらっしゃった。勉強家、努力家の一面もお持ちだった。


「牧野でございます。」で始まる名調子をもう聞けないかと思うと残念である。

心からご冥福をお祈り申し上げます。


黄色い花