視察先の中でもっとも感銘を受けたのが、DENSO INDIAだった。
デリー郊外の車で1時間程度のところ(Noida州)にあり、日本のDENSO出資比率は紆余曲折を経て53%。されどインド二部証券市場に株式を公開している。当社はDENSOの子会社では唯一株式を公開している会社だと言う。従業員は800名強の正社員と、契約社員が多数働いている。構内は(外と異なり)綺麗に整理整頓が行き届いていて、ゴミの一つも勿論落ちていない。自動車部品-電装品、電動ファン、ベンチレータ、マグネト、ワイパモータ等品、電動ファン、ベンチレータ、マグネト、ワイパモータ等を製造して、インド内の日本の自動車・二輪車工場に納品している。
工場内は冷房は無いので暑いが、それでも多くの扇風機が回っていて耐えられない暑さではない。働いている人もなぜだかヤル気をもって働いているように感じられた。QC活動や5S活動なども会社側としては労働問題にならないように配慮しながら進めているようだが、むしろ従業員の側から自発的に参加するところまでになっているそうだ。
日本人と日本のマネイジメントスタイルが、現地の労働者に受け入れられ、さらにカイゼンされて根付いている。
競争は厳しいようだ。現地の競合会社のコストは半額だと言う。
そうだろう、職場環境を整え、日本流の品質管理を徹底している工場と、劣悪な環境、労働条件下でのコストでは同じ製品を作っていたのでは競争に敗れる。その意味では日本の先端工場も、現地の合弁企業でも常に一歩先を行く先端商品を扱い、短期で更新更新をしていかなければ勝ち残れない。特に親方日の丸の現地会社でなく、資本も公開し地元従業員や地域社会と共存共栄を図ろうとするならば、自立が欠かせないからより条件は厳しいが、今後の日本-インドの合弁の一つのあり方であろう。
それにつけても社員を大切にし、かつ地域社会との共存を図る姿には感銘すら覚えた。
低コストゆえに現地に工場を建てて現地人を雇用しているというスタイルから、製造業の先輩としてものづくりの姿勢や心得を後輩に教え、数々の失敗から学んだものを地域に伝授すること、これも日本からの進出企業の使命の一つだと思う。また、公害や環境問題など、日本が経済成長の過程で身を持って学んだ体験を、これから高度経済成長を遂げるであろうインドに伝授し、同じ過ちを犯さないようにすることに是非取り組んで欲しいし、日本政府も単なる企業誘致活動だけでなく、こうした地道な活動にこそ助成をすべきではないだろうか。
DENSO INDIAでは、エコパークを作った。そこも活用してゼロエミッション(=廃棄物ゼロ)を達成した。エコパークでは食堂から出る生ゴミをミミズを使って土壌に戻したり、雨水の地下への還元などさまざまな取り組みが見られ、それを地域社会・企業が見学できるようにしている。
上の写真はエコパークの中で、生ゴミを分解するためのミミズを白サギが食べに来ているところ。
インドでは”輪廻”を非常に重視しているから、インドの人にはより受け入れられるのでは?