10日から、中小企業診断協会東京支部 主催のインド視察団に加わってインド視察に行って来た。
本当は現地から書きたかったが、時間的制約もあって書けなかったので、これから数回に分けて書こうと思う。
今回の自分としての目的は2つ。
・投資先としてのインド企業の可能性と、
・提携先としてのインドIT企業の可能性
である。
結論はいずれも時期尚早である。
さて、インド旅行を終えた人の感想は二分されると言う。
インドに嵌る人と、
インドに二度と行きたくないと思う人とである。
自分はどちらかと言うと後者に近い。
結構、一度行くと好きになってまた来たい、次はもっと長く滞在したいと思うが、インドはギリシャについで二カ国目だ。
シンガポール経由で長旅だったこともあるかも知れない。特に行きのシンガポール航空便は最悪だった。シンガポール航空は昔、世界一の評価を得ている航空会社としてファンだったけど、今回のフライトでは完全に裏切られた。食事がまずい。CAの応対が悪い。シートが狭い。そのくせ帰国便のトイレには歯ブラシや髭剃りが装備してあって、トイレ渋滞に拍車をかけていた。
インドの印象を一語でいうならば『多』である。
人が多い。バイクや三輪車も多い。牛も多い。そしてゴミも多い。。。
インド人の10%は日本人口に相当するから、インドの多さは平均の貧しさをカバーして余りあるものがある。要は一部の金持ち、一部の優秀な人、一部の生産性の高い企業で十分日本経済に比肩しうる力を持っていると言うことだ。政治、経済界としては無視できないものだろう。ただGVCのプライベート投資対象として、Fixstarsの提携先として見た場合には、勿論例外はあるが、平均的には対象としてすぐに力を入れる先ではない。もっと期待値の高いエリア・商談はいくらでもある。
最初に足を踏み入れたのは南部のバンガロール。
バンガロールは、インドのシリコンバレー、IT新都などと聞いていたから、さぞや素敵な街だろうと思いきや、空港は完全なローカル空港で、空港前には小型車で収拾不能な渋滞になっていた。朝起きて散歩すれば街中にはゴミが溢れ、野良犬が路上を闊歩している。野良犬の多さにはきっと理由があろうが。そして臭い、煩い。インドでは車が接近するとクラクションを鳴らす。危なくなくても、ただ普通にクラクションを鳴らす。それで車の量が多いから大騒音である。
バンガロールで訪問した先の一つのIT関連企業は、さすがに日本で言う郊外の工業団地、テクノロジーパークの中にあり、その中は整然として綺麗だし、煩くない。インドではTATA、インフォシスなどのインド財閥系の巨大なIT会社がいくつか存在している。日系でも東芝、SONIY、富士通などの関係会社がバンガロール均衡に拠点を築いている。英語が通じる利点から欧米、特に米国からの受託開発や業務受託が多く、インドの一大産業を形成している。その中核がバンガロールである。
私の知人もグローバル企業でシステム開発をTATAグループと共同で進めていて、インド人IT技術者の力量を高く評価していた。
故に期待満々で乗り込んでいったわけだが、説明を聞いてわかったのは、インドのIT企業はあくまでアウトソーシング先であり、大量の一定のコードを仕様書に基づいて作成するとか、コールセンターやヘルプディスク業務のアウトソーシングを大々的に請け負っていて、自前のソフトウェア開発やテクノロジー開発は(曰く)無い。自前の商品・技術を開発して輸出するのは、この次のフェーズであると。
先にも述べたようにインドは『多』の国であり、軽々に一日二日の浅知恵で決断することは正解で無いかも知れないが、一方で、「シリコンバレーにはインド人が技術を担うソフトウェア企業があるが、そういう技量とマインドのある人はバンガロールで起業せず、シリコンバレーに行く」「インドにはそれを上回る安くて(ちょっと)優れた人材ポテンシャルがある(=から最先端を追うよりも多くの人をマネイジメントするビジネスチャンスがいくらでもある)」という話には納得せざるを得なかった。
またインドのIT企業はISOやCMM認証を取得していて管理が行き届いているという話を事前に聞いていたが、何のことは無い、愛社精神とかが乏しくて、人の減耗率ガ15~20%にも達するから、そういったドキュメント管理を徹底しないとやっていけないという証左に過ぎない。Fixstarsでこの一年、増員は20名に上るが、退職は技術者が1名と、9月末で管理が1名寿退社の2名だけである。それだとまったく社員をコマとして扱う以外になく、社員や技術に投資できない。
GVCの投資先としても、Fixstarsの提携先としても、しばらくはシリコンバレーのインド人を相手にしよう!