母の認知症と向き合う時間が多くなるに連れ「そういう事か」と、だんだん分かってきた事があった。
認知症との日常会話というのは自分の記憶で相手の記憶の補完をする事も増える訳だけど、関わる時間が多ければ多いほど、話す時間が多ければ多いほど正しい記憶がどれなのか混乱していく。
毎回「初めて聞いた」「1回も聞いたことがない」「見たことも聞いたこともない」と言われると、言ってなかったかも、やってなかったかもと自分の記憶が混乱する。
2、3年はこちらも自信たっぷりだが、自分が引っ張り出した記憶の答え合わせが、相手から何百回も間違っている(聞いたことがない)と言われ続けると、今の件は本当は言ってなかったかもと脳は錯綜し、共有している時間の中で起きたことが自分で見聞きした自分の記憶なのか、私の記憶を否定した母の言葉を記憶しているのかの判別があやふやになっていく。
一つの脳の中で2つの記憶を棲み分けさせるのは凄く疲れるしストレスだし、何より自分の頭がゴチャゴチャしてキャパオーバーになり新しいことが覚えられない感覚に襲われる。
私が実家に引っ越してきて父と関わるまで、母は父とこのワケの分からないやり取りを続けてきたんだなあ、と思ったら 母の認知症が急激に進んだ理由が分かった気がした。