父は結構マメに床屋さんに行きたがる人だった。

   
父の泌尿器科受診のあと、車に乗ってエンジンをかけると床屋に行きたいと言う。    
火曜日だから床屋さんは休みだよと言ったのだがアテがあると。 

※調べてみたら関東が火曜日、関西は月曜休みが多いとか 
父「あそこなら、がめついから行けばやってくれる」と自信満々。    
親切でやってくれると言えばいいものを、いちいち嫌な言い方をする    
    
お店の前に車を止めるとやはり「定休日」の札。    
ちょっと待ってろ、と言って車を降りてドアを叩く父。    
中から出てきたおじいさんが、ニコニコしながら父を迎え入れる。

    
定休日とは何ぞ…    
    
駐車場に車を停め私も店内へ。    
お~、懐かしい!    
昭和の原風景に応募してもいいような床屋さんである。

(そういう募集があるかどうかは知らない)    
    
椅子の肘掛けに乗せるタイプの子供用補助椅子も置いてある。    
子供の頃床屋さんに行くと、毎回革ベルトみたいなのにカミソリを何度も当てているおじさんが、何をしているのか不思議で鏡越しにじーっと見てたっけ。    
認定証のようなものが枠に入って掲げてあるが、もう黄色を通り越して茶色で何なのかさっぱり分からんけど、それもいい味を出している。    
    
で、"現"風景に戻るのだが、そこには手を小刻みに震わせながらハサミを持つおじいさんと 、頭を小刻みに震わせながら散髪をして貰っているおじいさんが、同じ話しを繰り返しながら談笑している。    


なんか恐ろしいものを見てる気がする。    
    
散髪が終わり私が代金を払いに行くと    
「お父さん、頭が震えててやりにくくて」と、床屋のおじいさん。    
父は振戦の服薬もしているので、まあしょうがない。    
    
帰りの車の中で    
父「あのじじいも年取ったな、手が震えてて危ないからヒゲ剃りは断ったんだ」    
    
高齢化社会の 心温まらない ひとコマを垣間見てしまった。