今日、母の退院日だったのだが父が支度をして私の車の前で待っている。
--え、行くの?
実際、目を離せない大人が二人いるのは難しい。
子供じゃないので抱えて歩くわけにも行かず。
何かあったときに、どちらかを一人にしなければならない。
すぐ帰ってくるからと説得したが、もう行くモードになっているので止められない。
病室に行くと、母の顔色が真っっ白なんですが....退院して大丈夫なの?これ。
看護師に言うと今朝血圧が低かったと。
そりゃそうでしょうよ、こんなに真っ白なんだもの。
下瞼を下ろして見たらこっちも白い
貧血起こしてんじゃん。
心配なので先生に再度確認してもらうように頼んだ。
暫くして先生が来て「おかゆも食べられたし退院は大丈夫です」と....。
流石にそれ以上は食い下がれない。
退院手続きをして支払いの証明書を貰わないと、病室は出られないのだがここの病院は会計まで遠い。
父を病室に置いて行くしかないのだが、看護師さんに父を見てて下さいとも言えないし仕方ない。
会計を済ませ病室に戻るとどこにも行っていなくてひとまずホッとした。
ナースステーションで証明書を貰い、診察券を返して貰う。
その診察券で帰りに次の予約を取って帰るらしい。
また窓口に寄るのね。
一度で済ませられないシステムらしい。
大きな病院なので外来待合室も人でいっぱいだ。
窓口から少し離れたところだが長椅子が空いたので荷物を置き、
父と母に、次回の予約を取ってくるから待っててと言って予約窓口に向かう。
3人ほど待って予約が取れて長椅子に戻ると
いない。
父も母もいない、荷物も無い。
そんな馬鹿な。
周囲を見回すが見つからない。
トイレ?
でも、一緒に行くとは思えない。
外?
外に出ると、広い駐車場の奥の方に父らしき姿が見える。
母は背が低いので見つけられなかったが父の方向にいるに違いない。
走って行くと母が見えた。
父は後で捕まえるとしても、まず母だ。
母「じいちゃんが...歩いて...行っちゃって」
息を切らしながら、両手に退院荷物を持った真っ白い顔の母が言う。
「うんうん、大丈夫だよ。いま連れてくるから」
母を駐車場のベンチに座らせる。
父は500台くらい停められる敷地内の駐車場も抜けて早足でもっと奥の駐車場に向かっている。
と、思ったら急に立ち止まった。
父の前を歩いていた人が自分の車に乗り込んだのを見て戻ってきた。
父「あぁ、そこにいたのか。別の車に乗ってたから」
私「別の車に乗ってるのは、別の人に決まってるだろうが!」
怒らずにはいられない。
こういうことがあるから家に居てって言ったでしょ。
その後も、母のいるベンチまで歩きながらしつこく怒ったのだが どこ吹く風。
父がよくやるのだが、こっちが怒ったりすると自分には関係ないとばかりに横を向く。
車に乗って走り出したら、外を見ながら「ここはどこだ?」「あれは何だ?」の連発。
母を心配する風でもなく、遠足気分。
なんで付いてきたのよ。
ミラー越しに母を見ると、目を閉じてやはり顔が白い。
信号待ちで母に様子を聞くと「大丈夫だよ」と言うが
なにせ退院した足で両手に荷物を持って走ったのだ。
大丈夫なはずがない。
家に着いて、上がってすぐの椅子に座らせ
「少し寝たほうがいいね、布団敷いてくるから」と言って母の布団を敷きに。
布団を敷いて戻ると、椅子に座った母の体がぐらっと前に傾いたと思ったら、そのまま今度は後ろに倒れるところだった。
滑り込んで母の下に入り込み、ナイスキャッチ。
自分で言うのも何だが、運動神経ほぼゼロの私がどこもぶつけずにキャッチできたのは奇跡に近い。
そのまま寝かせたのだが、呼んでも返事がない。
この時、心臓とか脳じゃなくて絶対手術痕からの出血だと思った。
「血圧計持ってきて」
父に言ったが、ニヤニヤしてうろつくばかりで全く役に立たない。
私の家から血圧計を取ってくる間、父に母の体を横のまま押さえていろと言っても、ぼーっと立ったままだ。
父を座らせて、座布団を半分にして背中の下側に入れて父に押さえさせた。
「もし血を吐いても横向きのままだよ、すぐ戻るから」と言って血圧計を取りに走った。
血圧を測るが、エラーで測れない。
もう一度測るがエラーのままだ。
呼吸は浅くないし脈も特別弱い感じはしない。
手が冷たい。
4回目で上が75下が42と出た。
背中を擦っていると母が目を開けた。
「ばあちゃん、わかる?見える?」
「ああ、大丈夫だよ」
病院に電話をした。
病院から救急車を出すと言われたが、
30kmはあるので家から行ったほうが早いと答えた。
救急車が来ても、帰りのことを考えると
どうせ私は車で行かなければならない。
後部座席をフラットにし、そのまま同じ荷物をもって病院へ。
今度こそ父を置いて行った。
ジジイ、絶対に許さない。
電話で言われた通りERの前に車を停めると
ストレッチャーと共に玄関前で待っていてくれた。
こっちはサイレンの無い普通乗用車なのに
いつから待ってたんだろ、すみません(ーー;)
母はそのまま検査室へ。
私はまた、生まれて初めての書類を色々書かされしばし待つ。
やはり、手術痕からの出血との事で再入院となった。
だから、本当に大丈夫かって何回も聞いたやん(T_T)
また母の荷物を置きに病室へ。
今度は遠くに山が見える側の病室だ。
風景がきれいなだけでも気分が違うかも知れない。