文面は30秒で組み上がった。



「なんで私振られたの?」


ただ、それだけ。

組み上がったのは1時間前。指は『送信』の上で硬直してしまっている。


江莉香は何度めかのため息をついた。



ずっと好きだった。今も好きだ。大好きだ。龍弥も私のこと好きだと思ってた。昨日までずっと優しかったのに。突然今日冷たくなって、別れよ、なんて。理不尽だよ。なんでか分かんないし、納得できない。諦めきれないよ。


どうして?


どれだけ考えてもそればかり。


龍弥なんて嫌いだ。


思ってしまったら、一瞬指の硬直も解けた。

その一瞬を逃さず送信する。


送信100%


無機質に表示されるそれをみると、なぜか脱力した。








どれくらい経っただろうか。暫く放心していた江莉香は、急いでケータイを確認した。

メールは…返ってきていない。


どうしてだろう?いつもならすぐに返ってくるのに。

忙しいのかな。なにしてるんだろ。ご飯食べてるのかな。お風呂かな。


……もしかして気付いてない?

きっと気付いてない。そうだよね、うん。もう一度送ってみよう。


もう一度同じ文面を送信した。

今度はケータイを持って待機することにした。






5分経った。やけに時間が経つのが遅い。

10分。おかしい、返信が遅すぎる。



もう一度送信。





暫く待ったが返ってこない。


もう一度。



返ってこない。

送信。


おかしい、返ってこない。

きっと気付いてないんだ。

送信

返ってこない

送信                         遅い

送信                  まだかな

送信         気付かないかな

送信     ケータイみてよ

送信  返信まだなの?

送信 早く!送信まだなの?送信ねぇ送信返信は送信送信送信送信送信送信送信送信送信送信おそいおそいおそい送信送信送信送信まだなの送信気付いて送信送信送信送信送信送信送信送信送信送信送信送信送信送信送信送信送信……・・・・・・



「もうっ!!!」


気付いた時には、手に持っていたはずのケータイは、机の角に叩きつけられていた。

江莉香は荒い息をつきながらケータイを睨みつけた。





ピロリンっ



突然場違いな音が響いた。

割れた液晶に映し出される 龍弥 の文字。

ハッとして江莉香は急いでケータイを拾い上げた。


きっと気付いてなかったことに謝ってくれるんだ。

酷いこと言ってゴメンって書いてあるんだ。


震える手でメールを開く。

読み込み時間すら惜しい。



【そういうのがウゼぇんだよ。二度とメールしてくんな。あ、あと俺のメアド消しとけ。】











え……・?


決壊した。