小学4年か5年生くらいのある日、

「お父さん、聴いて。ここに座って。」と呼んで

練習をみて(指導して)と

せがんだ。


父はどんな気持ちで

ピアノの横に座ってくれたのだろう。


あとにも

さきにも

その時だけだ。

父がわたしのピアノの横に座って

練習に付き合ってくれたのなんて。


わたしは嬉しかったし、

とっても練習がはかどったし、

楽しかったんだ。

あんなに楽しいピアノの自宅練習も

あの時だけだよ。


「ここはね、もっとこういう風に弾かなきゃならないんだけど、

うまくいかないんだ。もういっぺん弾いてみるね。」

「ここは、だいぶ弾けるようになったから、一度弾いてみるから聴いててね。」

「どうだった?ねぇねぇ、今度はここからここまで弾いてみるから。」とか言いながら・・

そうとううるさく、意見を求めて、何度も弾いたんだよ。

楽しいなぁって思いながら。

「いやぁ、今日ははかどるなぁ。」なんて思って。

そのうち、父が「もういいかなぁ?」とギブアップのことば。

無理もない。

音楽音痴な父なんだから。

知ってたよ、だけど

お父さんきっと、そのとき、

わたしがあんまり楽しそうだったから、

30分も付き合ってくれたんだね。


ありがとう。


「えぇ?もっとみててよ、聴いててよ、お父さん」


この気持ち、今も変わらないよ。


お父さん、ありがとう。