大人になってもハイ・ファンタジーの魅力から逃れられないのは何故だろう。


此処ではない何処か。


黒く汚れたレンガ造りの町並み。


煤で汚れたランプが照らす石畳の道。


聳え立つ城壁とその遥か向こうに見える朧な月。


人では無い者達。


善と悪が明確に分かれていて。


現実世界の混沌とした悪意とは一線を画す世界。


私達は傍観者として現実から旅立つ事が許される。


主人公に共感し一喜一憂して。


それでも現実ではない世界では物事は必ず終わりを迎える。


主人公の最期がとても下らないものであったとしても。


私達に知る術はない。


だからこそ離れられないのだ。


私達の現実では自己責任で物語を進めなければならないのだから。


涙は他人の物語だからこそ美しい。


責任からの解放。


それこそがハイ・ファンタジーの魅力だ。