血で血を洗う。
横溝正史の話のキーワードである。
血の繋がった者同士が互いに憎しみ合い殺されて行く。
遺産に遺言。
単純に欲に目が眩んだ犯行ではない。
それぞれがそれぞれの思惑を胸に行動している。
そしてどの作品にもある結末の虚しさと、謙虚なまでの去り際。
結末の虚しさは何処から来るのだろうか。
私はこう思う。
狂気に支配されて鬼になっても最後には人に戻るのだ。
そしてその潔さ。
心が鬼になっていても、その中心にあるのは愛だから。
愛する人を思いながら死んでゆく。
自分の行為に後悔は無い。
そんな所に虚しさを感じるのではないだろうか。
横溝正史の作品はどれも面白い。
大量に殺人が行われているというのに。
それはきっと犯人が潔く。
最後の最後に見っとも無い真似をしないからだろう。
もしそんな事をすれば全ての名誉が失われてしまうから。
最後まで高貴なんですね。