こんにちは、シッキーです。
「Vapeに何を求めるか」と題しまして、我々が最終的な目標としているのは何か──ということについてお話しいたします。
──と、仰々しく始まっておいてアレなんですが、「美味」に尽きるんですよね。
僕は度々Vapeと料理を比較しますが、それというのも、Vaperの立場として料理にコンプレックスを感じているからです。
料理というのは、言うなれば生きる糧を得る上で必然的に求められるもの。さらに言えば、生きるための食事という動物的な本能と行為を、娯楽にまで高めたまさに人類の英知だと思うのです。たまに食にまったく興味のない人なんかもいますが、そんな彼らだって食べなければ生きていけないわけですから、これはもう、人間という動物として生まれた因果とでもいいましょうか。その必然的な行為を最大の娯楽にしてくれるのが、料理なわけです。
ところがVapeというのは、別になくても死ぬわけではありません。一部では「ミーハーなやつでしょ?」なんて言われる始末。
でもVapeの素晴らしいところは、香水と違って人間の味覚と嗅覚に直接訴えかけるカルチャーということです。
香水を舐めて「美味しい!食欲が増進されます!」なんて人、いないでしょう。香水には確かに素晴らしい香りがたくさんありますが(僕は個人的にあまり好きではないので使いませんが)、それは“嗅ぐ”という行為に限定しての話。言うなれば媚薬のようなものです。食で言えば、トリュフが唯一、「食べる」よりも「嗅ぐ」に特化した素材だと思っています。
Vapeには料理と同じ土俵に立てる可能性があると思うんですよね。
まぁ、それを実現するのは非常に難しいのですが、それでも可能性はあります。
そこなんです。料理が好きな僕にとって、その可能性はどうしても無視できるものではありません。
料理は五感をすべて刺激し、満たしてくれるものです。五感というのは、まず、味覚。言うまでもなく素晴らしい料理というのは、味覚こそが晴れ舞台です。
次に嗅覚。風味ですね。料理は風味があってこそ。料理の香りもまた味覚の内といえるほど重要なものです。
そして触覚。
たとえば舌触り。あるいは手で触ったり箸でつかんだり、ナイフやフォークで切ったり。分かりやすく言えば口の中でとろけるエゾバフンウニの塩水漬け。そしてツンと張りがあるのに口の中で溶けていくトロ、炭火で焼いた表面パリッ内面しっとりの牛ヒレやフォアグラ。新鮮ないくらのプリプリ感。触覚に訴えかける素晴らしい素材がたくさんあるように、「食べる」という行為に際する最初の直接的なアプローチは、触覚です。口に入れた後も、粉の産地や品種の違いによってパスタもラーメンも違う印象になり、魚だって養殖と天然では舌触りが違ってきます。
さらに「聴覚」
特に中華料理においては、熱々の鍋に素材を投入して「ジューーーーッ!」という音を立てる料理が多いですね。あれは演出という目的もありますが、「耳で聴かせる」という概念が根底にある調理法。実際にそうすることで香ばしく、香りのいい料理ができるわけです。フランス料理なんかにも取り入れられている手法です。
中華料理の素晴らしいところは、家庭ではできないような火力で一気に熱を加えて、素材の旨みを中に閉じ込めるということにあります。これをするから、フライパン一つで炒め物ができたり蒸し料理ができたりという変幻自在な調理が可能になるわけです。特にエビチリなんかは、この辺の事情で家庭で食べるものと中華料理店で食べるものに差が出てきますよね。
最後に「視覚」
これは言うまでもなく皿や素材の色合いや盛り付けなど、いわゆる演出の部分。これも料理人の力量一つで印象がガラッと変わるプロセスであり、人によっては「盛り付けが一番面白い」と言わしめるほど重要な部分。
さて、Vapeはこれにどこまで対抗できるか。
味覚、嗅覚、そして視覚までは行き着けます。
しかし触覚と聴覚にはなかなか訴えることができません。
これこそ、料理に追い着けないVapeの宿命と言いますか、運命なのではないかと感じます。
「だったら、その弱点を補うくらいの味と香り、見た目を追求すればいいじゃないか」という話なのですが、そう簡単なことではないんですね。
古今東西、食にこだわれば何だって食材になります。いわゆるゲテモノだって、先入観さえなくせばたとえばハチノコなんて美味しいだろうと思いますし、カエルの肉だってなかなかのものです。そういう目線で考えれば、そもそも白子なんてゲテモノでしょう。フグにしろタラにしろ。
料理というのは素材の選択肢というのが非常に広いですが、Vapeの原料となる香料の選択肢の狭さといったら。
「醤油がなけりゃ魚醤を作って代わりにしよう」なんてのも、「塩がないなら海水から作っちゃおう」なんてのも、料理では通用してもE-Juiceには通用しないわけです。
「どうにかできないか」と試行錯誤し四苦八苦し続けているのがVapeSickです。
そのため、時には過激な挑戦をすることもあります。そして、それが常に必ずしも成功するとは限りません。でも、少なくとも僕は現状に満足できませんし、納得もできないわけです。
「この料理にはこの酒が合う」というのに同じベクトルで、「この料理にはこのE-Juiceが合う」あるいは「この酒にはこのE-Juiceが合う」と、そう言わしめるくらいのものを作りたい。これが、僕がVapeに求めるただ一点の理想であり目標かもしれません。