パリテイスティング事件とは、1976年5月に、アカデミーデュヴァンの創設者Steven Spurrierによって主催されたブラインドテイスティング。
当時無名とされていたカリフォルニアワインがバタール・モンラッシュ、ムートン、オーブリオンを抑えて一位となり、ワイン業界に与えた影響は甚大であったとか。
テイスターの多くがフランス人であり、フランス人ですらアメリカのワインのクオリティを認めた、ということらしいが、少なくとも点数の詳細が簡単にwikipedia等で確認できる赤ワインの評価を見てみると多々問題があるように思えてならない。
評価は、テイスターが各々20点満点で各ワインに点数をつけていき、その単純平均に基づいて順位が付けられている。
この単純平均による評価は、平均点高めで点数をつけるテイスターの影響力が大きく、また標準偏差が大きいテイスターの影響力が大きい。
たとえば、Christian Vannequeの点数の付け方は標準偏差5.07点。一方でPierre Tariは.1.71点。約三倍違う。平均得点ももっとも点数を大きく出すテイスターは、もっとも小さく出すテイスターの1.5倍である。単純平均に対する影響力がぜんぜん違うのだ。
単純平均した公式の結果は。
トップはスタッグスリープ
セカンドは僅差でムートン
となり、カリフォルニアワインがトップ。
一方、平均点を0点に、標準偏差を1にスケールを統一して点数を計算しなおすと
トップがムートン
セカンドがスタッグスリープ
また、より単純かつフェアな投票方法ではどうなるか見てみた。まずテイスターが仮に一人一票を最良だとおもったワインに投票したとすると
トップはモンローズ
セカンドはオーブリオン
テイスターが一人二票を投票したとすると
トップがモンローズ、
セカンドがスタッグズリープ。
詳しくみてみるとLa Revue du vin de Franceのエディターである、Odette Kahnが標準偏差が二番目に大きく、また彼が一人でムートン、モンローズ、オーブリオンに対して3点も差をつけて、スタッグスリープに高得点を付けているのだ。
極端な彼の点数を除いて計算しなおした場合、ムートン、モンローズ、オーブリオンに勝てるカリフォルニアワインは、投票の仕方によらず皆無である。
彼がスタッグスリープが好き、これこそこのテイスティングの正しい結論である。
有名なアッシェンフェルター方程式を生み出した、プリンストン大学のアッシェンフェルター教授も、アメリカ人でありながら、このテイスティングの問題点を挙げている。
着眼点は同一である。詳細はこちらでも見れるようなので、もし興味があれば。
ANALYZING A WINE TASTING STATISTICALLY
Orley Ashenfelter and Richard E. Quandt
http://www.liquidasset.com/tasting.html
いずれにせよ、スタッグスリープがムートン、モンローズ、オーブリオンに比べて見劣りしなかったのは事実であり、極めて歴史的な価値があることには変わりは無さそうだ。
