名古屋地裁豊橋支部
平成26年9月25日(木)
401号法廷
道路交通法違反(新件)
被告人(男性28才)職業大工
裁判長(前澤裁判長)
検察官(男性30代)
弁護人(男性30代)
刑事裁判傍聴ノンフィクションライターのacceleです。
超久しぶりの更新です。
3ヶ月以上ブログ放置しておりました。
申し訳ありません。
月1回は、傍聴へは行っていましたが、判決だけとか審理だけとか傍聴していまして、記事でお伝えする内容を把握できない公判が多く、更新出来ませんでした。
acceleは、ついに逮捕勾留されたかと思った読者様もいらっしゃると思いますが、元気にシャバで生活していました。
今回の記事は、最近ニュースでよく聞く危険ドラック吸引しラリッタまま車を運転して自損事故を起こした公判です。
豊橋でも危険ドラックが出回り、ドラック吸引して危険運転する奴がいます。
公訴事実
検察官が証拠によって証明しようとしてる公訴事実は以下の通りです。
被告人は、平成26年7月8日午後10時ごろ愛知県豊橋市三ノ輪町において、駐車場で危険ドラックを吸引した後ガソリンスタンドでガソリンを給油し、コンビニエンスストアへ行く途中で街路樹に車を激突させ車を大破させた、罪名道路交通法違反。
罪状認否
「間違いありません」
弁護人の意見も「被告人と同様です」
冒頭陳述
被告人の身上経歴は、豊橋市で出生し名古屋市内の専門学校卒業後は、大工として稼働していた。
平成26年7月8日午後10時頃、豊橋市三ノ輪町で公訴事実記載の通り、危険ドラック吸引後、自動車を運転して、自動車を街路樹に激突させ車を大破させた。
車内から、乾燥植物片が発見され、それを科学捜査研究所で鑑定したところ、危険ドラックの1種である合成カンナビノイドが含まれていた。
情状他、公訴事実を立証するために関係カード記載の証拠取調べを請求いたします。
東京で、危険ドラックを吸引した交通事故は報道で知っていましたが、ついにと言いますか、全国的に同様な事故が起きているのを実感しました。
若い被告人ですが、お子さんが3人います。
傍聴席には、奥さんと思われる方もいらっしゃいます。
(豊橋支部は、傍聴席ガラガラですから直ぐに分かります)
甲号証、乙号証メモ取れた内容です。
甲号証
1.自損事故目撃情報。(急に車が道路から外れ街路樹に激突し車は大破した)
2~3.写真撮影報告書(自動車が街路樹に激突した写真。大破した車)
4.乾燥植物片には、覚せい剤や大麻の成分は検出されなかった鑑定カード)
5.上記の鑑定書
6.メモれず。
7~8.実況見分報告書(逮捕後、被告人立会いのもと事故現場の確認)
9.メモれず。
10.写真撮影報告書(事故車両の破損状態)
11~14.写真撮影報告書(車内で発見せれた植物片)
15.上記植物片から覚せい剤や大麻の成分は検出せれなかった科捜研の鑑定書。
16~18.メモれず。
19.被告人の父親からの電話聴き取り内容。
20.捜査報告書(植物片から危険ドラック合成カンナビノイドが検出された鑑定書)
21.捜査報告書(内容?)
22.捜査報告書(内容?)
23.被告人の父親供述調書(被告人の雇用主でもある父親に勤怠状況の確認)
24~26.被告人の妻供述調書(被告人の日頃の生活状況の確認)
乙号証
1.身上経歴
2~9被告人供述調書(危険ドラック吸引すると頭の回転が良くなるから吸った)
10.戸籍
11.前歴(複数の交通違反歴あり)
12.その交通違反の内容
弁護人からの証拠請求は、
弁1被告人の反省文
弁2被告人父親の陳述書
被告人の妻情状証人
被告人質問です。
情状証人に被告人の奥さんが証言台に立ちます。
弁護人:あなたは被告人の妻ですね?
証人: はい
弁護人:先ほど宣誓文を読んでいただきましたが、質問に正直に答えて下さい。
証人: はい。
弁護人:ご主人を被告人と呼びますが、被告人が脱法ハーブを使っているのを知っていましたか?
証人: はい。
弁護人:なぜ、使っていると分かったのですか?
証人: 臭いとか態度で分かりました。
弁護人:それに気付いたのはいつ頃でしょうか?
証人: 6か月前くらいです。
弁護人:あなたは、脱法ハーブ使うのを止めるようには言わなかったのですか?
証人: 言いましたが、その時は止める止めるとは言っていました。
弁護人:それでも結局は止めってなかったのですね?
証人: はい
弁護人:事故がきっかけで、脱法ハーブの事は2人で話し合いましたか?
証人: はい
弁護人:どのような話をしましたか?
証人: 子供の為にも、もうやらないと言いました。
弁護人:保釈後は被告人の両親とも話し合ったのですか?
証人: はい、もし次やったら離婚させると言われました。
弁護人:その事については、被告人も十分わかっていますね?
証人: はい
弁護人:もしも、次に脱法ハーブ見つけたらどうしますか?
証人: 警察に通報します。
弁護人:今回はそれだけの強い意志があると誓いますか?
証人: はい、誓います。
弁護人:提出された資料を見ると、被告人のお父さんも脱法ハーブ使用していたようですね?その事についても話し合いしましたか?
証人: 親子で止めると言いました。
弁護人:もしお父さんが今後脱法ハーブ使っているのを見つけたら、どうしますか?
証人: 警察に通報します。
弁護人:お子さんが3人いらっしゃいますが、被告人が無職になったり刑務所に入ると生活できますか?
証人: いいえ、できません。
弁護人:免許についてお聞きします。免許取消になっていますが、何年欠格期間ありますか?
証人: 2年です。
弁護人:今後は被告人が、脱法ハーブ使わないようにしっかり監督できますか?
証人: はい
被告人は、被告人の父親が経営する大工店で働いていますが、親子で危険ドラック使用していたのです。
仕事の合間に危険ドラック吸っていたりしていたのでしょうか?
私は専門家ではありませんから、詳しくは分かりませんが覚せい剤は元々人間が使用するために開発されて、ある程度は健康被害を予測しながら商品にしています。
第2次世界大戦中の、神風特攻隊員にもヒロポン(当時の覚せい剤の商品名)は使用され戦後その後遺症に苦しんだ元兵士が多数います。
(1951年覚せい剤取締法が制定されるまでは、日本でヒロポンと呼ばれた覚せい剤が薬局で普通に販売されていました)
それに対して、危険ドラックに使用されている成分の人的健康被害や中毒性など全く分からないものが多く、人体実験と言う識者がいます。
(覚せい剤より危険性が高い可能性があるのです)
検察官→証人尋問
検察官:半年前に臭いとかで危険ドラック気付いたと言いましたが、それは子供が生まれる前ですか後ですか?
証人: 生まれた後です。
検察官:3番目のお子さんが生まれた後になぜ危険ドラック使ったと思いますか?
証人: 考え事が良くできると言っていました。
検察官:今回ね、自損事故で済んでいますが、通行人をはねたら大変な事になっていますよね?
証人: はい
検察官:自宅からパイプとかも押収されていますよね?
証人: 隠していたから、気付きませんでした。
検察官:今後、このような事が無いようにしっかり監督できますか?
証人: はい
そして、被告人質問先ずは弁護人からです。
弁護人→被告人質問
弁護人:改めてお聞きしますが、起訴事実に間違いありませんか?
被告人:はい
弁護人:事故の写真を見たと思いますが、車の破損状態大変な事になっていますよね?
被告人:はい、大変な事をしたと思います。
弁護人:テレビや新聞で、脱法ハーブで事故を起こした事件見た事あると思いますが、自分がそうならないかと考えた事ないのですか?
被告人:考えましたが・・・・
弁護人:考えた上で運転したの?
被告人:・・・・・・
弁護人:人にぶつからなかったから幸いでしたが、今後脱法ハーブやらないと言えますか?
被告人:はい、もう絶対吸いません。
弁護人:脱法ハーブの危険性は認識できましたか?
被告人:はい、覚せい剤より恐いと分かりました。
弁護人:脱法ハーブ使う理由はなんですか?
被告人:頭の回転か速くなるからです。
弁護人:脱法ハーブの依存性も強いのですが、あなたはタバコも今回止めたようですね?何才からタバコ吸っていましたか?
被告人:20才からです。
弁護人:タバコもハーブも止める決意があるのですね?
被告人:はい
弁護人:免許は、警察に没収されましたね?
被告人:保釈された日に、警察に没収されました。
弁護人:奥さんは次に脱法ハーブ見つけたら、警察へ通報したり離婚を決意しています。最後のチャンスと理解していますか?
被告人:はい。
弁護人:父親の会社で仕事をしていますね?給料はいくら貰っているのですか?
被告人:20万円です。
弁護人:保釈後は、きちんと働いていますか?
被告人:はい
弁護人:お父さんも脱法ハーブ吸っていたのですが、親子で止めると約束できますか?
被告人:はい
弁護人:免許の欠格期間は2年ですが、2年後に免許取得するつもりですか?
被告人:はい、仕事でどうしても必要ですから。
弁護人:そもそも、脱法ハーブ使うきっかけはなんですか?
被告人:浜名バイパスで起こした事故を忘れたくて使いました。
弁護人:脱法ハーブ使って事故を起こしたのですから、もう使わないと約束できますね?
被告人:家族の事を考えてもう使いません。
被告人は、危険ハーブ使うと頭の回転が良くなると言いますが、とんでもない事故を起こしているのに、頭の回転が良くなるどころか、思考停止に近かったと思います。
危険ハーブ使ったきっかけが、浜名バイパスで起こした事故とは意味が分かりません。
むしろ、逆だと思うのですが。。。
検察官→被告人質問
検察官:事故を起こすまで、奥さんに何度か危険ハーブ見つかって止めるように注意されていますがなぜ止めなかったのですか?
被告人:浜名バイパスの事故が頭から離れなくて・・・・
検察官:危険ドラックは危ないと報道されているは知っていますよね?
被告人:はい
検察官:あなたが事故で亡くなったりしたら、家族はどうなるのですか?
被告人:生活できなくなります。
検察官:家宅捜索でパイプもありましたよね?
被告人:・・・・
検察官:2度と危険ドラック使わないと誓いますか?
被告人:はい
裁判長→被告人質問
裁判長:脱法ハーブ使用して車を運転したら危険な事はわかりましたか?
被告人:はい
裁判長:脱法ハーブは覚せい剤と違って、毒性についても分からない事が多く大変危険なのですよ。
被告人:はい
裁判長:今止めないと、今後大変な事になると分かっていますか?
被告人:はい
裁判長:自分の力で止められない時は、精神科の病院へ行ったり出来ますか?
被告人:はい、家族の事を考えると、もう使えません。
論告
事実関係については、当公判廷で取調べた証拠によりその証明は十分である。
情状は、危険ドラックを吸いたい欲求だけの動機に酌量の余地なし。
今回は物損事故で済んでいるが、歩行者がいなかったのが幸いで人をはねた場合の結果は甚大な被害になる。
危険ドラックを吸引後、車を運転した事は法律を順守する気持ちが鈍磨しているのはあきらかでえある。
全国的に同様な事案が起こり、この手の犯罪には厳罰に処するのが当然である。
一般予防、また特別予防の見地からも厳罰にするべきである。
諸般の事情を考慮し、相当法条適用の上、被告人を懲役10月に処するのが相当であると思慮します。
弁論
公訴事実は争いません。
事実を認めて反省している。
長期間の勾留により、すでに一定の処分を受けている。
幼い子供が3人おり、被告人の稼働が必要不可欠である。
今後も、父親の会社で雇用が約束されている。
今回に限り、執行猶予付き判決をお願いする。
最終陳述
「もう2度と脱法ハーブはしません」
判決期日平成26年10月9日午後2:00~
この公判の感想は、身近な場所でも危険ドラックは流通しており実際に危険ドラックを吸った状態で車を運転している危険な運転手がいる事に驚きました。
それにしても、危険ドラックとか脱法ハーブとか呼び方が違って紛らわしいですね。
私も車は毎日のように運転します。
道路を走行中に、ある日突然反対車線から危険運転手が正面から突っ込んできたら?と考えるとゾッとします。
今回の事故は、たまたま歩行者や車にはぶつかりませんでしたから幸運でしたが、他人を巻き込んでいたら甚大な被害です。
危険ドラックの種類が多くて難しいかも知れませんが、危険ドラック取締法を制定して危険ドラック所持や、販売したら処罰の対象にして欲しいものです。
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