平成25年1月某日
刑事裁判傍聴part2
次の事件は、道路交通法違反、公文書等毀棄罪(こうぶんしょとうききざい)(新件)
メモをとっていませんでしたから、正確な罪名は違うかもしれません。
内容は、乗用車で走行中に、信号無視で交通違反切符を切られました。
しかし、被告人(20代前半)は違反切符に納得いかず、(たぶんですが、交番で
調書をとる事になり、調書を警察官が作成した。)
被告人に署名させようとしたところ、「身に覚えの無い事が勝手に記入されており、逆上して
調書を破った」事です。
公文書等毀棄罪については、認めるが、「信号無視は警察官の見間違いだ」と、主張。
この日、初めての罪状否認であり、否認はこの事件だけだと記憶しています。
ただし、道路交通法違反(信号無視で)起訴された訳ではないと思いますから、否認
事件になるかは、素人の私にはわかりません。
検察官からの被告人質問は、「身に覚えが無い事を、警察官はなぜ書いたと思いますか」
の問いに「信号無視を認めないから、キレて書いたんじゃないですか」と、逆切れ気味に
答えたり、「警察官が信号無視で違反切符を、なぜ切ったのですか?」の問いに
「信号が接近して並んであり、手前と後ろを見誤ったんじゃないですか」等、あくまで、
信号無視については、絶対にやってないの姿勢を通していました。
裁判官から、「最後に裁判所に伝えたい事は?」に対し、「調書を破った事は反省
しています。すいませんでした」で終わりました。
求刑 メモしていません。
次の事件は、覚せい剤取締法違反罪(新件)
腰縄と、手錠を付けたまま、2人の刑務官に挟まれて、入廷してきた被告人(30代後半)
この時気付いたのですが、未決勾留中の被告人は、留置場や拘置所から出頭する
訳ですが、裁判中に座る位置も若干変わります。
勾留されていない被告人は、弁護士の隣に座ります。
しかし、勾留中被告人は、刑務官が必ずいる理由もあると思いますが、弁護士の
前に長椅子があり、そこに3人が座ります。
入退廷する時も、未決勾留被告人は、法廷に入るための専用の出入り口があります。
勾留されていない被告人は、入廷する扉は、傍聴者や弁護士もそうですが、傍聴席に入る
扉から入り、傍聴席の前に低い柵があるのですが、両サイドには、法廷に入る為の小さな扉
があります。
その小さな扉から、その時間に対象となる被告人や、弁護士、証人などが出入りします。
覚せい剤取締法違反罪の、被告人は見た目は、普通な感じの労働者です。(こんな方でも
覚せい剤を使用していたのですね)
ところで、この日本のどこに行けば、覚せい剤を買えるのですかね?(イメージ的には大阪、
西成地区に行けばありそうですが。。)
ここは、名古屋市ですから、名古屋のアイリン地区があるのでしょうか?
覚せい剤は、シャブと言われていますが、(骨の髄までシャブられるの隠語)と聞いた事が
あります。
まさに、日本語的な隠語だと思いませんか?
悪いものの隠語に、(骨の髄までシャブられる)と、悪い事の例えを謳っています。
ここまで言っているのに、高額な上にに色々な手数料がさんざん乗せられた、高価なシャブを
買う価値が、やはりあるのでしょうね。。
うん~ん「話のネタに、1回、打ってみようかな。。」冗談です。
論告、求刑は検察官からさらりと述べられ、求刑1年6ヵ月。
最後に、裁判所に伝えたい事は?に対しては「特に何もありません」で終わりました。
半数ほどの被告人は、この最後の言葉を何も言わない方がいます。
私は、内心「ここで一世一代の反省の言葉を言っておけよ」と突っ込みたくなるのですが、
その様な言葉を言っても裁判官には通用しませんかね。
しかし、ここで何も言わない方は、私から見ると(本当に反省しているの?)と、疑います。
大げさかもしれませんが、最後のチャンスを与えられていると思いますから、ここでの証言は
重要だと思うのですが。
次の事件は、自動車運転過失致死傷罪 (判決)
内容は、朝、乗用車で出勤中に、右折禁止の交差点を右折した時、対向車線を直進してきた
大型バイクと正面衝突して、バイクを運転していた20歳の大学生が死亡しました。
今日、初めて刑事裁判を傍聴して、この公判が一番印象に残る事になります。
被告人は、(40代前半)、某大手パチンコメーカー勤務していました。(私の勘違いかも?)
被告人は、本業の他にアルバイトもしており(なぜか?)、アルバイトがAM1時ごろに終わりました。
深夜ですが、その後アルバイト仲間と食事に行くことになりました。
被告人は、翌日も朝から仕事があるのは分かっていたのですが、流れで同僚と食事に行き、
帰宅したのは、AM3時頃でした。
前日、帰るのが遅くなった事もあり、寝過ごしてしまい、いつも出勤する時間より、10分くらい
遅く出勤する事となりました。
毎日通る、通勤経路、いつもはある交差点でUターンして少し戻り、左折して会社に向かうのですが、
この日は、10分遅く出勤した事もあり、遅刻する可能性が有りました。
そこで、この日はUターンする交差点の手前に、右折禁止の交差点を曲がり(ショートカット)して
時間を短縮させました。
そして、今回の事故が発生して、20歳大学生の尊い命が失われました。
この公判では、被害者参加制度を利用して、被害者の父親が検察官の隣に座り、被告人質問
などを対応していました。
被告人側の証人に、被告人の妻が証言台に立ち、証言をはじめました。
初めに、今回の事故で、被害者が亡くなった事に対して、被害者側家族に申し訳ないと、
お詫びをしました。
そして、被告人は真面目に家族のために働いており、今回の事故で以前勤めていた会社は
解雇?されたが、現在もアルバイトで家族を養っており、奥様もパートで働いているが家計は
大変な状態である事などです。
最後に、執行猶予付き判決をお願いしました。
傍聴席には、被害者の兄妹(お姉さん2人)、母親、被害者の彼女がいらっしており、突然
亡くなった(被害者)の、弟であり息子であり、恋人を亡くした悲しみがひしひしと伝わってきました。
被害者側母親の、意見陳述は、事故の日に息子へ交通事故には気を付ける事をもう一度
言っておば、時間のタイミングが変わり、今回の事故に遭わずに済んだのでは?との後悔や、
将来を楽しみにしていた事、両祖父母が健在であり、自分たちより先に亡くなった孫を悲しんで
いる事を述べていました。
聞いているうちに、私も目頭が熱くなりました。
交通事故のほとんどは、加害者の故意で発生した事故では無いと思います。
今回の事件も、被告人の過失は有り(右折禁止を右折した)ますが、ぶつけるつもりは微塵も
無かったと思うのですが、結果としては被害者のバイクと正面衝突した事故です。
しかし、被害者が死亡した事により、被害者家族はもちろんですが、被告人家族にも辛い人生
がスタートしてしまいました。
この公判を通して、私なりにハンドルを握る時は(毎日通勤に運転しています)、過失による
事故は絶対起こさないように、自分自身に誓いました。
実は、こんな事を言いながら、若いころは、交通違反を繰り返し、合計3回免停処分を受けております。
今なってに自分自身を振り返ると、交通事故が無かったことは奇跡に近いと考えると、背筋が
ゾッとしました。
近年、交通死亡事故は全国で、年間約4,000~5,000人です。
20~25年前は、年間約10,000人を超えていました。
(交通事故戦争と報道されていたと思います)
当時私は20歳前後の時、同級生や、先輩、後輩の死亡事故の知らせや、葬式に参列した
記憶がよみがえりました。
この公判で、完全に裁判とは無縁と思っていた自分が、そうでは無い事を改めて認識しました。
判決 禁錮2年執行猶予5年
続く