MEZAMEの後 後編2部 | K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

amblo.jp/vanilla7creamより
引っ越しました。

今までINFINITE ONLYでしたが
これからは他のグループにも
挑戦致します★
暖かく見てくださると嬉しいです^^

Fantasy/恋愛/日常
短編集・・・など。

 

 

 

あ・・・・・。

 

そっか・・・そうだったね?

 

君は・・・ルシファー。

 

私はアテン。

 

思い出したよ、その羽で。

 

 

 

おかえり・・・ルシファー・・・。

 

 

アテンの大きな白い羽。

ルシファーの大きな黒い羽。

 

思い出した過去・・・

 

しかし・・・今の二人は過去の二人ではなかった。

 

 

 

 

        

俺は・・・・違うよ。

でも、

そうだな・・・。

 

 

         

行かなきゃ・・・・

 

 

 

 

                

                行く?行くってどこへ?

 

 


            みんなが俺を待ってる・・・

 

 

 

                  

                   うん・・・そうだけど、宛はあるの?

 

 

 

  

 

       わかるさ・・・歩いてきた道で拾ったから。

 

 

 

 

アテン:「ねぇ・・・私は今も過去も名前が同じだけど・・・あなたは?」

 

テヒョン:「俺は・・・俺の名前はテヒョン。過去の記憶を持ってる。お前も?」

 

アテン:「多分・・・ルシ・・・ねぇ、テヒョン、過去ってことはやっぱりルシファーなの?」

 

テヒョン:「そんなわけないじゃん。生まれ変わりってだけ。

      生まれ変わったってことは昔の俺じゃないってことだろ?」

 

アテン:「ねぇ、じゃぁ、どうして行くの?過去の自分じゃないのに。」

 

テヒョン:「前世の・・・過去の記憶が俺に約束させてる・・・

      呪縛か?・・・w 俺は俺の中にいるそいつの願いを聞き届けなきゃ

      自由にはなれないみたいだ。」

 

アテン:「呪縛なんかじゃないわ・・・あの子はそんな子じゃないもの。」

 

テヒョン:「知ってる・・・w冗談だよ。それよりお前は?両親の元に帰れるの?」

 

アテン:「うん・・・私は多分、あなたを起こすためにここに来たみたい。」

 

テヒョン:「俺達・・・せっかく生まれ変わったのに、過去の自分に縛られてるんだな。」

 

アテン:「あたしはそうは思わないわ。約束だったのよ、きっと。

     記憶があるならわかってるでしょ?」

 

テヒョン:「神か・・・ほんと、面倒な奴。」

 

アテン:「でも、そう言いながら笑ってるねw」

 

テヒョンはアテンにそう言われると、急に真顔に戻して空を見上げた。

 

 

『だからか・・・だから目覚めた時、何の記憶も持たなかったのか。』

 

『それが俺の宿命ってやつか。』

 

 

テヒョン:「なぁ・・・どうして俺はこんな風に生まれたんだ?」

 

アテン:「・・・・・・。」

 

アテンは苦笑する。

 

これが『運命』なのだろうか・・・・?

精霊たちは確かに神のおかげで人間になれることになった。

まぁ、それは俺が行かなきゃダメなんだけど・・・

 

だが・・・・世界の創世神・・・アテンは?

そして、ルシファーは・・・テヒョンは?

 

テヒョン:「まぁいいや。いずれ分かるかも知れないし。」

 

アテン:「うん・・・私ね?本当はまだ生まれてから数ヶ月しか経ってないの。」

 

テヒョン:「そうみたいだな。でも、何千億年と生きてたみたいだけど。」

 

アテン:「意地悪・・・。」

 

テヒョン:「あ・・・ごめん。」

 

アテン:「いいの・・・どうせ記憶だけだし、自分がこれからどうなるかなんて

     分からなくていいし、好きなことをするから。」

 

テヒョン:「そうだな。その為には約束ってやつを果たさないといけなかったわけだ。

     お前は俺を起こすことだったんだろ?」

 

アテン:「うん。神と約束した・・・最後の・・・最期、消えゆく瞬間に

     私の心の中に言ってきた・・・。でも、・・・でも姿がソンジョンオッパだったから

     なんか・・・なんか・・・・・・・・・・。」

 

テヒョン;「なぁ、アテン?」

 

アテン:「・・・・?」

 

テヒョン:「泣くな・・・・その涙はさ・・・そのソンジョンって奴に気持ちが通じるまで

      とっておきなよ。」

 

アテン:「・・・・・。」

潤んだ瞳で不思議そうにテヒョンを見上げるアテンにテヒョンは焦る。

 

テヒョン:「・・・うっ・・・なっ・・・なんかそう思ったっ!!」

 

急にそんなことを口走った自分が恥ずかしくて、

背中を見せるテヒョン。

 

アテン:「ん・・・・分かってる・・・けど、なんで分かったの?私の気持ちが・・・。」

 

テヒョン:「えっ・・・あの・・・実は俺・・・実は分からなかったんだけど・・・。」

 

アテン:「えっ?どういうこと?」

 

テヒョンがなんだかおかしくて、アテンの涙が止まる。

アテンは少し泣き笑いをしているようだ。

 

テヒョン:「なんかさ・・・俺の中のもう一人が教えてくれるんだ・・・

      しかも薄笑いしながら・・・。あぁ~~クソッ!」

 

アテン:「どうしたの?なんで怒ってるの・・・。」

 

テヒョン:「だってさぁ~っ!・・・俺のことそいつが言うんだよ。

 

”鈍感なんだな・・・・”って。

 

      なんかムカツかねぇ?なんかこれって俺が俺に言ってんの?

      これって・・・なに・・・もう・・・。」

 

アテン:「”何か”が多いね・・・w」

 

そうかと思えば、テヒョンは急に何か他のことを考えている表情だ。

 

テヒョン:「んー・・・ま、いっか。んで、お前、自分のこと誰だか分かったんなら

      これからどうすんの?」

 

アテン:「テヒョンは?」

 

テヒョン:「俺?俺は・・・まぁ、好きなことするよ。人間と同じように・・・。」

 

アテン:「あ・・・そう言えば私たちの時間は早く進んでるのかな?

     もしかして、私とテヒョンの時間って・・・。」

 

テヒョン:「人のようで人じゃないけど、お前は両親から生まれたんだろ?」

 

アテン:「うん・・・でも、一人は元天使・・・。」

 

テヒョン:「なら、人間と同じなんじゃないの?」

 

アテン:「でも・・・ママが・・・。」

 

テヒョン:「何?神が同じ時にしてくれたんだろ?」

 

アテンはその筈だけど不安だという曇った顔で頷いた。

 

テヒョン:「信じなよ。それぐらいの事をやってのけただろ?

     俺の中のこいつも・・・たださ、俺の場合は少し違うかもな。」

 

アテン:「どうして?」

 

テヒョン:「俺はそう望まなかったからさ。人になりたいだなんて思わなかった。

      でも、神一人で行かせるのは出来なかったんだよ・・・あ、こいつがだけど。」

 

そう言って、テヒョンは胸に手を当てて、アテンの顔を見つめた。

 

アテン:「何も違うことなんてないよ。でも、テヒョンがこれからどうするかは

     テヒョンが決めればいいんだよ。」

 

テヒョン:「うんwそうするつもりだよ。俺は・・・新しい仲間ってのを

      探してみる・・・まぁいるかどうかもわからないけどね。

      あ、その前に約束を果たさないとダメだったんだ・・・。」

 

アテン:「そうしないとどうなっちゃうの?」

 

テヒョン:「んー・・・どうなちゃうのかな?んー・・・うーん・・・そうだな・・・

      はっ・・・もしかしたら・・・人の世界で鏡に映ることが出来ない存在・・・とか。

      そうなったらどうしよう・・・そうなったら俺っ・・・俺・・・一人だ・・・・。」

 

アテン「ちょちょちょっ!ちょっとっ!!泣かないでよっ?!」

 

こんなことで・・・と言ったらあれだけど・・・

テヒョンが涙ぐんで鼻をすするなんて、なんか急すぎてビックリした。

さっきまでの強気はどこいったんだろ・・・?

 

グスン・・・グスッ・・・・

 

テヒョン:「あ~・・・マジでどうしよ・・・俺・・・。」

 

アテン:「え~っと・・・そうしないために約束を果たせばいいじゃないっ!

     せっかく目覚めたんだから、そうでしょっ!?」

 

テヒョン:「でも・・・うん。分かった。」

 

アテン:「じゃぁ、そろそろ始めましょ?テヒョン・・・頑張って!!」

 

テヒョン:「うん。やってみる・・・ここに来るまでの間に出会った人達・・・

      人達?・・ま、とにかく精霊達に会いに行ってくるよ。」

 

アテン:「そうだね。私はママが心配してるだろうから一旦、家に

     帰ってみる!!じゃぁ・・・テヒョン・・・またね?」

 

テヒョン:「アテン・・・ごめんwまたはないよ。」

 

そう言ってテヒョンは照れくさそうに、そして、悲しげにも見えるように笑った。

 

アテン:「えっ・・・・?」

 

テヒョン:「俺たちは、選ばれた最初の人。そして、最後の人・・・。

      天界が今はあるのか分からないけど、俺たちは神の教えのままに

      存在しながら、人の世界に溶け込むんだ。

      アテン・・・俺は新しい場所に行かなきゃいけない・・・あの人達に

      俺は会えないんだ。だから・・・だからアテン。さよならだ・・・。」

 

アテン:「そんなっ・・・・テヒョン!!ううん、ルシファー!

     それでいいのっ!?ママに・・・カオリに

     会わないままでっ!?それでっ・・・それで本当に・・・?」

 

テヒョン:「アテン・・・俺の中にいるルシファーはそれを望まないし、

      今は・・・今この体は俺のものだ。だから、その人に会う理由がないんだよ。

      その・・・恋した気持ちもね・・・。」

 

アテン:「・・・・・ルシファー・・・。」

 

テヒョン:「ルシファーはちっとも悲しんでないんだ。

      俺の中にいるこのルシファーだって本当は全て残像でしかない・・・・

      あいつが残した想いが俺に伝わってくるだけ・・・

      まぁ、俺の性格まで見抜いた発言ばかりでイラッとするんだけどね。

      ようするに・・・あいつはもう存在してないってこと・・・。」

 

アテンの瞳にはたくさんの涙で埋め尽くされて今にも溢れそうだ。

への字に曲がった唇が、テヒョンの胸を刺すように痛むけど、

何もしてやれない・・・

 

乗り越えなきゃいけない現実世界だった。

 

また・・・また泣いてる・・・。

なんだってそう泣くんだよ?

 

ルシファーのためか・・・

だけどこれはあいつが望んだことで、俺は・・・俺なんだ。

だから俺を・・・責めないでくれ。

 

テヒョンはどうしようもなく責め立てられる感覚に陥った。

アテンは俺を見て、ルシファーを見ている・・・

それがとても辛かった。

 

だって・・・俺は俺だから。

 

テヒョン:「アテン・・・俺は俺だから・・・。」

 

アテン:「ごめんね?・・・分かってる。これがルシファーが望んだことだもんね?

     テヒョンのこと、責めてるんじゃないの・・・ただ、ルシファーの気持ちが

     悲しくて・・・。本当にママのこと愛してたんだなって・・・。」

 

テヒョン:「・・・・・それは、神も同じだろ?だけど、それぞれ伝える形が

      違っただけだってさ・・・。」

 

アテン:「ルシファーがそう言ってるんだね・・・。分かった。

     私、ママにはそう伝えるよ。ルシファーはもう苦しんでないんだよね?」

 

テヒョン:「あぁ・・・何も。俺に精一杯楽しめって言ってる。

      それから、正直に生きろって。」

 

アテン:「そっ・・・・か・・・。うんっ!そうだよねっ!?

     テヒョンがこれから生きてくのに私は邪魔しないから大丈夫。

     テヒョン・・・元気でね・・・・。」

 

テヒョン:「あぁ・・・お前も。」

 

そう言ってテヒョンは大きな翼を広げて、飛び去って行った。

飛ぶ姿を少しだけ見ていると・・・静かに消えて、見えなくなった・・・。

 

アテン:「さっ・・・!帰らなきゃ!!」

 

ようやくアテンは家に戻り、いつもの倍も眉の下がったソンギュに

抱きしめられて迎えられた。

 

アテン:「ただいまぁ~・・・。」

 

何事もなかった顔で玄関を開けて入ってくるアテン。

すると、みんなを押し飛ばして玄関へ向かうソンギュ・・・

 

 

                 

        ソンギュ:「わぁああああああアテンやぁ~~~~っっ!!!!

          どこいってたんだよぉ~~カオリがすごく心配したんだぞっ!!」

 

 

アテン:「・・・・アッパが・・・でしょ?」

 

ソンジョン:「あははっ!ソンギュヒョンじゃん。」

 

ミョンス:「そうだよっ!待ってるって言いながら一番死にそうな顔してたクセにw」

 

ソンギュ:「わぁ~・・お前言うようになったなぁ~・・・。関心するよ。」

 

ミョンス:「んふふっwいつもこうだったけど?」

 

ソンヨル:「おいおい、それよりちゃんと紹介してよぉ~。」

 

ソンギュ:「おいおい?」

 

ソンヨル:「いやっ・・ヒョン、まっまぁ・・・・俺達初めて会うんだしっ!!」

 

カオリ:「アテン、挨拶して?」

 

アテン:「はい、ママ。こんにちは!ソンギュとカオリの娘、アテンですっ!!

     急におっきくなっちゃいましたっwでも、それなりに能力はあるみたいです!!」

 

ドンウ:「えっ!?」

 

ウヒョン:「能力っ!??能力って・・・。」

 

ホヤ:「アテンちゃんって・・・あのアテンちゃんなの・・・?」

 

ホヤがアテンにそう聞くと、アテンは何も知らない顔をして首をかしげた。

 

ソンヨル:「まっ・・・まっさかぁ~wアテンちゃんならそう言うだろぉ~?」

 

ミョンス:「でも、どういう意味?」

 

アテン:「ん?能力って・・・年相応の能力以外の何が・・・

     オッパ達、もう、老人に・・・。」

 

ホヤ:「うはっ!!言われたっwww」

 

ドンウ:「まっ、アテンちゃんから見たらそうかもねwひゃひゃっw」

 

ウヒョン:「アテンちゃん、こんにちは。僕はウヒョンだよ。困ったことがあったら

      なんでもウヒョンオッパに聞いてね?」

 

そう言ってウヒョンは愛嬌を見せた。

 

ソンギュ:「やぁっ・・・ずっと黙ってるかと思ったらお前・・・

      ちょっと・・・うちの娘に手ぇ出すなよ?」

 

ウヒョン:「うははっwww」

 

 

そんな・・・・

笑顔が一片一片とこぼれた時間に。

 

花びらがひとつ・・・またひとつ。

そして、ポンッと咲くように現れると、今度は一斉に咲き始めた・・・・・・

 

それはどこからともなく。

 

次第に大きな円を描き、

その一つ一つも回りながら降ってきて・・・

 

 

ウヒョン:「えっ・・・」

 

ソンヨル:「何・・・これ・・・。」

 

ホヤ:「花・・・・?」

 

ドンウ:「・・・・・ぅわ・・・・。」

 

ミョンス:「綺麗だ・・・。」

 

ソンギュは目を細めて、部屋中に舞う花びらを眺め・・・・

 

ソンジョンはほんの少しだけ開いた口元を結び直し・・・・

ゆっくりと首を元の位置に戻した。

それと同時に声を上げた者が一人・・・・

 

 

 

ソンヨル:「ぁっ・・・あ・・・・あぁっ・・・・!!!」

 

「リナッ!!!」

 

 

 

大きな声で叫んだソンヨルの声にみんなも

我に返るように首を戻すと、目の前に現れたのは、精霊達。

 

ソンヨル:「リナッ!!リナッ!!リナぁッ・・・・・・。」

 

リナ:「ただいまっ^^ソンヨル・・・・。」

 

ドンウ:「オルン・・・ちゃんっ・・・?」

 

オルン:「うん・・・ドンウ・・・・ただいま。」

 

ホヤはその姿を見て、まだ現れていないレナの姿を

振り返り・・・また振り返り、何度も辺りを見回して

探した・・・・

 

下を向くホヤ・・・・・・・・

 

すると、大きな波の音が聞こえた。

 

ここは部屋だった筈・・・それに精霊の力なんて・・・あるわけがない。

何故かって神が・・・精霊達を人にした筈だから。

なのに、この部屋の空間は違っていた。あの日々と同じようにもう一つ

あった世界と同じような現象が今目の前で起こっている・・・・

 

神の力・・・・?

 

でも、もう神は・・・・

 

はっきりとした理由が分からないまま、どんどん波は大きくなって、

ホヤへと押し寄せて来たかと思ったら、大波をかぶるかと目を伏せた瞬間、

今度は足元を境に静かに吸い込まれていく。

段々と小さくなっていく波・・・・

 

するとその大波が消えゆく中、

一頭のクジラがグォオオオーーーン!!と泣いた。

 

 

ホヤ:「俺の足は・・・治ってもう歩けるようになったのに・・・。」

 

   ( あいつは来ないのか・・・?

    まさか、それと引き換えにあいつは・・・・・。)

 

そうホヤが思った瞬間っ!!

 

レナ:「ホーヤっーーー!!」

 

ホヤ:「あっ・・・・・あぁっ・・・レナッ!!」

 

クジラの背中を滑り台にして滑り降りてきたのは、レナだった。

 

レナ:「遅くなってごめんね?」

 

ホヤ:「・・・来てくれたんだね・・・・レナ・・・

    生きててくれてほんと良かった・・・ほんとに・・・。」

 

ホヤは涙ぐんだ声でレナの名前を呼んで、強く抱き寄せた。

 

ミョンスは黙ったまま待ち続けた。

 

しかし、なかなか現れない・・・・

 

すると、ソンギュの背後に影がユラリと現れて、

その肩に手を掛ける者が一人・・・・

 

アキ:「ソンギュさんちの鏡・・・小さいよ。」

 

ソンギュ:「あ゛っ!??アキ・・・相変わらずだな。っていうか変わった・・・?」

 

ミョンスはポカンと口を開けて、目を大きくしている。

 

ソンギュ:「ほらっ・・・早く行けって。てか、なんでお前そんなに濡れてんの?」

 

アキ:「ははっwさっき、クジラの噴水

    まともにくらってた・・・。」

 

ソンギュ:「はぁ~・・・・。くらってたって・・・。」

ソンギュはため息をついて無言のまま、早く行けと手で払った。

 

      アキ:「うんっwミョンスッーーー!!」

 

そう言ってアキはミョンスの胸に自ら飛び込んだ。

 

ミョンス:「うわぁっ!!・・・・・おかえり・・・・アキさん・・・

      わぁ~びしょびしょだねっw」

 

ミョンスはかっこよく見られたくて、少し照れながらも動揺しないように

なんとか溢れる気持ちを抑え、震える声で言った。

それからズブ濡れで髪の色が黒く戻っている彼女の髪を

嗅ぐようにして、優しく包み込み目を閉じた。

 

アキ:「ミョンス・・・もう一回・・・。」

 

ミョンス:「えっ・・・何?」

 

アキ:「大好きだよ・・・。」

 

ミョンス:「えっ・・・ぁ・・・うんっ・・・俺も・・・です・・・。」

 

アキは、あの最後の言葉をもう一度言いたかったようだ。

 

ウヒョンは目を細めて、苦い顔をしていた。

恥ずかしい場面を見たせいか・・・もしくは、みんな来たのに・・・・

そんな気持ちだったのだろうか。

 

 

ソンギュとカオリは顔を合わせてニッコリと微笑みあった。

 

ソンジョンは下を向く・・・・

別に羨ましいわけじゃない。

だけど・・・やっぱりちょっとは、羨ましいかな・・・。

そんな気持ちでいた。

 

するとギュっと握られる手の感触に気がつき横を向くと、そこには

アテンの手が繋がれていて、優しく微笑む彼女にソンジョンも笑顔を返した。

 

花びらが全て舞い落ちて、クジラも姿を消し、

森で鳴く小鳥たちの声さえも消えて、元の部屋に戻った。

 

ソンギュ:「ウヒョナ・・・・。」

 

ウヒョン:「はははっあいつ忙しいのかなっ?wま、そのうち・・・

      ヒョッコリ現れるんじゃないか?あいつはいつも突然だったか・・・・

      !?うっ!!・・・・???」

 

ウヒョンが話し終えようとした時、いきなり背後からドサッと何かの

重みを感じて、言葉を閉じてしまった。

 

顔の前には確かに交差された腕が見える・・・・

 

ウヒョンは少しも動けなかった。

現れることはないのかもしれないと諦めかけて・・・

何もかも信じられなくなるような気持ちになりかけていたから。

 

マリー:「噛み付くよ?」

 

ウヒョン:「ダメっ・・・。」

 

マリー:「なんで?」

 

ウヒョン:「お前はヴァンパイヤじゃないから。」

 

マリー:「じゃぁ、私は誰?カラス?」

 

ウヒョン:「違う・・・・。」

 

ウヒョンはまだその顔を見ることができない・・・

手が震えて・・・・震えて・・・・顔がひきつる。

 

マリー:「そうね、私はカラスじゃないわ。羽なんてないもの。」

 

ウヒョン:「案外・・・重いな。」

 

マリー:「何っ?酷いね・・・じゃぁ、このまま帰ろうかな。」

 

マリーがそう言った瞬間に、ウヒョンはビクッと眉を上げ、顔を上げた。

そして勢いよく、ぐるりとマリーの体を回し、宙に浮かせたまま

片手でマリーの頭を支えた。

 

ウヒョンの瞳がマリーの瞳の中で泳ぐ・・・・・

 

ウヒョンはマリーだとようやく分かると、ゆっくりと下ろし、

両手でマリーの頬に触れながら、自分の顔に近づけた。

 

優しくて、強いキスをするウヒョン・・・

そして唇が離れると、もう一度顔をよく眺めてはキスをした・・・・

 

今まで、会いたいと言わずに耐え続けた分、ウヒョンの目には

たくさんの涙が溢れ出していた。

 

 

マリー・・・・・・ぁっ・・・・あぃっ・・・・・

 

 

                                                         

 

                        会いたかった・・・。

       

      

マリー:「ずっと・・・ずっと待ってくれてありがとう・・・。

     ずっと・・・私を信じていてくれてありがとう・・ウヒョン。」

 

ウヒョン:「マリー・・・俺と・・・結婚・・・してくれ。」

 

マリ:「突然だねw・・・でも、まぁいいよw」

 

 

ホヤ:「あっ・・・既に・・・。」

 

ドンウ:「ぶはっ!!wwww」

 

ソンヨル:「尻に敷かれてるってやつね。」

 

ウヒョン:「おいっ・・・・。」

 

アテン:「じゃーあたしもぉ~♪ソンジョンオッパと結婚するぅ~!!

     ソンジョンオッパ~サランヘ~♥」

 

はっ??何?何、言っちゃってんのっ??

 

                         

                          ヒョン・・・えっと・・・僕は何も・・・

 

ソンジョンア・・・お前ぜってぇー許さねぇ。

 

 

 

僕が一体・・・何をしたと言うんでしょうか・・・?

 

 

 

ソンギュ:「うるせぇーっ!コラ、アテンっ!ダメだぞっ?ダメだからなっ??」

 

アテン:「なぁ~にがぁ~?」

 

ソンギュ:「何がって・・・なぁ・・・?カオリ・・・。」

 

カオリ:「恋愛は自由・・・でしょ?」

 

ソンギュ:「カッカオリぃ~~~っ;;;;」

 

カオリ:「いいじゃない・・・ソンギュには私がいるでしょ?

     ソンギュ、サランヘ・・・・。」

 

ソンギュ:「なっ・・・なっ!!」

 

ソンヨル:「わぁ~・・・まだ慣れてないんだっ?www」

 

ホヤ:「以外だな・・・。」

 

ドンウ:「子供も生まれたのにっ!?wwwまだ慣れないってwww」

 

ウヒョン:「カオリさんにだけウブなんだなw」

 

ソンギュ:「わあああああああっっ!!!!」

 

恥ずかしくなったソンギュは頭を抱えて顔を隠した。

 

そして、みんなはそう言って赤くなったソンギュをみんなで笑った。

 

 

こうしてようやく俺たちは本当の意味で元に戻れた・・・・。

 

長かった戦いも、誤解も全てこの為にあった。

・・・・また再会できて良かった。

 

俺たちはきっと忘れない・・・・・

優しくて、強くて・・・ちょっと強情っぱりな

あの方のことを。

 

この世界を創ってくれてありがとう。

そして、俺達の夢も現実も守ってくれて、助けてくれてありがとう。

本当に感謝してるんだ。

 

俺たちはきっと明日も笑顔でいられる。

それが何よりも嬉しくて・・・

そしてまた普段の生活に戻れる幸せ。

 

 

ただ、・・・・時々、少しだけ胸が痛むんだ。

またあいつに会えたらな・・・ってさ。

 

 

今度こそ、仲良くしようや。

 

 

 

空があまりにもよく晴れた日にはこうして思うんだ。

 

 

『いつかまた・・・どこかで・・・・な?』

 

 

 

 

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その後・・・精霊達を呼び起こしたであろう

テヒョンの姿を見たものは誰もいない。

 

きっとどこかで、暮らしているだろう・・・

 

でも、それを思うのはアテンだけ。

 

それでも知る者が一人もいないよりはマシだ。

 

 

アテンはみんなとは少しだけ違う空を見つめる・・・・

 

 

 

『テヒョン・・・ありがとう・・・。』

 

 

 

 

『ねぇ・・・・もしかして・・・君って・・・・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-END-