Le Jardin Ensoleile ~ウヒョン~最終話 | K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

amblo.jp/vanilla7creamより
引っ越しました。

今までINFINITE ONLYでしたが
これからは他のグループにも
挑戦致します★
暖かく見てくださると嬉しいです^^

Fantasy/恋愛/日常
短編集・・・など。

 

 

最初は手洗い場の水受けに落ちた、ただ一滴の水が浮かべた泡だった。

プクンと1つ。

ポコポコと2つ、3つ。

 

それを見たある方がお団子を思いついた・・・・

 

そんな話をどこかで聞いたのを私は思い出した。

 

 

私たちはお団子。

3個のお団子。

でも串になんて刺されずに、それぞれが1つの個性あるお団子だった。

 

飾り菓子でもなく、何にも包まれず、混ざらず、特に絵画のように美しい観賞用として

献上された工芸菓子でもない。

年間を通してやってくる祝い事別の、数ある和菓子の中にそれはない。

 

でも、それにはない、内から醸し出す美しさがあった。

 

三色団子は、何故三色なのか?

 

ピンク・白・緑

 

桜のピンク、春がすみの白・新緑の緑。

 

桜の咲く順?

ピンクの蕾がつき、白い花を咲かせ、最後には葉を付けて。

 

他にも理由はあるけれど、とにかく私たちはお団子のようだと感じたの。

 

1つずつ意味を持ち、それが合わさることでまた別の意味を持つ。

1つになった私たちは新しい形の”家族”になれたんだと・・・・・

 

 

”今度は・・・・今度は・・・・・・・”

 

オーナーが喉を詰まらせながら呟いた言葉が、

私の胸に突き刺さる・・・・。

 

親友がやっと幸せになった途端に病気で失い、その大切な親友の子供を

守って行こうと二人で決めて奮闘して、ようやくその子供が夢叶う日を

待ちこの扉を回転させるだけだったのに・・・・

今度は・・・・・今度はもう一人の親友を事故で失ったオーナー。

 

自分には子供がいない・・・

どうやって伝えようか、上手く伝えられるだろうか・・・・?

きっとそんな風に沢山の葛藤と苦難に立ち向かってきた優しいオーナー。

 

そんなこと露にも思わず塞ぎ込んでいた私に一体、何が出来るというのだろう?

ウヒョンだってそう・・・・

何も知らずに私を励ましてきて、その為だけに夢を叶えようと必死に生きてきたウヒョンに

私はどうして恩返しをしたらいいのだろう・・・・?

 

言葉にできなくて・・・・みんな言葉に出来なくて団子になるの。

 

 

 

それから暫くして、自然と体を離すとウヒョンはオーナーに

手渡されたファイルをじっと眺めた。

静かな時間・・・・

なんの言葉も交わさなくても流れていく心が、私達の絆を深めてくれた。

 

ウヒョンはそっとそのファイルに挟まれた思い出達を開く・・・

 

1ページ1ページ・・・・

1枚、1枚・・・・

 

それはウヒョンが生まれる前からの新聞の切り抜きや、

その時好きだった歌手の切り抜きなどが挟まれてたり、メッセージが

書き込まれたメモが貼ってあった。

 

”ずっと待ってたよ。あなたが空から降りてくるのを・・・・”

 

”まだよ・・・まだ私のお腹にいてね?”

 

”もうすぐ会えるわね。すれ違ってもずっとあなたは私の子。”

 

そんなメッセージが死の直前まで綴られていた。

 

お腹が段々大きくなっていく写真。

生まれてからは毎日のように。

ウヒョンは毎日愛を注がれ、そして苦しい中でも笑顔を必死に作っていたのが分かる。


その笑顔にある目元は、とてもウヒョンに似ていた。

 

 

ウヒョン:「オンマ・・・・俺の・・・もう一人の・・・・・・。」

 

 

 

オーナー:「そうだね・・・君には二人のオンマがいる。そう捉えてもいいと思うよ。

       ごめんね・・・・上手く君に伝えられたか分からない。

       今言うべきだったのか・・・それとも言う時が遅かったのか正直分からない・・・・。」

 

マリー:「オーナー、これで良かったのよ。だって今じゃなきゃ理解できなかったと

     思うもの・・・・。私も・・・ウヒョンも。」

 

ウヒョン:「うん・・・オーナーありがとう。自分の事、知ることができて良かったと思ってる。

      俺がマリーにこうして大人になって再会することができたのも、

      オーナーのおかげだし、またそれに向かって自分の目標も早いうちから

      見いだせたのはオーナーのお陰だよ。」

 

オーナー:「私は・・・・これで本当に良かったのだろうか?そうずっと悩んでいたけど

       君たちは私の予想を遥かに超えて、いつの間にか立派に育っていたんだね・・・。

       これで、天国にいるあいつらも喜んでくれているだろうか・・・。」

 

マリー:「そうだよ!絶対喜んでるに違いない!!私・・・本当に恥ずかしいぐらい

     オーナーに申し訳なかったって思ってる・・・

     でも、全部ひっくるめてアッパが私やオーナー、それからウヒョンの事を

     見守ってくれてたんだと思えるの。だから、こうしてまた再会出来たんだともう。」

 

 

 

ウヒョン:「そうだな・・・・マリーのアッパや俺の両親が固い縁を結んでくれたんだろうね。

      ずっと一緒だ・・・ずっと・・・。俺たちはさ・・・形を変えてしまっても

      心は一緒だって、きっとオーナーに伝える為に俺をマリーに引き合わせてくれたし、

      このタイミングでオーナーが日本に残って決心してくれたんだってそう思うよ。

      オーナー・・・本当に今までお疲れ様でした。そして、ありがとうございます・・・。」

 

 

 

オーナーの肩が震えるのを、この部屋いっぱいに散らばっている酸素が教えてくれる。

 

優しい人達・・・・

 

支えてくれた人たちがみんな優しくて、その気遣いに互いが温められる。

 

オーナー:「いや、まだ疲れてないぞっ?wこれからまだまだお前たちは

      進んでいかなきゃならないからなっ!

      私もまだまだふたりの行く末を見守らなきゃならいっ!」

 

マリー:「あはっ・・・急に何っ?wオーナーってば、さらっと変なこと言う~っ」

 

オーナー:「んっ?変なことなんか言ってないぞ?マリーは案外・・・・。」

 

マリー:「ていうか、オーナー・・・いつの間にか私のことマリーって呼んでるし。」

 

オーナー:「いいだろぉ~?私はこれが気に入ったんだっ!ウヒョン君だけ呼ぶなんて・・・

       ズルイじゃないか・・・・私だってアレだぞ・・・・?」

 

ウヒョン:「ぅははっ・・・・w」

 

マリー:「何ぃ~???聞こえなーい!ハッキリ喋ってください。私だってなんですっ??」

 

オーナー:「んなっ!!マリーはいつの間にそんな事言うように・・・。」

 

マリー:「さぁ・・・?私はいつもこうだった気がしますけど・・・・。」

 

ウヒョン・オーナー:「いやいやいやいやっ!!」

 

マリー:「えっー!何よ・・・二人して。」

 

ウヒョン:「あはっw」

 

オーナー:「まぁ、それはいいとして・・・。」

 

マリー:「何がよ。」

 

ウヒョン:「マリーっwwwちょっと何か変わった??」

 

マリー:「んー・・・そう・・・かもっ?」

 

ウヒョン:「だよねw」

 

マリー:「なんかこう~・・・色々分かってスッキリ!!って感じ?

みんなさ・・・心の中に溜め込んでたのをいっぺんに吐き出した感じがするのw

それに、私ってすっごいたくさんの両親が居る気がして、凄く嬉しくて!

あぁ~愛されてるなぁ~っていうかっ?」

 

オーナー:「うんうん、あながち嘘じゃないぞ?私たちは少なくともそう思ってきたし、

       今も・・・天国で見守ってるあいつらだってきっと同じなんだと思うよ。」

 

マリー:「うんっそうだよねっ!あぁ~・・・なんか晴れ晴れとした気持ちになるねッ!」

 

ウヒョン:「マリーって意外と切り替えはや・・・・・」

 

マリー:「うんっ?何だって?!wwwまぁ・・でもさ・・・・ウヒョナ・・・色々ごめん。」

 

私がそう切り出すと、オーナーは少しだけ口元をあげてそっと部屋から出ていく。

 

私もウヒョンも一瞬、オーナーと顔を合わせると、オーナーは手だけを上げて

”ミリを店に待たせてあったな・・・”と独り言を言っていた。

 

 

 

 

 

 

扉から扉へ。

2つの扉を抜けて玄関へ。

 

最後のドアが締まる音がするまで、見えないオーナーの姿を二人は見送った。

 

 

ウヒョン:「で・・・なんだっけ?」

 

マリー:「ぇえっ?また言わせようとしてるっ?」

 

ウヒョン:「www」

 

マリー:「・・・・えと・・・色々ごめん。私が部屋に閉じこもってた時、いつも来てくれた子に

     ずっとお礼が言いたかったの。ほんとは気づいてたよ・・・ありがとうって・・・。」

 

ウヒョン:「うんw」

 

マリー:「ほんとは、こっちを見てない時に、その子の事見てたの・・・。

     誰だか分からないけど、いつも来てくれて私も少しづつ癒されてたと思う。

     ある日からその子が来なくなって・・・私はまた独りになった気がしたけど、

     オーナーが来た時に言ってたの。」

 

ウヒョン:「オーナーが?・・・・へぇ~・・・・。」

 

マリー:「オーナーはね、今思うと、多分ウヒョンのアッパから聞いたんだと思う・・・。

     その子がこう言ったんですって。」

 

『彼女はきっと歌が好きなんだ!だから僕は歌手になるっ!!

歌手になって、きっと彼女に見つけてもらうんだ!!今度は彼女が僕を

追いかけるんだよっ!!なんかいいだろ?そういうのって。

彼女が僕に気がついたら、僕も彼女を迎えに行くつもり!!だから有名な歌手になって

テレビに出て、彼女と感動的に会うのが僕の夢だっ!!それまで・・・辛いけど・・・・

でも、僕はその夢を叶えるまで、諦めないっ!!えっ?彼女が気がつかなかったら??

そのときはアッパ!!少しだけ・・・手伝ってよw』

 

マりー:「そんなことを言ったそうよ・・・。」

 

ウヒョン:「ははっ・・・そうなんだっ?w」

 

マリー:「うん。ただね・・・?気になることがあるの。」

 

ウヒョン:「ん?気になることって??」

 

マリー:「その子・・・まだその事覚えてるのかな・・・って。」

 

 

そんな事を言うマリーの左まつ毛を見ると、どこを見ているのか分からない程

目が覆われて見えなくなってた。

頬はポコンと上がってるし、少し色付いても見える。

 

”まるで鏡を見ているようだ。”

 

そんな風に思った。

そんな照れ隠しから少し意地悪を言いたくなったんだ。

 

ウヒョン:「その子?その子って俺のこと?w」

 

益々頬は色付き、マリーはもっと下を向いて果物みたいになってた。

それからどうしようもなくなったのか、俺に背中を向けてしまうマリー・・・

なんだかおかしくて可愛くて、また俺は囁いてしまうんだ。

 

ウヒョン:「マリー?その子が俺だって分かってて言ってる?」

 

マリー:「・・・・っ。」

 

ウヒョン:「もし、俺がその子が今どう思ってるのか代弁するならこう言うかなぁ・・・」

 

俺はそう言いながらマリーの肩を掴んで振り向かせた。

マリーの顔は上がらない・・・・

いつになく言葉を失っているマリーに、驚きと愛おしさで胸がいっぱいだ。

 

ウヒョン:「もちろん覚えてるよ・・・ずっと君だけを待ってたから。」

 

マリー:「・・・・・・。」

 

ウヒョン:「・・・・それからね?俺は今も昔もお前だけを想ってる・・・・。

      それはお前がどんな姿であっても、どんな状況であろうとも変わらない。

      ただ、お前だけが俺の全てで、俺だけのマリーであって欲しい・・・んだけど。

      どうなのかな・・・?マリー・・・・。」

 

 

 

マリーは言葉を失くしたまま、でも昔みたいな事じゃなくて・・・・

俺の言葉に感動したのかなっ?w

 

マリー:「ウヒョナ・・・・凄く嬉しいけど、凄く臭いセリフ・・・・。」

 

ウヒョン:「クハハッ・・・せっかくの雰囲気が台無しだなっwお前って心底

      シリアスになれないのなっwでも、いいよ・・・・そんなマリーが好きだから。」

 

マリー:「ごめんっw・・・・・。」

 

ウヒョン:「んでっ?マリーは?」

 

マリーは泣き笑いして、今度はキョトンした顔を俺に見せる。

沢山の顔をマリーは10数年分見せてくれているようだった。

 

マリー:「ぇっ・・・?」

 

ウヒョン:「俺、一応告白したんだけどっ?w」

 

マリー:「ぁっ・・・!えっと・・・わっ・・・私も・・・ウヒョンが・・・。」

 

ウヒョン:「ぅん?俺が何だって?w聞こえないよ・・・マリー・・・。」

 

そう言いながら、俺はマリーに顔を近づけた。

唇が重なる瞬間までに言って?

そう願いながら・・・・

 

 

マリー:「ウヒョナ・・・私もずっと大好きだった・・・・。」

 

 

『私もずっと・・・。』

 

言いながら気づいた気持ち。

もしかしたら、みんなそうなのかもしれないね。

 

いつの間にかダムを造り、塞き止めていたせいで自分の役割や気持ちまで

閉じ込めて気づかない・・・・

素直って、前向きって口にしても思っても時には難しくなるけど、

そんなダムを破壊してくれる相手がいつか会えたなら・・・・・

 

私はようやく向き合えた。

自分とも・・・ウヒョンとも。

 

ウヒョナ・・・ありがとう、待っててくれて。

 

 

ほんとはね?あの時少しだけ笑ってしまいそうだったことがあるのよ?

 

それはね?ウヒョンが学校であったドジ話で、腕を組みながら

納得いかないって夢中になって話してた時・・・

そんな小さなことにまでこだわって、独り悩む姿が、私にはとてもおかしかったの。

 

逆に私の方がちっぽけな悩みなんじゃないかしら?って

変な気持ちになったのよ。

だから・・・だからね?

あの時から私はウヒョンの事が好きだったのかもしれない。

 

 

春になったら、お団子を持って桜を見に行こう。

アッパ、オンマも一緒にねっ!

 

 

 

 

 

        

 

 

 

あの場所にはいつも花が咲く。

あの部屋には、二人の・・・ううん、三人の両親の思いがいつもあるの・・・・

 

 

 

 

『うぉおおおおおいっ!!ウヒョナーーーーっ!!いるかぁ~っ!!』

 

 

 

ほらっ・・・

聞こえてきた、仲間の声。

 

 

 

1人じゃないし、独りじゃないって。

 

 

 

 

ねぇ、マリー?

俺の声が届いてる?

俺はね、ずっとずっと君のためだけに歌ってきたんだよ。

だから、忘れないで・・・ずっと傍にいることを・・・・

 

 

 

 

 

(ル・ジャルダン・アンソレイエ)

Le Jardin Ensoleile 

ひだまりの庭。

で、

 

『ローズマリーが導いてくれた、君という香りと共に。』