なっ・・・なんで?
なんでそんな急に・・・・
勝手に終わらせちゃうつもりなの?
まだ何も聞いてない・・・
聞いてないよ。
嬉しくて・・・楽しくて・・・
ドキドキと胸が風船のように膨らんでいた。
それが突然割れて、辛い現実に引き戻されたように
俺は驚いたままの顔で止まっているようだった・・・
ちょっちょっちょっちょっ!!
ちょっと待ってよ!!
俺は目を泳がせながら、辺りを見回して
考えをまとめようとした。
とっ!とにかくっ!!ユカリンにLINEでっ・・・!!
「ユカリンッ!!ユカリンッ!!
待って!!待ってよ!!
ちゃんと説明して?
俺、分かんないよっ!
頼むから、勝手に行かないでくれっ!!」
見たこともない速さで俺は
言葉を打ち込んだ・・・
LINEなら直ぐに届く・・・
きっと見れば分かる・・・
まだ・・・俺達はまだ始まってもいないのに・・・・
空港で・・・
あの時、初めて会ったのは偶然だよね?
俺がパスポートを落として・・・
でも、あの時のユカリンの髪は長かったよね?
その後直ぐにタマゴちゃんを見つけて・・・
まさか同一人物だなんて
思いもよらなかった・・・
う~~~~~ん・・・・・
う~~~~~~ん・・・・・・
だぁあああああーーーーーー!!
駄目だ・・・
全っ然っ!!分かんないぃ~~~~・・・
俺はもう1度LINEに文字を打ってみた。
「ユカリンっ!このままじゃ俺、
納得いかないよぉ~~・・・
お願いだから、話しをしようっ?」
「おぉ~~~~いっ!!
ユカリーーーンッ!!」
「このままじゃ嫌だよぉ~~
ユカリ~ン・・・
俺、怒ってないし、ただ会いたい!!
まだ、何も言ってないし・・・
とにかくこのままじゃ終われないよっ!!
というか、まだ・・・
始まってもいないかもなんだからぁ~~!」
「ユカリン・・・とにかく会って
話そう?俺、何度も言うけど
怒ってないから・・・
ホントだよ?待ってるからね?」
俺は全く説得力のない言葉しか
思い浮かばなかった・・・
これで、ユカリンが連絡をくれるとも
思えないような内容だった。
そりゃ・・・
そりゃ最初はショックだったよ。
なんだか狐につままれてるようでさ。
だけど、家に帰るまでの道で考えたんだ・・・
だからなんだ?って・・・。
そうしたからなんだ?
ユカリンとタマゴちゃんが同一人物?
最高じゃんっ!!って。
揺れてる心が1つになるような
こんな最高な事ってある?
そうそう起こりえないよ!
そう思ったんだもん・・・
女の子は難しいな・・・
俺、別にそんなことで嫌いになったり
しないのに。
騙された?って一瞬思ったけど、
でも、どちらの彼女も俺が好きで、
俺も選べないほど悩んでるくらいの人で・・・
でも、別に俺も聞かなかったし、
それって騙した事にならないって
段々思うようになったんだ。
だってそうだろ?
俺、疑わなかったもん。
もしかして?って疑惑も持たなくて
突き詰めるような会話もしなかったもん。
それに・・・
それに騙されたっていいじゃないの?
その人が大切なら・・・
そんな事件になるような嘘でも
ないし、幸せな嘘だろ?
きっと・・・
きっとユカリンは不安だったんじゃないかって
俺は思うんだ。
うん・・・きっとそうだっ!
自信がなくて、俺との繋がりが
もしかして消えてしまったらって
考えたら怖くなって・・・うんうん・・・
そうだなっ!
って・・・俺は別にナルシストじゃないけどさ・・・
そう思いたかったんだ。
もっと、彼女が苦しんでるかもしれないから
俺も一緒に苦しみたかった。
でも・・・ユカリンからの返事はそれっきり来なかったんだ・・・・
「おい・・・・。ソンジョン。ソンジョンでいいや。
ドンウの様子見てこいよ。そろそろ仕事だし。」
と、ソンギュがたまたま通りがかったソンジョンに言った。
「僕でいいやってどういう事・・・?」
「あ?そのままだろ?いいから見てこいよ。」
ホッペを膨らましたソンジョンが、床をダンダンと
打ち付けながら部屋へ向かった。
「ソンジョン、俺が行くよ。」
と、ミョンスがソンジョンの肩に手をかけた。
「いいよっ僕が行くって。」
「何?いじけてるの?ククッ・・・」
「違うよっ!僕が頼まれたんだから、
僕が行くっ!」
「プハハッ!いいから・・・お前が行って
どうにかできるのか?ん?」
「なんだよミョンスヒョンまで・・・」
「じゃっ!俺が行くぅ~w」
と、ソンヨルが手を挙げてふざけた。
「じゃ、お願い。」
と、ミョンス。
「えぇ~~??引き下がるの早くないっ??」
「なんで?ソンヨリが行くんだろ?
じゃぁ、任せるよ。」
そう言ってミョンスはソンジョンの肩を組んで
Uターンをした。
「ああああああ!!ごめんっごめんっ!わぁ~かったって!
一緒に行こっ?!」
「あはっw 分かった。」
そう言って3人でドアをノックした。
コンッコンッ・・・
「ドンウヒョォ~~ン・・・いるぅ~?」
ソンヨルが声をかけながらドアを開くと
そこにはあぐらをかいて首をもたげる
ドンウがいた。
「ドンウヒョン、何してるの?
そろそろ仕事だってさ。」
「ん?あぁ。分かった。」
フィッと顔をあげたドンウは、いつものドンウだった。
それが余計に変な感じがした。
「ドンウヒョン、大丈夫?」
そう言いながらソンジョンは散らばった
ぬいぐるみを足で横に蹴りながらしゃがんだ。
「あぁ~あぁ~あ~~!お前足で蹴る奴が
あるかよぉ~~・・・」
「ん?」
そう言ってソンジョンはドンウの顔を覗き込んで
変化がないかじっと見つめた。
「ドンウヒョン・・・」
「なっ・・・何っwwwwなんだよっ
そんな真撃な顔してっwうはっ!」
「・・・・変っ!!」
「何がだよ・・・」
「なんか・・・なんか変っ!!」
そう言って、ドンウのほっぺをつねって横に伸ばした。
「イデデデデ・・・・なんだよぉ~~ウハハハハッ!!
痛いってのっ!やぁ、ソンジョンア、やめろよぉ~」
「ん?大丈夫かな?w」
「だからなぁ~にがだよっ!
なんも変な事はないって!」
「そう?じゃぁ、行こっ?」
「うん・・・・。」
すると、ミョンスがドンウの腕を持ち上げて
立たせようとした・・・
「あっ!」
ズルッと足が滑ってドンウは立ち上がった瞬間に
また床に座ってしまった。
足に力が入らなかった・・・
自分で分からなかった程に、
意外にもショックを受けていることに
気が付いた・・・・
「ごめんごめんごめんっwwwワハハハハー!!」
「やぁ~・・・何してるんだよ・・まったく・・・。」
と、ソンヨルが呆れたように
言った。
ドンウは真顔になった顔をすぐに笑顔に変えて
笑って誤魔化した。
ほんとに・・・俺は一体何をしているのかと・・・。
「何してるんだよってあなたでしょっ!?ソンヨルっ!!
ちょっとこっちに来なさいっ!!」
突然ドアの前で仁王立ちしているヌナに
驚いて肩をビクッ!とさせていた。
「うわわっ!!ヌナッ!!いつの間に??」
「いいから、来なさいソンヨル・・・。」
そう言ってヌナはソンヨルを連れて行ってしまった。
ドアの向こうでソンヨルが、
何やら怒られているのが聞こえる。
「まぁ~たアイツは何やったんだ?」
とミョンスは眉を上げて呆れるように笑った。
「怒られるのなんていつもの事じゃない?」
と、ソンジョンが呟いて部屋を出て行った。
続いてミョンスもドンウも部屋を出た。
「ドンウやぁ~何してたんだぁ~?
遅いぞぉ~・・・俺もう蜜柑三個目だ。」
「はっ?何っ??」
「ソンギュヒョン、誰も蜜柑食べろなんて
指令出してないけどっw」
と、ホヤに突っ込まれるソンギュ。
「いいんだよ。洒落だよ、洒落っ!!」
「ちょっと!これから仕事だってのに、
なぁ~んでソンギュは汁ものを食べるかなぁ~・・・?」
「あ・・ヌナ、すいません・・・。」
そう言ってソンギュは、首だけを前にピョコっと出して
謝った。
「プッ・・・・蜜柑で手が・・・」
そう言いながらソンジョンは布巾を持ってきて
ソンギュの手を拭いてあげた。
「あ、ありがとうございます・・・」
そう言ってまた首をまたピョコッと前に出して
ソンジョンから布巾を受け取った。
手の匂いを嗅ぐソンギュ・・・
「あ、結構匂い残るな・・・」
「手ぇ洗ってくればいいんじゃない?」
「あ、うん・・・」
そう言いつつも、布巾でばかり落とそうとしているソンギュ。
「ヒョン・・・ヒョン、言ってもいい?」
「ん?駄目っ!はははっ!」
「・・・・・。」
口をつぐんだソンジョンが嫌に恐ろしげで
直ぐにソンギュは聞き返した。
「何・・・どうせ余計な事だろ?
分かってるよ。」
「うん。じゃぁ、早く手を洗ってきてよ。」
「だぁ~~っやっぱりなっ!?
はいはいはいはいっ!分かったよっ!」
そう言って結局はソンジョンの言うことを
聞くハメになったソンギュをウヒョンは
クスクスと横で笑ったいた。
「あ、ギュジジ!蜜柑はビタミンCが豊富だから
風邪予防になるよ!だから、俺が遅れて部屋から出てきたのは
ギュジジにとっては良かったんだねっ!」
と、ドンウ風を吹かせて、笑いを誘った。
「ビタミンCぐらい知ってるよ・・・」
立ち止まって振り返ったソンギュは
目を細めながら言った。
全く・・・ドンウは人の心配をよそに何をやってるんだ・・・?
お前は直ぐに顔に出るくせに。
それでもお前はそうやっていつも
最後まで誰にも言わないんだな。
自分が・・・幸せだと感じるまで・・・。
ソンギュの思いも届かない・・・その光ない目と、
光ある笑顔の下に隠されたもの。
それが・・・・ドンウの闇だ・・・
しかし、その闇から救えることが出来るのは
誰でもない、ドンウその本人だった。
俺達は見守るしかない・・・・
それがソンギュの答えだった。
ラジオの収録に向かう途中、俺達はずっと黙ったままだった。
互いの事に何も干渉せず、カメラがなければそれぞれの事を思った。
こんな時・・・
こんな時に言える誰かがいればな・・・
ふと思ってみてもやっぱり誰に言える話でもなかった。
それが辛かった。
言えないよ・・・こんな話。
だってそうじゃん。
連絡先を教えただなんて話せないし・・・
もしかしたら迷惑かけたかもしれないんだ。
ラジオは通常通りに始まって、笑ったり緊張したり
忙しかった。
本番は生放送だから失敗できない。
歌も歌った・・・
ソンギュヒョンの声が裏返った。
何度も裏返った。
風邪でも引いてるのかな・・・?
歌の途中なのに、咳払いをしていた。
放送が終わったあとに少し落ち込んでたみたい
だったから、心配になった・・・
「ソンギュヒョンどうしたの?
風邪でも引いた?」
と、ウヒョンが肩を組みながら、スタジオから出て廊下を
歩いた。
「ん~・・・そうかも・・ごめん。今日失敗しちゃった。」
「大丈夫だよ。ほら、これのど飴あげる。食べて?」
「あ、うん。ありがと。はぁ~・・・」
「次はカッコよく行けるって!気にするなよっ!」
「うんっ ウヒョナ、ありがとな。」
そう言って飴を口に含むのをウヒョンは見届けると
自分も同じ飴を口に入れて、ニッコリと笑った。
「エィッ・・・」
「おわっ!!!」
「うははっ!」
「何すんだよぉ~あーぁ・・・
飴が出ちゃったじゃないかぁ~・・・」
ウヒョンがソンギュの飴で膨らんだ頬をめがけて
指で押すと、思わずソンギュの口からポンッ!っと
飴が飛び出してしまった。
「うははっ!!何これ?飴???
俺のあげようか?」
と、ドンウ。
「そういう問題じゃねぇ・・・」
と、ソンギュ。
「きったねぇ~~~!!」
と、急に出てきた飴に驚いてジャンプして避ける
ソンヨル。
それに合わせて、なぜかワケも分からずジャンプ
するミョンス。
ソンジョンはそれを見て、冷静にただ振り返った。
静かに飴を見つめて、ソンギュは固まってしまった・・・
どうすんだよこれ・・・とでもいった顔で。
「あははっ・・・ごめんごめん、冗談だよ。」
「ウヒョナ、いくら冗談って言ったって落ちちゃったじゃないか・・・
もう、食べれないだろ?お前拾えよなぁ?」
「えぇ~~っ?俺がっ?!なんでだよ、バッチィ・・・
ソンギュヒョンのヨダレが・・・」
「おいっ、俺が嫌いか?俺が嫌いなのか?」
「ちょっwwwそう言うのとは違うよっあははっ」
結局ソンギュは自分で拾って、ゴミ箱に捨てた。
それからまた歩き出すと、ウヒョンがそっと手に飴を
乗せてあげると、嬉しそうにソンギュは笑った・・・
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家に戻ってからまた再び音楽番組に出演する為に
待機している間、またドンウはLINEを開いた。
既読にはなっているそのLINEに想いを込めるが
未だになんの反応もない・・・
公開ラジオや歌番組・・・ミニコンサートにイベント・・・
沢山ある俺達の行動を共にしていたユカリン。
俺はその顔をいつも待っているかのように
探して、見つけることができた日は
幸せだと思えた。
ずっと見てたんだ・・・俺。
ユカリンも俺をずっと見てた。
もっと早く気持ちを伝えれば良かった。
でも俺はどちらも選べなくて、どちらにも
ドキドキしてたんだ。
それが悪いことだって思ってたから
誰にも言えなくて、苦しかった。
君が俺を見てるから、俺も君と
同じように見ていたかった。
君が俺の日常を知っていくから、
俺も手紙を読んで君を知ろうとしてた。
俺は最後にもう一度だけ・・・
もう一度だけと言い理由を自分にしながら
LINEを送った・・・・
「ユカリン、俺の方こそごめんね?
実はさ・・・俺、ユカリンにもタマゴちゃんにも
惹かれてたんだ・・・・
ずるいだろ?
俺はどうしようもなくて
誰にも言えなかった。
だからユカリンだけが悪いんじゃないよ。
俺の行動がユカリンを
悩ませてしまったみたい・・・
曖昧な・・・気を持たせるような
言葉ばかりを言ったのかもしれないよね?
だからユカリン、そんなに思い詰めなくて
いいんだからね?
俺が悪いんだよ・・・
ははっ・・らしくないことばかり
書いちゃったけど、ほんとに
そう思ってるんだ。
ユカリン、会いたい・・・
会いたいよ・・・。
それでも俺の前から
去って行くって言うの?
どうしてもって言うのなら
俺のミスもあるから、これ以上は
何も言えないけど・・・
でも・・・
俺、待ってるから・・・
待つのは俺の勝手だからいいよね?
気持ちが落ち着いたらでもいいから
いつか連絡くれたら嬉しいな・・・
それまで・・・待ってる。」
そう書いてゆっくりと携帯の電源を切った。
気が付けば・・・・
出会ってからあっという間に季節は過ぎて。
気が付けば・・・・
知らない間に恋が消え去って行ったようだった。
まだ、始まる前に・・・
始めなかった恋に後悔するなんて
思いもよらなかったよ。
その日は風が強く吹いていた。
雲が早く流れて行くのを見ながら、
俺の気持ちまで流されそうで怖かった・・・
ユカリン・・・今君はどうしてる?
笑えてる?
俺も笑えてるのかな・・・?
分からないよ。
向こうでソンギュヒョンの咳が聞こえてくる。
ソンヨルの叫び声と・・・
ミョンスの笑い声。
ホヤは・・・
本でも読んでいるのかな・・・
あとは・・・あとは分からないや。
部屋中に響き渡る鼻をすする音を
俺の耳は退けたくて、みんなの声に
耳を傾けようとした・・・
今度・・今度もし笑えるのなら
笑顔で顔をグシャグシャにしたいよ・・・
俺はそう思いながらまた鼻をすすった・・・

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