他者を傷つける行動は反社会的行動である。反社会的行動とは他者のためにはプラスとならない行動を好んで行うことである。これは、自分を守るための行動ではあるが、自分の存在をPRするために行われることもある。他者を攻撃することは倫理上は許されることではない。しかし、自分は強い人間である。優れている人間であるということを誇示したいがために行うのである。反社会的行動の対語として向社会的行動がある。他者のために、金銭的報酬を求めず、労務を提供したりするものであるが、他者から感謝される行動であり、行っている人間が感謝を求めないとしても、周囲の評価は高くなる。攻撃は、自己の防衛として評価の有無は問わず、憎い、気に入らないという感情の相手に対して投げかける行動であり、周囲に対しては自己の存在を明らかにする行為でもあるといえる。

 攻撃は、自己に対しても行われる。自殺が最大の自己に対する攻撃である。また、自傷行為も自己を責めて攻める攻撃といえるだろう。なぜ、自分を傷つけるのか。それは自分の中に、良いと悪いといった相反するアンビバレントな攻撃性が潜むからである。また、攻撃は自己と同一化した人物に向けられることがある。似た行動をする他者や、親密関係にあった他者は自分に近く、その他者の内部に入り込んでいく。入り込む当初には攻撃性がみられないのだが、同一化していく過程で、アンビバレントの感情が芽生えるのではないだろうか。家族は自分の身体の一部のような錯覚に陥りやすい。だからDVといった現象が起きやすい。近年問題化している児童虐待は、子どもは自分のものゆえ何をしてもいいという現れでもある。同一化の状態ゆえ、許せない気持ちが強く出て攻撃するのである。攻撃はされる側には与える精神的なダメージは大きい。しかし、攻撃する人間にとって、他者を傷つける行為は自分の心の内部を傷つけることに繋がる。