ご訪問ありがとうございます。このご縁に感謝します。

 

これは少し前の話なのですが、今でも思い出すと胸が痛みます。 

 

 

 

ある日、まるで神隠しにあったかのように、 

 

赤ちゃんアヒルが一羽いなくなってしまいました。 

 

それからしばらくして、お母さんアヒルがまた2つの卵を温め始め、 

 

そのうちの一つから新しい命が誕生しました。 

 

私は毎日、お母さんアヒルの羽の下で赤ちゃんがすやすやと休んでいるのを確認しては、 

 

ほっとひと安心する日々を送っていました。

 

「もう少し動き回るようになったら、室内に迎え入れよう」 

 

そんな風に考えていました。

 

そんなある日、外で、やけにカラスが鳴いているのが聞こえました。

 

あまり視力の良くない私ですが、何か様子がおかしいと感じ、 

 

外に出てカラスの方へ少しずつ近づいて みて

 

目を凝らしてみていたところ、カラスが口に羽のようなものをくわえているのが見えました。

 

そして次の瞬間、上空からカラスが口を離し 

 

何かが落ちてきました。 

 

目の前に落ちてきたそれを見て、私は目を疑います

 

目に飛び込んできたのは 

 

アヒル特有のあの小さな足でした。 

 

かわいそうに、お顔はもうありませんでした。 

 

とっさにティッシュか何かで包んで拾おうかと考えましたが、

 

そんなことをしている間にまたカラスに奪われてしまうかもしれない 

 

そう思った私は、思わず自分の手で包み、カラスから逃げるようにその場を離れました。 

 

「犯人は、あなただったの?」 

 

私はお母さんアヒルのところへ駆け戻り、 

 

「どうして! どうして!」と何度も何度も問いかけました 。

 

お母さんアヒルは、孵るかどうかもわからないもう一つの卵を、 

 

ただただ静かに温め続けているだけでした。 

 

無力な自分を責めながら、私はその小さな体をティッシュペーパーでそっとくるみ、 

 

お庭に埋めてあげました。 

 

「ごめんね。まさか、犯人がカラスだったなんて。」 

 

その数日後、孵化しないであろうと思っていた卵からヒヨコが孵りました。 

 

その日はもう寝る間際だったので、私はそのまま母鳥に託して眠ることにしました。 

 

翌日の午前中、どうしても済ませなければならない用事があり、 

 

私は少しの間家を空けました。

 

帰宅すると、母鳥はいつもと変わらずその場所にいたので、 

 

てっきりその羽の下でヒナが休んでいるのだとばかり思い込んでいました。

 

何か胸騒ぎを覚え

 

念のため、主人に頼んでアヒルをそっとどけてもらい、確認してみると 

 

そこには、・・・何もいませんでした。 

 

また、いなくなってしまったのです。 

 

私が昨日たしかにこの目で見たあの子は、幻だったのでしょうか。 

 

あれから、お母さんアヒルはまた新しい卵を温め始めています。 

 

どうか今度こそ、無事に育ってくれますように。 

 

小さな命を守ることの難しさを、あらためて感じた出来事でした。 

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。