そして皆さん、いよいよ、

その時が始まったのでございます。


音符悪魔が口を開いた。

「ちょっと親知らずのところが

 押されるような感じになりますよ~♪」


ん?

押される?


抜くんだから、引っぱられる感じじゃないの?

 

なんて思ってたら、ホントにグイグイと

押される感じになってきた。


これで抜けるの?


と不安に思ってたら、しばらくして、

何かズキズキと痛くなってきた。


音符悪魔にもそれが通じたのか、


「ゴッホさん、痛いですか?」

と聞いてきた。


ワタクシ、ここぞとばかり、

フガフガ言いながら

首を、もう思いっ切り、縦に、

これでもかというくらい大きく振った。


「じゃあ、麻酔追加しますね~♪」


またもや、ワタクシの

ピンクの歯茎にヂガッ!


い、痛いっす。


その後、ワタクシの口の中で

合戦がくり広げられ、


「は~い、抜けましたよ~♪」


よし、お、終わったぁ、

と安堵していたら、


ん?


ズキッ、

ズキッ、

ズキッ、

ズキッ、


と早くも、だんだん強烈な痛みが襲ってきたのだ。


これはたまらんかったバイ!


プロ野球のソフトバンクホークスの

ファンの方だったら、

覚えておられるだろうか?


数年前、現ソフトバンクホークスの

秋山新監督が現役のとき、

当時、西武の松坂大輔から、

頬にデッドボールを食らったシーンを・・・。


あまりの痛さに、半開きの口のまま、

手で頬を押さえて呆然としていたシーンを・・。


ワタクシ、まさにあの秋山状態となった。


痛いなんてものじゃない!

はやく帰ろう!

早々に歯科医院を後にしたワタクシは

やっとの思いで家に帰り着き、

口が半開きの秋山状態のまま、


「ははいあ」←(ただいま)


「ふおんひひえ、ほおえる」←(布団敷いて、もう寝る)

       ↑

この言葉が、見事なほど、

ワタクシの奥様に通じて、

早速布団を敷いてくれた。


よく通じたなあと感心する間もなく

すぐさま横になったが、

飲んだ痛み止めも、ほんの数時間しか効かず、

夜10時頃に目が覚めた後、

朝まで、ずっ~と、秋山状態だったのだ。


そもそも、男って痛みに弱いのかな?

女性は出産の痛みに耐えうるから、

やっぱし女性のほうが痛みには強いんだ、

なんて、女性の強さを再認識した

「親知らず抜歯の巻」であった。