先日、我慢できないほどに

歯が痛くなったので、歯医者に行ったら、


「原因は、一番奥の親知らずのチカクカビンですね~」


チカクカビン?


そんな繊細なの?ボクの歯って、


な~んて思ってたら、


「抜いたほうがいいっすね!」


えっ?

ぬ、抜くんですかぁ?

チカクカビンくらいで、

ぬ、抜くんですかぁ?


「はい!」(きっぱり)


そ、そんな急に言われても、


車のローンも残ってるし・・・、


なんて、まるで関係ない理由を言おうとしたら、

勝手に日取りを決められて、

じゃあ、この日に来てくださいね!


と、あっという間に、親知らずを抜くという

世にも恐ろしい一大イベントが、

決まってしまった。


だいたい、ワタクシにとって、歯を抜くというのは、

歯医者さんが、悪魔のぬいぐるみを着て、

巨大なペンチを振りかざし、足でワタクシの顔を押さえ、


ひっひっひっ、

ほうら、抜くからねぇ~


と、クチビルの片側だけにデビル笑いを浮かべ、

必死で、そ、それだけはご勘弁を~と、

訴えるワタクシの手を、

ええい邪魔だ!と無残にも振り払い、

エイ!ヤー!

とばかりに、抜くという、恐ろしいイメージしかない。


そんなワタクシの小さなハートに秘められた

想いを知ろうともせず、


親知らずを抜く、ということを

額の真ん中に小さな丸い反射鏡をつけた

この歯医者の悪魔のオッサンが

決めてしまったのだった