恐る恐る診察室に入ると、

壁の電光板にレントゲン写真が何枚も張られていた。


椅子に座ると、先生の説明が始まった

写真を指しながら、


「この写真が直腸のところ、

ここが横行結腸、ここが何々、・・・。

そして、結果、この写真から言えることは・・・」


「はっ、はい」


ゴクリ・・・、


「別に、何の異常もないですね!」


「あれっ、そうなんですか?」


じゃあ、あの潜血が出てるっていうのは一体何だったの?

と思いながらも、

体の力が一度に抜けてしまった。


何はともあれ一安心である。その後先生が、


「大腸の疾患というのは、自覚症状がほとんどないですから、

定期的に検査は受けた方がいいですよ」


ということで、それから毎年受けるようにしている。

そして、心配?して食事をおごってくれた

友人たちにこの結果を話すと、

「なーんだ。おごって損した。

今度はそっちがおごってくれ。」となったので、

食事に誘ったら、

何故か前回より友人の数が増えていた。

なに?この人達は・・・。

コワーッ!


そして、その3年後のことである。

隣県に住む叔父(父の弟)が、

大腸ガンで、もう長くないという連絡が急に入ってきた。


叔父は、当時市会議員をしており、話もうまく、バイタリティーのある、

我々親戚の中でも、一目置かれる存在だった。


あの元気な叔父が?・・・と、見舞いに行った。

すると、もう肩でゼイゼイ息をするほど衰弱しており、話もできない。


あの元気な姿の見るかげもないのだ。


話によると、下血をするようになったので病院に行ったら、

すでに大腸のガンが肝臓まで

転移しており、もう手遅れだったとのことだった。

葬儀はその数ヶ月後にとり行われた。


また昨年の冬のことである。

高校の部活の先輩が、食道ガンで亡くなった、

と急に電話があった。

その先輩とは、何ヶ月か前に会ったばかりだったので、

腰を抜かすほどビックリした。


奥さんの話では、食べ物がつかえるような感じがするので、

病院に連れて行ったら、

もう食道ガンの末期だったそうだ。

先輩は剣道有段者で、元気そのものだったから、

検査なんか必要ない、といつも言っていたという。


まだ55歳という若さだった。


二人とも普段から検査さえしてれば、未然に防げたのにと悔やまれる。


今の胃カメラ・大腸カメラ検査は、

以前に比べてすごく楽になっている。

とくに大腸の場合は、検査中に、

蛙にゴメンナサイと必死に謝らなくていい。


ここだけの話、実は私は年に一度のこの検査を密かに楽しみにしている。

それは、普段はできないような体験ができるからだ。


この体験は、ちょっとスゲーッのだ!


それは・・・・、