今次国会の焦点はずばり共謀罪。本日衆院で可決された。過去に三度も廃案になったいわくつきの法案である。

そもそも共謀罪ってナニ? ちょっと面倒なので項目別、箇条書きにしてみる。

 

目的:

国際組織犯罪防止条約(TOC条約・パレルモ条約)を批准するため。147カ国が署 名、187カ国が締約しており、先進国で批准していないのは日本だけである。

 

TOC条約の目的:

国際的な犯罪組織のマネーロンダリング(資金洗浄)防止、司法妨害、公務員の汚  職防止などがメイン。

 

名称:

共謀罪はマスコミによる名称である。「組織犯罪処罰法の改正案」が正しく、成立後は『テロ等組織犯罪準備罪』を予定している。

 

われわれ一般国民にはなんら問題を起こさないという前提がある。要は組織的犯罪者が企てる犯罪を未然に取り締まる事である。現況、日本は条約の抜け道を提供しているという非難は寄せられていないが、速やかに批准しない場合は必ずやり玉に上がるだろう。

 

今次国会で強行した最大の理由はFATF(マネーロンダリングに関する金融作業部会 Financial Action Task Force on Money Laundering)から2014年に早く法整備しろと強く言われたからだ。だいぶ情けない。

 

20世紀末までは各犯罪も局所的で比較的小規模であったが、インターネットやケータイ電話の発達と普及、携行兵器の発達により各国の犯罪者集団が連携をし始めたからだ。

 

 

 

2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロが顕著な例だ。いわばアメリカ本土がテロ組織に攻撃されたという大事件だったのだ。

 

 かつてアメリカ繁栄の象徴的ビルだった世界貿易センタービル ツイン・タワー

 

 

(左)テロリストに乗っ取られた旅客機が突っ込んだ  2機目(右)  

 

             爆 発 (突入後、反対側からの撮影)  

 

                    崩 壊   

 

               摩天楼の崩落 

 

2機目の突入を聞いた瞬間青ざめたG.W.ブッシュ大統領

 

続いて国防総省ビル(ペンタゴン)がハイジャックされた旅客機により突入攻撃を受けた。

 

ツインタワーが攻撃された時の犠牲者は3000人以上で、日本人も24人の犠牲者が出た。そのうち一人は学生で突入した航空機に乗っていた。

 

米国が一番恐れているのは本国への攻撃である。21世紀になりそれが起こった。そしてテロ組織ターリバーン、アルカーイダへの報復攻撃へと繋がる。

 

日本ではこのようなテロ攻撃は受けていないが常に標的にはなっている。反対派はこのような国際的テロ犯罪についてはどう考えているのだろうか。国会議員や文化人、法学者の意見はあまりにも稚拙すぎるし、国民が納得できるものが何一つないのだ。こーゆー重要法案ならばこそ対案を示すべきである。

 

 

 

 

今の世界、各国の政治をざっと眺めると対テロの各種法律や国際的会合はそれぞれの政権維持のものではない事は明らかだ。それでも対テロのために集積された個人情報等の行方は気になる。数年間は厳格に守られるが数十年後、数百年後はどうなっているのだろうか。ジョージ・オーウェルの小説「1984年」の世界にならん事を願う。そしてある程度監視(見守られているの意)の目が行き届いた世界で幸福追求をするのがいいのか、自由だが争いの火種に包まれた毎日がいいのか、オレには決定権も選択権もない。

 

人にも時間の制約がある以上、ただひたすら懸命に今を生きるしかなく、あとは未来の世代に委ねるしかない。ニーチェの言葉「これが人生というものなのか。さればもう一度」が心をかすめた。