バナジウムの生産
物質としてのバナジウムは広範囲に分布し、ほとんどどこにでも存在する。しかし、資源としては偏在性が強く、埋蔵量のほとんどは南アフリカ、中国、ロシアに存在する。また、その生産も、上記3カ国とアメリカとで9割以上を占める。そのため、供給は不安定なものとなりやすく、これらの国家や生産企業の動向による価格の高騰が、1988、1994、1997、2003、および2004年以降と頻繁に発生している。
緑鉛鉱のPO4をVO4で置き 換えた鉱物として褐鉛鉱(バナジン鉛鉱:Vanadinite;Ca5(VO4)3(OH, F, Cl))があるほか、カルノー石(Carnotite;2(UO2)2(VO4)2・3H2O)、パトロン石(Patronite;V2S5)などが知られているが、資源としては品位が低い。 加えて、バナジウムの多くは他の鉱物と共に(あるいはむしろ他の鉱物のついでに)産出されており、他の鉱物の需給状況にバナジウムの生産も影響を受けることとなっている。
以上のような背景から、日本国内において産業上重要性が高いにもかかわらず、産出地に偏りがあり供給構造が脆弱である。日本では国内で消費する鉱物資源の多くを他国からの輸入で支えている実情から、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60日分を国家備蓄すると定められている。
またリサイクル確立も重要視され、日本では廃触媒からの回収や、重油ボイラーの灰などからの回収が行われている。