何もすることがなく手持ち無沙汰なのにまかせて、一日中硯に向かって、心に映っては消えるつまらないことをとりとめなく書きつけると、不思議と心が高ぶってくることだ
ある人が弓を射ることを習うときに、二本の矢を手にはさみ持って向かった。
師匠が言うには「初心者は二本の矢を持ってはいけない。後の矢を当てにしてはじめの矢をいい加減にする気持ちが生じる。
毎回当たり外れを考えるのではなく、一本の矢で決めると思え。」と言う。
たった二本の矢、師匠の前で一本の矢をいい加減にしようとは思うだろうか、いや思わないだろう。
なまけおこたる心は、自分でわからないと言っても、師匠はこれをわかっている。
この教訓は全てのことに通じるだろう。
仏道を修行する人々が夕方には翌朝があることを思い、朝には夕方があることを思って、次の機会に熱心にもう一度修行しようと決心する。
まして一瞬の間のうちにおいて怠け心があるのがわかるだろうか、いやわからない。
どうして現在の一瞬においてすぐにするべきことを実行するのが難しいのか。

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☆つれづれ することがなく退屈なさま
      手持ち無沙汰になること
☆よしなしごと とりとめもないこと
☆そこはかとなく これといった順序、次第もなく
☆あやし 超自然だ。神秘的だ。珍しい。
     奇妙だ。 不思議だ。
☆日暮し 朝から晩まで。一日中。
☆頼む ①あてにする。頼みの綱にする
    ②頼りに思わせる。
☆定む 決める
☆知る わかる。理解する。
☆わたる 関係する、広く通じる
☆道 学問、武術
☆朝 ①朝 ②翌朝