「To think, I killed a cat」―"I Killed the Cat" is a song by Sid Vicious.
去年の夏、各地で観測史上初の最高気温が記録された日の午後、私は東京秋葉原に買い物に出かけた。資本主義が産み出した余剰品がソフト・ハードを問わず集まってくる町。世界中のオタクやスパイにとっては宝の山である。
私は万世橋を渡って郵便局の方へ向かった。
「日本のガンジス川」と呼びたくなるような神田川は、近年浄化が進んでいるそうだ。
私の目には灰色に近い苔色に映ったが。
「日本のガンジス川」と呼びたくなるような神田川は、近年浄化が進んでいるそうだ。
私の目には灰色に近い苔色に映ったが。
神田郵便局の周辺は、駅前のサイバーパンク感はなく落ち着いたビル街だ。
その裏手に、白い外壁、入り口にプルシアンブルーのシェードが掛かった、ギリシャ風の店舗がある。
店に入ると右手がレジになっており、左側の壁の作り付けの棚には、小さな箱が山のように置かれていた。私は白髪頭の店員に声をかけた。
その裏手に、白い外壁、入り口にプルシアンブルーのシェードが掛かった、ギリシャ風の店舗がある。
店に入ると右手がレジになっており、左側の壁の作り付けの棚には、小さな箱が山のように置かれていた。私は白髪頭の店員に声をかけた。
「ある?」
「あるよ」
と、店員は答えると、店の奥に掛けられたカーテンの奥に入っていき、細長い白い箱を持ってきた。電源を入れると、美しく輝くオランダ製の真空管である。
帰ると早速、祖父が残した真空管ラジオの修理をはじめた。
近頃、ラジオも音楽もon-lineで聞くのが主流だ、たまにはon-airで楽しんでみたい。
スピーカーが空気を振動させるとき、空間がかすかに歪む。
一瞬、時間を超越して過去・現在・未来が重なり合う。
その感覚がたまらない。スマホやパソコンでは空気を振動させた気分になれない。
近頃、ラジオも音楽もon-lineで聞くのが主流だ、たまにはon-airで楽しんでみたい。
スピーカーが空気を振動させるとき、空間がかすかに歪む。
一瞬、時間を超越して過去・現在・未来が重なり合う。
その感覚がたまらない。スマホやパソコンでは空気を振動させた気分になれない。
そこで祖父の真空管ラジオを思い出した。ラジオと言うより、ラヂヲと呼びたくなる代物だ。
祖父の残したものは、このラヂヲと箱に入った猫の置物(正確には猫のはく製)だけだ。
猫の置物はまるで生きているようで気持ち悪かった。
たしかヨーロッパ製で祖父は「トランシルヴァニアの猫」とか呼んでたっけ。
ラヂヲを修理していると面白い発見をした。
裏板に昔の周波数表が貼ってあるのだ。
東京・JOAK・345、大阪・JOBK・400という具合に。
戦前なので台北・JFAK・448大連・JQAK・384というものも。
最後の部分は文字が消えかけて放送局はわからない、辛うじて周波数だけは読めた。
「666」。
裏板に昔の周波数表が貼ってあるのだ。
東京・JOAK・345、大阪・JOBK・400という具合に。
戦前なので台北・JFAK・448大連・JQAK・384というものも。
最後の部分は文字が消えかけて放送局はわからない、辛うじて周波数だけは読めた。
「666」。
続く。