?:ねぇねぇ!
?:何?
?:またピエロの餌食になった生徒が居るんだって!!
?:…ウチの学校なの?
?:さぁ?
まただ。
今日も教室は『ピエロ』の話題ばかりだ。
よくもまぁ、飽きもせず次から次へと話せるものだ。
俺の名前は蜜羽(ミツバ)。
名前は女子みたいだけど、男子である。
?:ねぇ、ピエロに会ったら逃げれないのかな?
?:超速いって聞いたけど…
?:逃げる方法って無いのかな?
?:あっ! 私、聞いたことある!!
?:何? 今後の為に聞いておく
?:何かね、ピエロの『お気に入り』になれば良いらしいよ
?:どうやってなるのよ?
?:それは……聞いてない
?:ダメじゃん!!
教室の奥の方で女子連中が話している。
ピエロから逃げる為には、ピエロのお気に入りになること。
それは強ち間違ってはいない。
でも、お気に入りになっても逃げれる訳ではない。
俺はポケットから赤い玉を取り出した。
机の上でコロコロ転がしていたら、
横から手が出てきて、それを取られた。
?:何だ、コレ?
蜜:何だって良いだろ。返せよ
?:赤い…球? 何だってこんなもん(笑)
蜜:返せって
?:…返してやるよ。こっちにな!
クラスメートは窓の外にソレを投げた。
赤い球は外に消えた。
と、同時に教室の花瓶が落ちた。
皆が驚いている。
ふと、机を見ると、球が戻っていた。
そして気付いた。
『ピエロ』が、教室に居ることを。
ピエロは天井に張り付いてケタケタ笑ってる。
?:あれ? 何でまたあんだよ、この球!
蜜:…何でだろうな
?:ねぇ、ソレ、ピエロの鼻じゃない?
?:まっさかぁ。何で蜜クンがピエロの鼻なんて持ってるワケ?
ピエロが女子に近付く。
皆にはピエロが見えていない。
頭の中にピエロの声がする。
『大丈夫ダヨ。何モシナイ』
女子が赤い球を掴む。
頼むから外に投げないでくれよ。
?:手品の道具?
蜜:…まぁ、そんなとこ
ピエロが窓の方に移動する。
何もしないって言ったのに…。
途端に教室に鳴り響くラップ音。
それに混じってピエロの笑い声がする。
女子の悲鳴で、教師が飛んできた。
男子なんかその場に座り込んでる。
俺はそれを窓の外から見ている。
俺はある日、ピエロのお気に入りになった。
そして俺は、ピエロの仕事を手伝う羽目になった。
断りたかった。
でも、断れば、俺は―――。
だから手伝う。
ピエロの仕事。
ピエロの服は着ないけど。
黒いタキシードを着て、
黒いシルクハットを被り、
黒い大きな鎌を持って、
ピエロの仕事を手伝うんだ。
『蜜羽ハ 良イ子ダね♪』