M氏とS氏は上司と部下の関係
M氏は仕事のできる真面目なベテランの上司
S氏は過去に軽いトラウマを持つ2年目の20歳の部下
M氏の仕事に対する考え方は
「企業は労働の対価として報酬・給料を払っている。
だから、
社員は会社から要求される水準に応えなければならない」
だった。
M氏はS氏を育てることに悩んでいる。
M氏曰く、
『若手のS氏が入社して2年経つが教えても、教えても成長が遅い。
早く会社の業務レベルに追いついて欲しい。
業務処理スピードが遅く、イライラする。
叱れば、
「具合悪い」「過呼吸になる」「鬱の薬飲んでいる」
と言い、突き詰めれば、黙り込んでしまう 』
『なぜ力を発揮しようとしないのか?どう対処したら良いのか分からない』
『社長こんなことでいいのですか!
私は間違っていることをしているとは思わない』
と音を上げていた。
M氏は無理なことをS氏に要求しているわけでなく、
普通の人が普通にできることを要求しているだけだった。
そこで、S氏に会って何回か話し合い確認してみた。
彼女はやる気がないわけではない。
確実に力をつけて来ているが、成長のスピードは遅い。
その彼女が自分の処理能力を超えたときや考えても分からないとき、
上司の顔色を伺い混乱してしまう。
そのことを上司が指摘する。
S氏は「偏頭痛がする」などといろいろと言い出し、
自分を守る自己防衛機制が働いている。
これに業を煮やしたM氏は「S氏は嘘をついている」と疑う。
このようにM氏は一生懸命、真面目に育成しているのだが、
S氏とかみ合わない。
M氏のS氏への対処はモグラ叩きをしているにしか過ぎない
このことに気づけないでいる。
「自分の正義」でS氏に接している。
だからS氏を理解できないでいる。
理解できないものだから、有効策が打てない。
責任感が強いが故に、
『相手を理解することができない』
じっと相手を観察し、
相手の話しを聴き届ければ、
相手の生い立ちや価値観が分かり打つ手が観えてくる。
相手の心に添えば、相手が観え、対処法が分かる。
人が育つことになる。